2型糖尿病に関する患者さんと医師への調査(日本を含む世界6カ国) 

2013年12月04日
ノバルティス ファーマAG(スイス)は、日本を含む世界6カ国(米国・イギリス・スペイン・日本・インド・ブラジル)の2型糖尿病にかかわる医師と患者さんを対象とした糖尿病に関する実態調査「Time 2 Do More in Diabetes(今こそ糖尿病を考える時)」*の結果を発表。

今回の調査は、米国糖尿病協会(ADA)や欧州糖尿病学会(EASD)で開催された運営委員会の監修のもと、世界6カ国の2型糖尿病を治療する医師337名と治療を受けている患者さん652名の計989名を対象に、オンライン調査によって実施されました。そのうち日本での調査は、医師56名(専門医16名、一般開業医/内科医40名)と患者さん101名を対象に行われました。

調査の結果、2型糖尿病の疾患や治療に関する医師の説明の程度と、患者さんの理解・記憶の程度には差があり、患者さんの血糖コントロールについても取り組みの不十分な点が明らかにされ、医師と患者さんの間にある糖尿病管理上の課題が浮き彫りになりました。

■世界6カ国の調査結果:
世界6カ国調査の結果、医師は、目標の血糖値を達成できる2型糖尿病の患者さんは全体の半数程度であると予想しており、血糖コントロールへの期待値があまり高くないという課題が示されました。また診断時の糖尿病に関する5つの主要なテーマ(「生活習慣の見直し/食事・運動療法」、「疾患とその原因」、「薬物治療」、「2型糖尿病のリスクと合併症」、「HbA1cの重要性」)についての説明状況については、5つの項目すべてを患者さんに説明したと回答した医師はすべての国で8割を超え、十分な説明を患者さんに行っているという認識は、6カ国間でほとんど差異はありませんでした。

一方、2型糖尿病の患者さんにおいては、生活習慣の改善が重要という医師からの指導を受けたにも関わらず、「運動量の改善」を実践できている人は全体の40%にとどまり、「医師から勧められた食習慣に変える」ことができた人も半数(49%)にとどまるなど、患者さんが生活習慣の見直しをすることの困難な状況が浮き彫りになりました。さらに、患者さんの4分の3は糖尿病の合併症の発症をあまり気にしていないか、現在その危機はなさそうだと感じていました。

■日本の調査結果:

日本の調査結果からは、以下の点が示されました。

・医師が診断時に、患者さんに上述の5 つの主要なテーマを話しているかという点では、6カ国の結果同様に、日本の医師も10人に9人が説明したと回答しました。

・医師からの説明に対する患者さんの理解度では、「低血糖とその治療」や「治療費」、「副作用」についてはいずれも2割以下(順に、15%、16%、19%)の患者さんしか理解していませんでした。「食事・運動の生活習慣の改善」は半数(51%)が、「血糖値コントロールの重要性」や「薬物治療」、「潜在的なリスクと合併症」については4割近く(順に39%、38%、36%)が理解していましたが、他国と比較した場合の日本の患者さんの理解度は全項目において6カ国中で最も低く、疾患や治療への理解度の不十分さが明らかになりました。

・医師から説明された5つの主要なテーマのうちで記憶している項目については、「HbA1cの重要性」(49%)が5項目中で最も記憶されている割合が低く、かつ6カ国中でも最も低い割合だったことから、日本におけるHbA1cのさらなる啓発の必要性が示唆されました。さらに、「2型糖尿病のリスクと合併症」について記憶していた割合もほぼ半数(55%)にとどまりましたが、この項目は他の5カ国でも高い割合ではなく、患者さんが「リスクと合併症」を常に念頭に置いて血糖コントロールに取り組む難しさは、世界共通であることが示されました。

・医師からの診断後の指導で、実際に食生活の改善に取り組んだ患者さんは4分の1(27%)にとどまり、これは6カ国中で最も低い割合でした。また、運動量を上げたと回答した患者さんも同じ割合(27%)で、この割合は6カ国中5番目に低い結果で、実際に生活改善に取り組むことの難しさが浮き彫りとなりました。

2型糖尿病における血糖コントロールの意義は、進行に伴って将来生じる可能性のある、さまざまなリスクや合併症を予防することです。この血糖値管理の重要性やリスクに対する理解や認識の低さは、実際に血糖コントロールに取り組む際の医師、患者さん双方にとって障壁となりえますが、今回の調査からはそうした背景が浮かび上がってきました。また、2型糖尿病治療における食生活や運動習慣の改善はこれまでも大きな課題とされてきましたが、診断後に取り組んだ患者さんはわずかに4分の1という結果から、今後の日本においても、より実行可能な非薬物療法への取り組みの必要性が示されました。世界的にはもちろん、日本においても、こうした2型糖尿病治療に関するさまざまな課題や障害への理解を深め、医療従事者と患者さんが共に協力しあいながら、患者さんのケアをより向上させる活動に取り組んでいただくことが望まれます。

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[ノバルティス ファーマ]
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