お墓参りに関する意識調査 

2016年07月14日
プラネットは、日用品にまつわるトピックスをお届けする『Fromプラネット』の第41号として、お墓参りに関する意識調査の結果をご紹介します。

■墓参りは“家族行事”…少数ながら、管理しやすい「屋内墓苑」を選ぶ人も

 7月には新盆、8月には旧盆があります。帰省してお墓参りする人も多いのではないでしょうか。今回は実家のお墓参りについて調査し、お墓の形態やお墓参りする時期、お墓にまつわるエピソードをまとめました。
 初めに、実家のお墓参りに行くかどうかを尋ねると、67.4%の人が「行く」と回答。お墓参りに行く人は、7割近くになりました。この結果を配偶者の有無別に見ると、「配偶者あり」では73.7%、「配偶者なし」では56.5%となり、配偶者の有無によって約15%の差がありました。配偶者を持つことによって、親族とのお付き合いが生まれ、“墓を守る”という自覚が芽生えてくることが想像できます。
 「誰とお墓参りに行くか」という質問に対しても、「家族と」が85.1%と圧倒的。“個”が進んだ現代の日本でも、お墓参りは“家族行事”であることがうかがえます。
 最近は、従来の墓石タイプだけでなく、屋内墓苑や“ロッカー式”のお墓、また樹木葬や遺骨を海にまくなど、お墓の形式も多様化しています。そこで次に、お墓のタイプについて調べました。結果は、従来の「石」が76.6%と最も多かったものの、「屋内墓苑・ロッカー式」という新しいタイプのお墓も利用者を伸ばしている様子がうかがえました。
 年代別に見ると、「石」の割合は年齢層が上がるほど高くなっていましたが、「室内墓苑・ロッカー式」も、年齢とともに増える傾向が見られ、60代で5.1%と最も高くなりました。お墓に対する関心そのものが高齢者ほど高まり、死後の管理やお墓参りのしやすさなども考慮して、新しい形式のお墓を選ぶ人がいることが想像されます。
 一方で、「お墓はない」という人も15.0%。こちらは70代以上では9.8%なのに対して、30代では20.2%。さらに、「わからない・知らない」人が、20代では11.0%いました。若い人にとって、当然なことですが、お墓はまだまだ縁遠いものと言えます。

■全国的にお墓参りは旧盆が主流…ただし「関東」ではお彼岸が最多

 冒頭でお盆の話題に触れましたが、実際に、お墓参りにはいつ行く人が多いのでしょうか。お墓参りに行く時期について聞きました。最も多かったのは、「旧盆(8月)」で52.1%。以下「春のお彼岸」45.8%、「秋のお彼岸」43.5%と続きました。「旧盆」に行く人が最も多いものの、「お彼岸」に行く人もそれぞれ4割以上。暦にならっているのはもちろん、前の調査からもわかったように、お墓参りは家族で行く人が多いので、家族や親族が集まりやすい、お盆休みや祝日に行く人が多いと考えられます。
 結果をエリア別に見ると、お墓参りに行く時期には、地域差が見られました。「旧盆」にお墓参りに行く割合が相対的に高く、70%を超えたのが「東北」74.8%、「北陸」74.3%、「北海道」70.2%でした。一方で、この「北海道」「東北」「北陸」では、「年末年始」の割合が0.8%、6.3%、11.4%と低い傾向にありました。寒さが厳しく、雪の多い地域なので、真冬のお墓参りは難しいのかもしれませんね。
 全エリアのなかで、「関東」では「旧盆」の割合が低く、1位は「春のお彼岸」49.5%、2位「秋のお彼岸」46.3%、「旧盆」は40.9%で3位でした。帰省ラッシュとUターンラッシュのニュースはお盆の風物詩。帰省する人が多いため、その分だけ関東、特に東京では、お墓参りをお盆にする人が少なくなると考えられます。

■お墓参りの後は、まっすぐ帰る?寄り道する?

 お墓参りの後には、まっすぐ家に帰らないほうがいいと、聞いたことがあります。直接帰ると、霊を連れて帰ってしまうからだとか…?!一方で、お墓参りの帰りは、寄り道してはいけないという説も。そこで実際、お墓参りの際、何をしているかを調べてみました。
 何かをしている人で多かったのは、「外食をする」の27.7%。家族や親戚が集まるので、会食する人も多いのではないでしょうか。しかし、もっとも多かったのは、「特にない」の66.7%でした。お墓参りの後は、“寄り道せずに帰る”が主流のようです。
 「その他」の回答の中には、「外食」ではないけれど、お墓の前で食事をするというものがありました。沖縄のように、伝統的に行われている地域もあります。「兄弟に会いにいく」「実家の掃除」など、ふだん会わない親戚に会ったり、実家に立ち寄ったり、親族と顔を見せ合う機会としている人が多いのは間違いなさそうです。

■カップ酒・缶コーヒーにタバコ…故人の嗜好物を供え、一緒に楽しむ人も

●おじいちゃんがお酒好きだったので、カップ酒などをお供えしています。
●コーヒーが好きだったので、缶コーヒーを持参する。
●故人がタバコが好きだったので、お線香の代わりにタバコに火をつけて供える。
●きれい好きだったので、墓石の周りはきれいに掃除する。
●故人が音楽が好きだったので、楽器を演奏します。
●故人とよくお酒を飲んだので、必ず持っていって一緒に飲む。
●故人が好きだったものをお供えするほかに、自分もその場でちょっとつまめるものを持っていく。
●お墓にお供えした食べ物は、お墓で頂く。
●お墓が汚れないように、お参り後、お供え物は持ち帰る。
●最近はカラスが来るので食べ物を置くことが厳禁に。帰るときには下ろすことになった…さみしい。

 今度は、お墓参りでこだわっていることや、必ず供えるものについて、自由回答で聞きました。多かったのが、故人の好きだったものを供えるという回答。ここに挙げた以外に、変わったところでは「みたらしだんご」や「メロンパン」などもありました。
 愛煙家だった故人のため、「タバコに火をつけて供える」というのも、多かった回答。きれい好きだった故人のために掃除を念入りにしたり、音楽が好きだった故人のために楽器を演奏したり…お供え物だけでなく、故人が好きだった“こと”に心を込める人も多いようです。“故人が好きだった庭の花を持っていく”という回答もありました。
 お供えをすると同時に、自分も「一緒に飲む」など、お墓で飲食をすることをこだわりとして挙げている人も。沖縄のように地域の行事や風習になってはいなくても、お墓で食べたり飲んだりすることで、故人を思い、向き合う時間を大切にしている人は少なくないようです。「お墓にお供えした食べ物は、お墓で頂く」のように、その場でお下がりを頂く習慣がある一方で、カラス被害や後始末に配慮し、「お供え物は持ち帰る」という回答も目立ちました。お供え物を持ち帰らなければならないことに、味気なさを感じている人もいるようでした。

■家族の無事や子供の成長を報告しつつ…ヤブ蚊・日焼け対策も必須

●なるべく家族そろって行くようにしています。
●子どもたちを連れていって成長報告します。
●同じ境内にある親戚のお墓にもお花を供えるようにしています。
●必ず花と線香は持参して、菩提寺にも賽銭をあげてくる。
●ヤブ蚊が多いので、虫除けスプレーが必須。
●日陰がないので日傘を必ず持参する。
●掃除をついでにするので、使い捨てのビニール手袋を持参する。

 家族そろって出かけたり、子どもを連れていくことで、故人や先祖に家族の無事や子どもの成長を伝えている人も多いようです。また、親戚や知人のお墓もあわせてお参りしたり、菩提寺への心遣いを欠かさないという人も。
 たくさんの回答から、地域や宗派、また家庭によって、さまざまな風習やしきたりがあることがうかがえました。いずれにも、故人への思いや先祖を敬う気持ちがにじんでいるのが印象的ですね。一方で、以下のような実用的な回答も…。
 “虫除けスプレーを持っていく”という回答が多数。お墓参りにヤブ蚊対策は必須なようです。墓地に「日陰がない」というのも、言われてみれば納得です。暑い盛りなので、暑さ対策は欠かせませんね。お墓参りには掃除も付き物。「使い捨てのビニール袋」を持参するという用意周到な人も…。忘れがちですが、見習いたいものです。

■“おじいちゃんのだと思っていたら犬の墓だった”…笑える話から不思議体験まで

《お墓参りにまつわる思い出やエピソード》
【思い出の行事】
●子どもの頃、お盆には浴衣を着て新しい下駄を下ろし、子ども用の小さな提灯を提げて、家族みんなで墓参りをした。帰りにアイスクリーム屋に寄って食べるのがお決まりの行事でした。(60代/関東)
●沖縄では、シーミー(清明祭)は旧正月やお盆などとともに、大きな行事の一つになっているので、毎年親族が顔を合わせることが楽しみでした。(40代/沖縄)

【お墓が広すぎて…!?】
●間違えて、知らない家のお墓に花を供えてしまった。(50代/関東)
●おじいちゃんのお墓だと思って毎年お参りしていたお墓が、おじいちゃんが飼っていた犬のお墓で、隣のお墓がおじいちゃんのお墓でした。(40代/九州)
●なんで自分の家と同じ名字がこんなにたくさんあるのかわからなかった。我が家専門の墓地かと思っていた。(40代/関東)

【信じていた、迷信の数々】
●小さい頃、お墓で転ぶと早死にすると言われた。(70代以上/関東)
●行きと帰りのルートを変えるようにと言われて育ち、いまだにそうしています。(30代/中国)

【お墓ならでは…不思議な出来事】
●祖父の命日を忘れたら、翌日事故に遭った。幸い軽傷だったが慌てて墓参りに行った。(40代/東北)
●祖父の好きないなりずしを供え、下げたものを頂くと、味がなくなっていた。(60代/甲信越)
●すごく天気が悪かったのに、お墓に着いたら日が射してきたことが何度かあります。(30代/東海)
●子どものとき、よその家の墓所に無断で入り、墓石をたたくなどのいたずらをしたことがあった。夜近くを通りかかったら、たたいた墓石の近くでオレンジ色の光が点滅…ぞっとした。(50代/関東)

【時代とともに、お墓も変わる】
●幼少の頃うちの田舎は土葬で、埋葬の一年後、棺桶が腐って地面に穴ができていた。(40代/関東)
●両親の希望に沿い、海に散骨しました。命日・盆・お彼岸には海に行っています。(40代/東北)
●最近のお墓はネット化されていて、故人の写真を入れ替えたり、好きだった音楽を流すのもすべてパソコン感覚。若い甥たちと一緒に行っても暗さがなく、プライベートな空間で過ごせる。(60代/関東)

 お墓参りにまつわる思い出やエピソードも聞きました。親戚や家族が集まることが楽しかったという思い出や、お墓を間違えたエピソード、小さい頃信じていた迷信など、時代や地域を越えてどこか共通するものが感じられるようです。「命日を忘れたら、翌日事故に遭った」、お下がりを頂いたら「味がなくなっていた」(仏様が味わったから!?)など、お墓ならではの“不思議エピソード”も印象的。時代とともに、お墓の形態が変わり、多様になってきている様子もうかがえました。今年もお盆が巡ってきます。心静かに故人をしのび、日常では持てない時間を過ごす機会にしたいものですね。


出展:インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ『DIMSDRIVE』実施のアンケート「お墓参り」。
調査期間:2016年6月7日~6月24日、DIMSDRIVEモニター4,141人が回答。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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