PwCは、調査レポート「グローバル投資家意識調査2018 複雑な世界における成長への自信に潜む不安」を発表。
本冊子は、世界各国の663名の投資家に対して、今後の世界経済に対する見方、不確実な時代の企業経営のあり方、テクノロジーの急速な進歩がもたらす影響などについて、インタビューやオンライン調査を行った結果をとりまとめたものです。昨年に続き、今年もPwCが別途実施した「第21回世界CEO意識調査」におけるCEOの回答と比較しつつ分析を行っています。

PwCは663名の世界中の投資家を対象に、投資先企業あるいはフォローしている企業に関する調査を実施しました。この調査における投資家には、ファンドマネージャー、株式アナリスト、債券アナリスト、格付け機関、プライベートエクイティ投資家が含まれます。またPwCは1,293名のCEOを対象に自社に関する調査を実施しました。

調査結果(一部抜粋)


  • 投資家およびアナリストの41%がビジネス上の最大の脅威として「サイバー脅威」を挙げており、その順位は2017年の5位から上昇し、トップとなりました。PwCが実施した「第21回世界CEO意識調査」の結果によれば、ほぼ同じ割合(40%)のCEOが「サイバー脅威」を最大の脅威に挙げ、3大脅威の一つとなっているものの、「過剰な規制」や「テロリズム」に対する懸念が「サイバー脅威」を上回っています。
  • 投資家は、企業が顧客との信頼関係を改善するために、企業がサイバーセキュリティに関する投資の優先度を高めるべきであると考えています(投資家の64%:CEOの47%)。
  • 投資家が考える企業の成長に対する脅威の懸念のトップ5は、「サイバー脅威」に続き、「地政学的な不確実性」(39%が非常に懸念していると回答)、「技術変化のスピード」(同37%)、「ポピュリズム」(同33%)、「保護主義」(同32%)が挙げられています。
  • 世界経済の成長見通しについては、投資家の54%(2017年から9%増加)、CEOの57%(2017年から28%増加)が、世界経済の成長率が高まると考えており、投資家とCEOのいずれもが昨年より自信を深めていることが明らかになりました。
  • 自社や投資先企業の状況に目を転じると、短期的にも長期的にも、CEOによる自社の売上拡大見通しに比べて、投資家による投資先企業の売上拡大見通しの方が悲観的な結果となりました。今後12カ月間の売上拡大について「非常に自信がある」と回答した投資家は4分の1未満(23%、2017年も23%)であるのに対し、CEOは42%に達しました。また今後3年間の見通しでは、売上拡大に「非常に自信がある」と回答した投資家が5分の1(20%)にとどまったのに対し、CEOは45%とその差は大きくなりました。
  • 投資家はCEOに比べ、「テクノロジーの変化」(85%対64%)、「消費者の行動の変化」(81%対68%)、「流通チャネルの変化」(76%対60%)がビジネスにより大きな破壊的影響をもたらすと予想しており、これが売上の拡大に対する投資家の懸念の背景にあります。また、人工知能が人員削減計画に大きな影響を及ぼすと考える投資家の割合は4分の1強(26%)と、昨年から13%増加しました。
  • 投資家とCEOが、企業が成長する上で重要と考える上位5カ国(米国、中国、ドイツ、英国、インド)は、昨年と同じですが、米国と中国との差についてみると、投資家の回答においては二国間の差が縮小しているのに対し、CEOの回答では逆に中国に比べて米国の重要度が一段と高まっています。
  • 企業に対する信頼低下に関する投資家の懸念と、CEO自身が考える課題の深刻さの水準にも、大きな差が生じています。投資家の3分の1以上(36%)が顧客と企業との信頼関係の低下を懸念しているのに対し、CEOは18%にとどまっています。
  • 従業員と信頼関係を構築するにあたり、投資家の多くは「報酬や福利厚生制度に対する透明性」が重要と考えている一方(投資家の60%、CEOの51%)、CEO多くは「企業の価値観」が最も重要であると感じています(CEOの73%、投資家の56%)。

投資家とCEOが共通の見方をしている部分が多い一方で、企業の持続的成長に対する脅威、信頼に対する考え方、従業員に対する責任などについては認識の違いがあることも明らかになりました。

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[PwC]
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