子ども参加に関する意識調査 2014 

2014年11月20日
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、岩手県山田町、陸前高田市、宮城県石巻市の3地域の小学4年生~高校生を対象に、「Hear Our Voice 9 ~子ども参加に関する意識調査2014~」を実施。

この調査では、2011年、2012年の調査 に引き続き、東日本大震災後の地域の復興に子どもが参加することについて、子ども自身がどのように認識しているかを把握するために実施しました。また、子どもが復興に参加するためには、おとなのサポートが必要であるため、おとなに対しても調査を実施しました。その結果、13,957人の子どもたちと3,687人のおとなから有効回答を得ることができ、下記のことが明らかになりました。

【調査結果概要】

1.子どもの結果について

① 約 7 割の子どもたちが「自分のまちの復興に関わりたい」と回答し、子どもたちは 2011 年度、2012 年度の調査と同様に地域の復興に関わりたいと考えている。2012年度の調査結果と比べ、「復興に関わりたい」と回答した子どもの割合は若干(2.6%)減ったが、関わりたくない理由として「勉強もしくは部活で忙しい」が多く、震災前の子どもの学校生活が徐々に回復しつつあることが原因であると考えられる。

② また「復興に関わりたい」という意識は高いが、「実際に関わった」という子どもの割合が少ない結果となった。

③ 今回の調査では「復興のためにどんなことをしたいか」の選択肢として「まちづくりの活動に参加」「震災を語り継ぐ」という選択肢を増設したが、これらの項目を選択した子どもが多い。

④ 「関わりたくない」「関わっていない」理由の中で「何をしたらいいか分からない」、「関わる機会がない」が突出しており、2012 年度の調査結果と同様の傾向が見て取れる。これは未だ、子どもが復興に関わることについての情報や機会の提供が少ないことが原因だと考えられる。

⑤ SCJ の「子ども参加によるまちづくり事業の活動に参加した」子どもの方が、「復興に関わりたい」、「実際に関わった」双方について割合が高い。

⑥ 「復興についておとなに伝えたいこと」については、2012 年の調査に比べて「特になし」「ありません」と答える子どもが増えた。

⑦ 「復興についておとなに伝えたいこと」について「特になし」「ありません」以外の記述をする子ども、すなわち自分のまちの復興についておとなに具体的に伝えたいことがある子どもの方が、「子どもの意見が復興に良い影響を与えることができる」と思う割合が高い。


2.おとなの結果について(※2)
おとなには次の 5 つの質問に回答してもらった。

2.あなたは、地域の子どもが復興に向けたまちづくりに参加することをどう思いますか?
3.あなたは、地域の子どもたちが地域の復興に関わることに協力したいと思いますか?
4.あなたは、地域の子どもたちが地域の復興に関わることに協力していますか?
5.あなたは、地域の復興について子どもの意見を聞いていると思いますか?
6.あなたは、ふだんから子どもの意見を聞いていると思いますか?

① 2および3について、大多数が肯定的な回答をしており、子どもが復興に向けたまちづくりに参加することについて、概ね肯定的な印象を持っていることが分かった。

② しかし4については約 7 割の人が「いいえ」と答えている。その理由として、「周りに子どもがいない」、「年齢や健康上難しい」といった理由の次に、「機会がない、協力の場がない」「情報がない」「協力の仕方が分からない」が多い。一方で「はい」と答えた人は、「復興やまちづくりについて子どもと話し合う」「子どもに復興やまちづくりの情報を提供する」「復興やまちづくりに関わる子どもの活動に参加する」等の形で協力している。

③ 6については肯定的な回答が過半数であった。しかし5については、肯定的な回答がかなり少なくなっており、子どもが復興に向けたまちづくりに参加することは良いと考えおり、ふだんから子どもの意見は聞いていると考えているものの、実際には復興に関する子どもの意見は十分には聞いていないと言える結果になった。


※2 調査の制約について
おとなの調査を行うにあたって、標本調査に必要となる上記調査地域の成人人口の名簿などの個人情報が一 NGO では入手不可能であったため、自治体の協力を得て、全世帯を対象とした郵送調査を実施した。しかしながら、回収率が低く、調査結果にポジティブ・バイアス(肯定的先入観)がかかっている可能性が否めないため、おとなの調査結果はあくまでも参考事例として紹介するにとどめる。


【調査概要】
・調査地域:岩手県山田町、岩手県陸前高田市、宮城県石巻市 (「子どもまちづくりクラブ」実施地域)
・調査対象:
 子ども…対象地域内にある学校に通う小学 4 年生~高校生、合計 16,810 人
 (小学校 54 校、中学校 26 校、高校 14 校、特別支援学校 4 校 :計 98 校)
  ※実施した学校一覧は詳細レポートに掲載予定。
 おとな…対象地域内にあるすべての世帯、合計 72,233 世帯
・調査方法 :
 子ども…小中学校は教育委員会を経由し文書箱にて送付、高校は直接送付し、教師のガイダンスによる自記式で回答。特別支援学校については、必要に応じて教師のガイダンスを丁寧に行い、自記式で回答。
 おとな…自治体の協力のもと対象地域全世帯に配布し、各世帯の中で 19 歳以上の 1 名が自記式で回答。
・調査期間 : 2014 年 9 月 1 日~10 月 10 日
・有効回答数 : 子ども 13,957 件、おとな 3,687 件

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン]
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