生産性向上・ICT活用状況に関するアンケート調査(中小企業を中心とする東京商工会議所会員企業対象) 

2017年03月02日
東京商工会議所は、中小企業を中心とする会員企業の足元の状況を把握することを目的として、このたび標記調査結果を取りまとめました。
労働力減少が確実となる中、個々の企業の生産性向上こそが日本の経済成長の原動力となりますが、中小企業の経営基盤は脆弱であり、生産性は大企業の平均値を大きく下回る状況です。

【調査結果概要】

1.事業計画の作成状況

・事業計画(販売計画、生産計画、資金計画等)を「毎年作成しPDCAを回している」33%、「作成しているが成果検証が不十分」26%と、6割の企業は作成しているが、4割の企業は事業計画を作成していない。
・黒字の企業では、「毎年作成しPDCAを回している」41%、「作成しているが成果検証が不十分」25%と、66%が事業計画を作成している。収支トントンの事業者は「作成している・していない」がほぼ半数ずつ。回答企業のうち経常利益が赤字の企業の58%は事業計画を作成していない。

2.マーケティング担当部署の有無

・マーケティング(販売促進、顧客分析、商品開発企画等)の専門部署がある企業は全体の8%、兼務部署がある企業は20%で、組織的な対応を行っている企業は3割弱にとどまる。必要に応じて社長・役員が実施している企業は38%、マーケティング担当が無い企業も35%存在する。
・従業員規模が小さい企業ほどマーケティング担当部署が無い。101人以上の企業でようやくマーケティング担当の存在する企業が6割超となる。
・売上増加傾向の企業の34%はマーケティング担当部署があるが、売上減少傾向の企業では19%に止まる。

3.自社の生産性についての認識

・同業他社に比べて自社の生産性が高いと思う企業は全体の3割、高いと思う理由は
1位「取引先・顧客への信用力がある」(51%)
2位「製品・サービスの品質面で競争力がある」(31%)
取引先や顧客からの評価や競争力など「稼ぐ力」に直結する強みが生産性向上に繋がっていると判断する企業が多いようだ。
一方で、自社の生産性が高いのか低いのか「わからない」企業も3割存在する。

4.生産性向上のボトルネック

・「生産性向上のボトルネック」(内部要因)としては、
1位「人材の確保が困難であること」(47%)
2位「競合による低価格化」が課題」(33%)
3位「商品力・マーケティングの不足」(32%)
・従業員規模が大きい企業では人件費の上昇を課題とする声があがっている(29%)。101人~300人の企業では、「人材確保が困難」な企業が64%にのぼる。
・「生産性向上のボトルネック」(外部要因)としては、
1位「消費者の購買力の低下」(28%)
2位「市場見通しが立たないため設備投資ができない」(15%)
3位「不合理な商習慣」(12%)
・規模別にみると、従業員301名以上の企業では、海外展開の難しさ(18%)や為替変動の影響(21%)を訴える声が強い。

5.生産性向上の取り組み

・『既に行っている生産性向上の取組』は
1位「適材適所の人員配置」(43%)
2位「社員のコミュニケーションの円滑化」(38%)
3位「人材育成・スキルアップ」(37%)
・次いで、「新販路の開拓」や「各種データの有効活用」、「業務の見える化による意思決定の迅速化」、「顧客満足度の向上」など経営力の強化につながる取り組みに力を注いでいる。
・『今後強化する取組』は
「人材育成・スキルアップ」が1位(40%)
「ムダな作業・業務の削減」が2位(36%)
「新販路開拓」「新分野・新規事業への進出」「新製品・サービスの開発」を強化したい企業も多い。
・「在宅勤務等柔軟な働き方の導入」については現在は9%と少ないものの、今後導入を検討する企業は26%となっており、人手不足が深刻化する中、働き方改革により人材確保を模索する姿がうかがえる。

6.生産性向上のためのICTの活用状況

・社内のICT化、セキュリティ対策の牽引役を担う情報システムの専門部署がある企業は全体の14%。ほとんどの企業では、「兼務する部署・担当者」、「必要に応じて社長・役員」が対応しているのが実態。
・セキュリティ対策について、ウィルス対策ソフトは情シスが無い企業でも9割が入れているが、重要なファイルへのパスワード設定47%、従業員向けの研修17%、メール等での注意喚起23%と、セキュリティ対策の重要な側面である社員教育が充分とは言い難い状況である。
・ハードウェアについて、社内LANは全体の7割、複合機は9割の企業が導入している。
・ソフトウェアについて、財務会計システムは全体の6割の企業が導入しているが、顧客管理、見積書作成、発注・仕入管理等の業務システムの導入率は全体の2割程度に留まっている。
業種毎に必要と思われるシステムを見ても、
POSレジシステム:飲食業24%、小売業23%
発注・仕入管理システム:卸売業35%、小売業28%
物流・在庫管理システム:運輸業28%、卸売業24%
と、効率化につながる業務システムの導入率はまだ低い。

7.IoT、ビッグデータ、AI等の利用意向

・IoT、AI等の利用状況を尋ねたところ、既にビジネスに活用中の企業はIoT6%、ビッグデータ3%、ロボット3%と、わずかに止まる。
・「関心があり活用したい」、「活用したいが方法や効果がわからない」企業はそれぞれ数%から10%。
・「活用すべき分野がない」「導入する予定はない」「無回答」の企業は7割~9割にのぼる。

8.行政や商工会議所に望むこと

・生産性向上に向けて、行政や商工会議所に望むことは、
1位「多様な人材の確保・活用支援」38%
2位「人材育成の支援」37%
3位「設備等の為の助成制度の整備・拡充」31%
が上位を占める。
・小規模企業では「参考となる好事例の紹介」(31%)を求める声が多く、51人~100人の企業では「多様な人材の確保・活用支援」(55%)「人材育成支援」(46%)を望む声が強い。101名以上の企業では「設備・ICT投資のための助成制度の整備拡充」(4割以上)への期待が強い。


<調査概要>
調査期間:2016年12月1日~12月20日
調査対象:東京商工会議所会員企業10,000社
調査方法:郵便送付/FAX・メール返送
回答数:1,087
回収率:10.8%(回収数/発送数)

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