エン・ジャパンは、運営する人材紹介会社集合サイト『ミドルの転職』上で、サイト利用者を対象に「雇用延長」についてアンケートを行ない、1,612名から回答を得ました。

【調査結果概要】

労働人口が減少し高齢化社会が進行する中、長く働き続けられる社会づくりが重要です。現行の「高年齢者雇用安定法」では、①定年の引き上げ(定年延長)、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止のいずれかが義務化されており、企業も自社に合った対策を講じています。このような制度がある中、現役として働いているミドル層の方たちはどのような意識をお持ちなのでしょうか。下記、主なトピックスをご紹介します。

★ 「雇用延長制度」に賛成は91%。
★ 6割の方が「70歳以上の雇用延長制度があれば、転職を踏みとどまる」と回答。
★ 雇用延長のメリットは「シニア世代の経験・知識が活かせる」こと。ポストが空かず、企業が若者の採用を抑えることへの懸念点も。

【調査結果詳細】

1:「雇用延長制度」に賛成は91%。

雇用延長制度について伺ったところ、9割以上の方が賛成と回答する結果に。「何十年も社会で生きていたからこその経験値があるから」、「年金制度が成り立たなくなってくる中、働く意欲と能力がある60代、70代の高齢者が所得を得るための選択肢の一つとなる」という理由から、多くの方が賛成と回答しました。一方、反対と回答した方からは「若い世代にもっとチャンスを与えるためにもリタイアしたほうがいい」、「年金の減額、支給年齢引き上げの口実になる」といった意見も挙げられました。

「賛成」と回答した方のコメント
•少子高齢化人口減という問題もあるが定年後に別の仕事をする人も多く、最近は元気な高齢者が多い。また、雇用の延長により①経験の活用、②老人化(ボケ、要介護など)の抑止、③年金問題の軽減などが見込めると思います。経済的・財政的にも有効と思います。(46歳 男性)

•既存の年金制度に対する不信感が強く、将来的には制度が維持出来なくなる可能性が高いため、老後もある程度の所得を何かしらの手段で得ないと生活が困難になりうると考える。雇用の延長は、働く意欲と能力がある60代、70代の高齢者が所得を得るための選択肢の一つとなるため、是非そうした制度を導入してほしい。(38歳 男性)

•本人の働く意思や本人の資質、役割、または雇用者側の意向によって退職時期は決められるべき。個々の条件を考慮することなく年齢だけで判断するのは良くないと考える。(51歳 男性)

「反対」と回答した方のコメント
•長期的に考えると若手の人材育成機会が減少すると思うため。雇用延長で働いている中には暇つぶし的に働く人も存在する為、職場環境の質の低下を招く。但し、若手社員の下請け業務に徹し、改善ポイントを指摘するのであれば有効だと考えるが、全体的には反対。(39歳 男性)

•人事制度改革と合わせてうまく行わないとポジションが開かず、後の世代が昇進出来ない上、同ポジションの経験をさせられず成長しない。先が詰まっているのが分かると次世代の社員のモチベーションも低下する。ひどい場合は優秀な人間から転職してしまう。(44歳 男性)

•労働力確保、従来の定年退職年齢後の受け皿の要素が見えるが、年金の支給開始年齢を遅らせるための手段と受け止めている。(52歳 男性)

2:6割の方が「70歳以上の雇用延長制度があれば、転職を踏みとどまる」と回答。

雇用延長制度は内容次第で転職を考えるきっかけになりうるか、という質問をしたところ、年齢が上がるにつれ「なりうる」と回答した方の割合が増えるという結果に。年齢を重ねるごとに雇用延長制度の重要性をリアルに感じていることが分かります。また、「雇用延長制度が転職を考えるきっかけになる」と回答した方に、雇用延長制度が何歳までなら転職を踏みとどまるかを伺ったところ、6割の方が「70歳以上」と回答しました。「昔とは違って現代の60代では、まだまだ十分に能力を発揮できる世代であるので、70歳までは十分活躍できると思うため」、「定年後の生活もあり年金が貰えるのも70歳ぐらいになると思うので、働けるうちは働かなければ生活困難に陥るリスクが高い」といった、働く意欲の高さとともに生活面への不安に対するコメントが多く挙げられました。

3:雇用延長のメリットは「シニア世代の経験・知識が活かせる」こと。一方、ポストが空かず、企業が若者の採用を抑えることへの懸念点も。

次いで、雇用延長に対するメリットデメリットを伺いました。メリットとしてもっとも多く挙げられたのは「シニア世代の経験・知識が生かせる」(66%)という点。シニア世代が持つ豊富な経験や知識は時代が変化しても活用できると考えている方が多いようです。一方、デメリットとしては「いつまでたってもポストが空かない」(46%)、「企業が若者の採用を抑えたり給与削減に向かう懸念が強い」(44%)といった回答が上位に並びました。40、50代に比べ、30代のほうがこれらの回答を挙げた割合が高くなっており、若手世代にチャンスが回ってこないことを不安視していることが分かります。


【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:『ミドルの転職』利用者
有効回答数:1,617名
調査期間:2015年9月1日~ 2015年9月30日

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[エン・ジャパン]
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