中小企業の景況感と自社の課題に関する調査(中小企業の経営者対象) 

2019年03月19日

あしたのチームは、中小企業の経営者を対象に景況感と自社の課題に関するインターネット調査を実施いたしました。

その結果、2020年までの国内景気にはできるが長くは続かないと考えていること、自社の課題として「従業員の採用・育成」や「後継者の育成」などが挙げられ、特に地方の中小企業にとって人材確保や後継者育成が切迫した課題であることがわかりました。

調査トピックス


≪中小企業の景況感≫
  • 中小企業経営者の国内景気予想 「好転」予想は2020年までは39.6%、2025年までは18.6%
≪中小企業の強みと課題≫
  • 自社の強み 1位「お客様ニーズへの対応力」51.3%、2位「商品・サービスの品質」37.3%
    地方では都市部に比べ「技術力」「他社との提携関係」の回答割合が高い。
  • 自社の課題 全体 1位は 「売上拡大」51.7%。地方では“人”が課題に
    地方企業の課題 1位「従業員の採用・育成」52.0%、2位「後継者の育成」46.7%
  • 従業員の採用・育成のために現在行っているのは“人材確保”、今後行いたいのは“定着率アップ施策”
    現在取り組んでいること 1位「定年延長・再雇用」52.0%、2位「女性の積極的な採用・登用」45.9%
    今後取り組みたいこと 1位「賃金・人事評価制度の見直し」36.5%、2位「福利厚生制度の見直し」31.1%

調査結果


1.中小企業の景況感

① 2020年まで、2025年までの国内景気予想
2020年までの国内景気、2025年の国内景気について、それぞれ現在と比較してどのようになると思いますか。(単数回答)n=300

中小企業の経営者に2020年までと2025年までの国内景気予想を聞いたところ、2020年までは「好転する」5.3%、「やや好転する」34.3%を合わせて39.6%と、4割近くが好転予想と回答しました。2025年までは「好転する」2.0%、「やや好転する」16.3%を合わせた好転予想は18.3%と2割未満、「やや悪化する」29.0%、「悪化する」16.0%を合わせた悪化予想は45.0%となりました。2020年までは消費増税前の駆け込み需要や軽減税率による消費への好影響、東京オリンピック・パラリンピックによる建設・製造需要や観光消費の増加などによって、一時的な景気上昇が見込めるものの、2025年まではその反動を懸念している結果なのかもしれません。

② 1年後の自社の収益予測
あなたの会社の1年後の収益の見通しをお答えください。(単数回答)n=300

自社の1年後の収益の見通しを聞き、都市部の企業(本社:東京・大阪)と地方の企業(本社:東京・大阪以外の道府県)で比較しました。都市部では「良くなる」8.7%、「やや良くなる」27.3%と増益予測が36.0%、地方では「良くなる」5.3%、「やや良くなる」23.3%と増益予測が28.6%となりました。都市部と地方では、わずかではありますが1年後の見通しの明るさに差が出る結果となりました。

③ 経営にとって明るい兆しとなると思うこと
会社経営にとって明るい兆しとなると思うことをお答えください。(複数回答)n=300

経営にとって明るい兆しとなると思うことを聞きました。第1位は「安定した取引先の存在」61.7%、第2位は「他にはない技術やノウハウ」45.0%、第3位は「組織・会社の一体感」28.0%となりました。取引先や自社の技術・ノウハウ、組織の一体感など自社に身近な要因を明るい兆しとする経営者が多く、「東京オリンピック・パラリンピックや大阪万博による特需」14.3%、「経済政策」13.7%など外的要因に期待をする声は少ないことがわかりました。

2.自社の強み・課題

① 自社の強み
あなたの会社の強みをお答えください。(複数回答)n=300

中小企業における自社の強みとして最も多い回答は「お客様ニーズへの対応力」51.3%、次いで「商品・サービスの品質」37.3%となりました。都市部と地方で比較して5ポイント以上の差があった項目を見ると、地方の企業では「技術力」42.0%、「他社との提携関係」19.3%が都市部の企業と比べて上回っています。地方企業ではこれまでに培った技術力や他社との提携関係を強力な基盤と考える経営者が多いようです。

② 自社の課題
あなたの会社の課題としてあてはまるものをお答えください。(複数回答)n=300

自社の課題を聞いたところ、全体の第1位は「売上拡大」51.7%となりました。特に都市部の企業では57.3%と6割近くが回答しています。一方、地方企業だけを見ると、第1位「従業員の採用・育成」52.0%、第2位「後継者の育成」46.7%と会社を支える“人”に関する項目が上位となっています。少子高齢化や人口流出が進む地方では人材確保や後継者育成が切迫した課題であることが明らかになりました。

③ 従業員採用・育成に対する現在の取り組みと今後取り組みたいこと
従業員の採用・育成のために現在取り組んでいることと、現在は取り組んでいないが今後取り組みたいことをお答えください。(複数回答)n=148 ※自社の課題として「従業員の採用・育成」を回答した方

【2-② あなたの会社の課題としてあてはまるものをお答えください。】で「従業員の採用・育成」と回答した方に、従業員の採用・育成のために現在取り組んでいることと、現在取り組んでいないが、今後取り組みたいことを聞きました。現在取り組んでいることの第1位は「定年延長・再雇用」52.0%、第2位は「女性の積極的な採用・登用」45.9%と、人材確保に関する項目が上位となりました。第3位は「若手の登用・年功主義の見直し」39.9%と、役職や報酬面での若い世代のやりがい創出を採用・育成の足がかりにしようとしていることが伺えます。

現在取り組んでいないが、今度取り組みたいことの第1位は「賃金・人事評価制度の見直し」36.5%、第2位は「福利厚生制度の見直し」31.1%となりました。正当な賃金・人事評価制度や、福利厚生制度の充実により、定着率を上げ雇用を安定させたいと考える経営者が多いのではないでしょうか。

調査概要


■インターネット調査
■全国の従業員5人以上300人未満の企業の経営者、20歳~79歳の男女
■有効回答数:300人(<都市部>東京都・大阪府に本社を置く経営者:150 人、<地方>東京・大阪以外の道府県に本社を置く経営者:150人)
■調査実施日:2019年2月19日(火)~2019年2月21日(木)

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[あしたのチーム]
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