日本の理系女子(=リケジョ)の増加による経済効果の試算 

2013年09月11日
ロレアルグループの日本法人である日本ロレアルは、関西大学の宮本勝浩教授の協力のもと、日本の理系女子(=リケジョ)の増加による経済効果の試算を発表。

日本の女性研究者の数は先進国の中でも圧倒的に少なく、アメリカが 34.3%、フランスが 26.9%であるのに対して、日本は最下位の 13.6%に留まっています。その原因として「育児期間後の復帰が困難」「男性に比べて採用が少ない」など、働きにくい女性の職場環境があげられます。また、ロールモデルが少ないため、キャリア像が掴みにくく、次世代のリケジョ増加の妨げにもなっています。
 
日本ロレアルはさらに“リケジョ”を増やす重要性や後進育成の意義を発信すべく、アベノミクスの成長戦略のひとつとして、2020 年までに指導的地位に占める女性の割合を 30%にすることを目標に「女性の活躍促進」が提唱されているなか、「リケジョミクス 3本の矢」と題して同じく2020年までに理系女子が増えることを目標として、“リケジョが増加することで日本にもたらす経済効果”を試算しました。

【結果】
リケジョが 30%に増加することによる経済効果は、約 2,800 億円!

【考察】
 
・女性視点の研究および商品開発が重要
近年では女性研究者が開発したヒット商品が注目され、また購買権が女性にあるといわれる中で、女性視点の研究や商品開発が重要となっています。今回の試算には含んでおりませんが、女性研究者が開発した商品の売上などの波及を加味すれば、“リケジョ”が増えることによる経済効果はさらに高い可能性を有しているといえます。

・“リケジョ”の雇用機会の増加、雇用環境の整備が課題
こうした様々な可能性をもつ“リケジョ”のさらなる活躍のためには、“リケジョ”の雇用機会の増加、雇用環境の整備、さらには理系学問への誘引など、“リケジョ”増加に向けた数々の課題を解決していくことが重要となります。

<試算概要>
【仮定】
1:理系の女性研究者が増加することによって、男性の研究者が失業し、所得を失うということはない。
2:学生や専業主婦など、職に就いていない状況から、理系研究者として職を得たというケースを想定。

【前提】
・理系(自然科学系)の研究者に占める女性研究者の割合は 20.7% (5 万 2,078 人)。
・国が目的とする理系(自然科学系)の女性研究者の比率を 30%に高めるとすると、7 万 5,377 人。
⇒2 万 3,299 人の理系の女性研究者を増やす必要がある。
・総務省のデータによると、女性の研究者の平均年収は、582 万円(勤続年数 10.9 年)。
⇒2 万 3,299 人の理系の女性研究者が増加すると、全体で 1,356 億 18 万円の所得増加。

【経済波及効果】
・総務省内閣府発表の「全国産業連関表」(平成 17 年)を用いて、次の経済波及効果を得た。

直接効果 1,356 億 18 万円
一次波及効果 817 億 6,691 万円
二次波及効果 663 億 849 万円


・「一次波及効果」とは、理系の女性研究者が得た所得から直接消費(「直接効果」と呼ぶ)する時に、購入する財やサービスの原材料の売上の増加金額を示している。例えば、理系の女性研究者が衣服を購入した場合、その衣服の材料となる布の製造、卸売り業者の売上が増加する。このような原材料の売上の増加が「一次波及効果」であり、その金額は 817 億 6,691 万円となる。

・さらに、理系の女性研究者が衣料店やレストランで消費した時に、それらの店舗、製造卸売業者、経営者、従業員などの所得が増えることになる。店舗の従業員が増加した所得分から、旅行や食事に行くことで消費のさらなる拡大に繋がる。それらの消費金額が「二次波及効果」である。

この「直接効果」と「一次波及効果」と「二次波及効果」を総計した金額が、「経済波及効果」である。

⇒理系の女性研究者の割合が国の目標値である 30%に引き上げられた時の「経済波及効果」は、約 2,800 億円となる。

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[日本ロレアル]
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