契約トラブル実態調査(中小・ベンチャー企業に従事する男女対象)
2018年11月26日GVA TECH は、中小・ベンチャー企業に従事する男女360名を対象に契約トラブル実態調査を行いました。
事業のグローバル化や複雑化が進む企業活動において、経営基盤である法務への重要性は年々高まっています。一方で、調査の結果、多くの企業において専門家による契約書確認が行われていない実態が明らかとなりました。トラブルの原因上位として「納期の遅れ」「成果物の質」「責任の所在」等が挙げられているのも、契約内容の十分な確認がなされていないためと考えられます。
また、約4割弱が契約締結までに1カ月以上かかると回答しており、契約手続きの長期化がビジネスの遅延やリスクを生み、最悪の場合案件の失注にまで影響するケースもあることが分かりました。このことから、トラブル回避やトラブル発生時の適切な対処のためにも、契約書確認や内容理解を徹底し、迅速な契約締結を行うことが重要であるといえます。
調査結果概要
- ベンチャー・中小企業社員の約4割がシステム開発に関するトラブルを経験
- トラブルの原因上位は「納期の遅れ」「成果物の質」「責任の所在」
- 3人に一人は自身が関わるプロジェクトの契約内容について「理解していない」
- 契約確認において弁護士や法務部が関与しない企業が多数
- 4割弱が契約締結までに1ヵ月以上かかると回答
- 契約締結までのフローにおいて6割が「先方との調整・交渉」に最も時間がかかると回答
- 契約に時間がかかることで、「契約締結前からサービス提供を行った」、「契約工程の間に失注した」というケースも目立つ
調査結果
1.ベンチャー・中小企業社員の約4割がシステム開発に関するトラブルを経験
システム開発のプロジェクトにおける「契約先とのトラブルを経験」を尋ねたところ、全体の4割がトラブルの経験ありと回答がありました。また、そのうちの半数は「2~5回(19.4%)」と複数回経験しており、中には「10回以上(8.3%)」経験しているという回答も見られました。
2.トラブルの原因上位は「納期の遅れ」「成果物の質」「責任の所在」
「システム開発に関する契約先とのトラブルの原因」を尋ねたところ、「納期の遅れ(28.5%)」、「成果物の質(26.9%)」、「責任の所在(16.9%)」、「金額(15.8%)」、「人間関係(11.0%)」の順で多い結果となりました。
3.3人に一人は自身が関わるプロジェクトの契約内容について「理解していない」
「契約先との契約内容についてすべてを理解していましたか」と尋ねたところ、「全く理解していなかった(13.9%)」、「あまり理解していなかった(20.6%)」と続き、3人に一人は契約内容を理解していない現状が明らかとなりました。
4.契約確認において弁護士や法務部が関与しない企業が多数
「通常、社外と契約を結ぶ際、社内では契約書を誰が確認していますか」と尋ねたところ、「自業務の責任者(39.4%)」が最多で、「事業部の案件担当者(34.4%)」、「社長(24.4%)」と続き、「弁護士」は1割以下、「法務部員」という回答も1割強と、法務専門家が確認をしている企業は少ないという現状が洗い出されました。
5.4割弱が契約締結までに1ヵ月以上かかると回答
契約に関する合意から契約締結にかかる時間について質問したところ、最多が「1か月(22.5%)」という結果となりました。また、「2~3ヶ月(8.9%)」、「4~5ヶ月(1.7%)」、「半年以上(5.3%)」と、4割弱が契約締結までに1ヵ月以上かかると回答していました。
6.契約締結までのフロー、約6割が「先方との調整・交渉」に最も時間がかかると回答
「契約締結までに最も時間がかかるフローは何ですか」という質問に対し、「先方との調整・交渉(59.4%)」との回答が最多となりました。
7.契約に時間がかかったことで、約2割が「先方から催促をされた」経験有り
「契約締結までの間に生じたできごとを選んでください」という質問に対し、「先方から催促された(19.6%)」が最多、続いて「契約締結前からサービス提供を行った(11.9%)」、「契約工程の間に失注した」が9.4%という結果でした。
調査概要
調査名:中小・ベンチャー企業の契約トラブル実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2018年11月13日~11月14日
調査対象:ソフトウェア・情報サービス業に従事する男女360名