第2回「職場のコミュニケーションに関する意識調査」 

2013年07月24日
日本生産性本部は、日本生産性本部主催の階層別公開セミナー等の受講者のうち、管理職層と一般社員層を対象に2種類のアンケート調査を実施。今回は管理職層の回答の中から課長職のみの回答300件、一般社員層の回答の中からは入社2年目社員から係長・主任・職場リーダークラス(部下評価権限のない方々)までの回答539件を抽出し、比較分析を行った。


【調査結果】

1.課長・一般社員とも業務上のコミュニケーションは取れていると感じている
(1)課長の82%、一般社員の73.1%が「業務上のコミュニケーションは取れている」と感じている

「部下または後輩との業務上のコミュニケーションについて、どのように感じていますか?」の設問と「上司との業務上でのコミュニケーションについては、どのように感じていますか?」の設問に対し、課長の82%、一般社員の73.1%が「コミュニケーションは取れている」と感じている。

2.部下の能力発揮と上司のサポートにチグハグ感がある
(1)有益な情報の共有について、課長の57.7%が「共有されている」としたのに対し、一般社員は45.1%にとどまった

「職場では有益な情報が共有されていると思いますか」の設問について、課長の57.7%が「共有されている」と感じているのに対し、一般社員は「共有されている」と感じているのが45.1%である。一般社員の54.4%と課長の42.3%は「職場では有益な情報が共有されていない」と感じている。

(2)叱ることが「育成につながると思う」課長は89.0%いる一方、叱られると「やる気をうしなう」一般社員は56.8%にのぼった

「部下または後輩を褒めることについて、どのように考えていますか?」の設問に対し、ほとんどの課長が「育成につながる」と考えている。一方、ほとんどの一般社員も上司から褒められることで「うれしい気持ちになる」と感じている。
一方、「部下を叱ることについて、どのように考えていますか?」の設問に対し、89%の課長が「育成につながると思う」と回答している。一方、「上司から叱られると、どのように感じますか?」の設問に対し、42.3%の一般社員が「やる気になる」と答えているものの、56.8%の一般社員が「やる気をうしなう」と感じている。
これらのことからも、部下の特性に応じた関わり方が、より一層必要であることがわかる。

(3)部下を「褒めている」課長が80.3%いるのに対し、「上司は褒める方だ」と回答した一般社員は51.4%にとどまった

「あなたは部下を褒めますか?」の設問について、約8割の課長が「褒めている」と答えている。しかし、「上司はあなたを褒めますか?」の設問について、半数の一般社員が「上司は褒めない方だ」と感じている。課長は「褒めている」つもりでも、それが部下には伝わっていないことがわかる。

(4)職場で「率先して仕事に取り組んでいる方だと思っている」一般社員が78.3%いる一方で、部下、または後輩の仕事ぶりに「満足している」課長は37%にとどまった

「あなたは、職場で率先して仕事に取り組んでいる方だと思いますか?」の設問について78.3%の一般社員が「取り組んでいる方だと思う」と答えている。「部下または後輩の仕事に対する意欲について、あなたはどのように感じますか?」の設問には、76.7%の課長が「やる気を感じる」と答えている。このことからも、部下の仕事への姿勢は、上司に伝わっているようである。
一方、「部下または後輩の仕事ぶりについて、あなたはどのように感じますか?」の設問について62%の課長が「満足していない」、「あなたは、部下または後輩の今の能力をどのように感じていますか?」の設問について72%の課長が「満足していない」。
つまり課長は部下の「仕事へのやる気(意欲)は認めるが、仕事ぶりや能力は満足していない」と感じている。

(5)育成を「面倒だとは感じない」課長が73.3%いる一方で、育成に「自信がある」課長は41.7%にとどまった

「部下または後輩の育成を行なっていますか?」の設問について、77.3%の課長が「行っている」と答えている。「あなたは、部下または後輩の育成についてどう感じますか?」の設問について73.3%の課長が「面倒だとは感じていない」と答えているが、26.3%が「面倒だと感じる」と答えている。
一方で、「部下または後輩の育成について自信がありますか?」の設問について、「自信がない」と答えた課長が過半数(56.3%)となった。面倒とは思わない「育成」だが、自信をもてない様子を伺うことができる。
「上司はあなたを育成しようとしていますか?」の設問について、79.6%の一般社員が「育成しようとしている」と答えており、課長の「部下育成への思い」は一般社員にも伝わっているようである。

3.一般社員が、組織への貢献感や「いきいき」を感じられない傾向にある

(1)自分自身が組織にとって「重要な存在と思う」課長が73%だったのに対し、一般社員は49%にとどまった

「あなたは、自分自身が組織にとってどのような存在だと思いますか?」の設問に対し、「重要な存在だと思う」と回答したのは、課長が73.0%だったのに対し、一般社員は49.0に留まった。組織の中で相応の立場・役割を担っている課長に対し、一般社員は大きく異なる結果となった。

(2)一般社員の62.5%が「疲れ気味」と感じている一方、部下、または後輩を「疲れ気味」と感じているのは49.7%にとどまった。

残業時間に焦点を当て職場全体の働き方を聞いた「あなたは、職場全体の働き方について、どのように感じていますか?」の設問について、「残業時間が少ない方だ」と答えた課長は45.0%、一般社員は46.4%だった。残業時間の多寡に関する認識は課長、一般社員双方、大きなズレはない。
一方、職場の仲間の働く様子を聞いた「あなたは、部下、または後輩の働く様子をどのように感じていますか?」(管理職向け)、「あなたは、職場の同僚の働く様子をどのように感じていますか?」(一般社員向け)の設問について、「元気に見える」と回答した課長は49.7%、一般社員は36.9%となった。
残業時間への認識に大きな違いはなかったものの、元気に見えるかどうかについては、認識に違いが見られた。


【調査概要】
調査名:職場のコミュニケーションに関するアンケート(管理職用・一般社員用)
調査対象:日本生産性本部経営開発部主催の階層別教育プログラム等への参加者
調査期間:2012年6月~2013年3月
有効回答数:課長職300名一般社員539名

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[日本生産性本部]
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