生物多様性に関するアンケート<2018年度調査> 

2019年02月19日

経団連は、経団連企業会員及び生物多様性民間参画パートナーシップ(JBBP)企業会員を対象に、生物多様性に関するアンケート(自然の恵みと事業活動の関係調査)を実施。

調査目的


(1) 「愛知目標」の達成に向けて、生物多様性の主流化を推進すべく、企業の認識や取組み状況等を把握
(2) 企業における取組みを充実化すべく、先進的な活動事例を共有
(3) 本年度は、2009年度(愛知目標以前)と2018年度との比較を行うことで、日本経済界における「生物多様性の主流化」に関する状況を調査

調査結果のポイント


1.愛知目標採択以前(2009年度)と2018年度の状況を比較すると、日本企業の意識・行動が変化。日本の経済界における「生物多様性の主流化」は大きく進展。

(1) 経営理念や経営方針等に「生物多様性保全」の概念を盛り込んでいる企業は、2009年度38%(118社)から2018年度には76%(235社)へと、倍増(117社増)。2009年度当時も既に高い比率だった「自然保護」「自然環境教育」もさらに増加(自然保護:70%→88%〔54社増〕、自然環境教育48%→69%〔65社増〕)。〔問3〕

(2) 「生物多様性宣言」や生物多様性に関する「行動指針」等を作成している企業は、2009年度24%(73社)から2018年度には58%(181社)へと、倍以上に増加(108社増)。〔問4〕

(3) 環境報告書やホームページ等を通じて、生物多様性に関する情報公開を実施している企業は、2009年度42%(129社)から2018年度には74%(231社)へと、大きく増加(102社増)。非財務情報の開示やESG投資等への関心の高まりも一因と考えられる。 〔問5〕

(4) 事業活動と生物多様性の関係性についての把握は、困難とされながらも着実に浸透。関係性を把握している企業は、2009年度33%(101社)から2018年度には78%(242社)へと、倍以上に増加(141社増)。〔問6〕

(5) 取組みに関する具体的な目標を設定している企業は、2009年度28%(88社)から2018年度には62%(193社)と、倍増(105社増)。生物多様性の問題は地域性が強く、定量化が難しいなか、定性目標も活用しつつ、業種・業態に応じた目標設定に努める状況が伺える。〔問7〕

2.日本企業における生物多様性の主流化の最新状況と課題

(1) 昨年度に引き続き、生物多様性に関して、経営層の意識は高い。「生物多様性」や「愛知目標」の認知度はそれぞれ90%(279社)、72%(224社)と、高水準。一方で、「生物多様性」に関する従業員の言葉の意味を理解した上での認知度は5割超に留まっており、この向上が今後の課題。〔問1、2〕

(2) 約6割(58%/181社)の企業が、生物多様性に関する「宣言」「行動指針」「ガイドライン」等を作成。
事業活動への組み込みや関連技術開発等を実施(54%/168社)。〔問4、13〕

(3) 生物多様性主流化の阻害要因は、「目標・指標の設定、定量化・経済的評価が困難」(61%/189社)、「事業の利益に結びつきにくい」(52%/162社)、「本業との関連性が低い」(37%/114社)。〔問14〕

(4) 8割を超える企業が具体的に活動を実施・計画しているのは、省エネ等環境対応商品の採用・販売(89%/278社)、従業員環境教育(87%/269社)、グリーン調達(85%/264社)、認証商品や環境対応商品の利用等(82%/255社)、従業員やその家族による保全活動(への協力)(80%/250社)。〔問15]

(5) 各社がアピールしたい具体的な活動事例として218社から603件寄せられた(昨年度より52件増)。
活動事例とSDGsのゴールとの関連性は、目標15「陸の生態系を守ろう」(456件)が最も多く、続いて目標13「気候変動に具体的な対策を」(230件)、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」(184件)、目標14「海の豊かさを守ろう」(162件)となっている。
生物多様性の取組みは、ESG経営やSDGsの複数のゴールにも貢献することを認識し、愛知目標
達成に向けたラストスパートとして、自主的取組みのさらなる深化と、取組み主体の裾野拡大が重要。〔問16〕

調査概要


■調査対象:
(1) 経団連企業会員(約1,360社<経団連自然保護協議会会員含む>)
(2) 生物多様性民間参画パートナーシップ(JBBP)企業会員(約400社)
※ 2011年度から2015年度まで、(2)のみを対象に実施してきた調査について、2016年度から、調査対象に(1)も加えて毎年度実施
■調査期間:2018年9月~11月
■有効回答数:311社 (うち、JBBP 企業会員 151社)
※ 昨年度 2017年調査(275社)より 36社回答増

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[経団連]
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