「ビジネス会議で使われる英語」に関する調査 

2013年11月07日
国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、大学英語教育学会(JACET)とビジネスの場で使われる英語(EBP=English for Business Purposes)に関して共同研究を行った。本研究は、ビジネスにおいて英語の必要性が急速に高まる中、ミーティングにおける英語スキルの必要性が指摘されているという背景をうけて、実際に業務で英語を使用している管理職に対してアンケート調査を実施したもの。

【本調査の主な内容】

◆会議に必要な英語力にはTOEICスコアで300点不足

回答部署の社員の現在のCEFR(※1)平均レベルはB1、目標レベルはB2.2という結果になりました。
■現在のレベル:CEFRレベル B1・TOEICスコア 550点~
標準的な言葉遣いではっきりとした発音であれば、事実に関した情報をやり取りしたり、指示を受けたり、実際的な問題の解決策を論じたりする、定例の公式の議論に参加することができる。

■目標レベル:CEFRレベル B2.2 (※2)
(※2) ETSによるTOEICスコアとCEFRレベル比較調査では、B2レベルは785以上、C1は955以上となっており、B2.2はその間と推定される。
活発な議論についていき、支持側と反対側の論理を的確に把握できる。自分の考えや意見を正確に表現できる。また、複雑な筋立ての議論に対し、説得力をもって見解を提示し、対応できる。
なお、日本人が国際交渉を第一線で行うのに必要な英語力はTOEICスコアで850点以上(※3)という結果がでています。
(※3)「企業が求める英語力」調査報告書 (平成20年3月) 小池生夫他 提言より(p.274-279)
(※1)CEFRレベルとは
Common European Framework of Reference for Languagesの略称。 ヨーロッパ言語共通参照枠などと訳される。欧州内の人材流動化にともなって、人材の適正な言語力評価を欧州統一基準で行う目的などから作られた枠組みで、外国語学習者の習熟度レベルを示すガイドラインとして欧米で幅広く導入されている。A1~C2まで合計6段階のレベルで言語力を表わしており、TOEICプログラムの各スコアはCEFRレベルでおおよそA1~C1程度の英語力を測定する(うちB2・A2レベルについては2つに分割されて測定)。

◆英語の会議はノンネイティブ同士が主流

英語の会議では、参加者の7割以上がノンネイティブという結果になりました。
【社内の会議】ノンネイティブ 82%(日本人 57% + ESL 9% + EFL 16%) : ネイティブ 18%
【提携先との会議】ノンネイティブ 73%(日本人 37% + ESL 16%+ EFL 20%) : ネイティブ 27%
【社外の会議】ノンネイティブ 75%(日本人 35% + ESL 14% + EFL 26%) : ネイティブ 25%
 
※ESL:英語圏における第二言語としての英語(の学習者)
※EFL:非英語圏における第二言語としての英語(の学習者)

◆回答者、回答部署の特徴

~英語による業務は3割を超え、社内での英語会議は月5回~
【回答者】
・回答者は、業務上英語を使用している管理職。
・回答者の英語使用歴は10-15年、海外業務経験は3-4年。
【回答部署】
・回答部署の英語使用率は32.8%-34.8%であり、英語による業務が3割以上。
・回答部署の英語会議開催頻度は社内5.1回、提携会社と2.5回、社外と2.7回/月。

◆第一次webアンケートでの結果の一例

◆Q:英語によるビジネスミーティングの「準備」から「結論を下す」までに遭遇する様々な場面でスムーズな運営や展開が難しいのはどれですか?

A:論点を整理し、コンセンサスを得たり、判断や結論をくだすなど、相手の主張を斟酌し、応対する過程において困難度が高いという結果がでました。

◆Q:英語によるビジネスミーティングでスムーズな運営や展開が難しい場面でスピーキング力・リスニング力・会議力や人間関係についてどのようなことが起きていますか?

A:微妙なニュアンスを理解していない、また伝えていないなど、細部の説明を伝えることが難しい、という回答となりました。

◆Q:会議がスムーズに運営、展開されない場面で、その原因としてどのような英語力の不足があてはまりますか。

A:速いスピードの英語を次々と理解するリスニング力や様々な発音の英語を聞き取る力が際立って困難であるという回答になりました。

◆Q:ミーティングの運営・展開がスムーズでない時、ミーティング参加者のどのような精神的・心理的要因が観察されますか。

A:英語力に自信が持てずに発言を躊躇したり、気後れして積極的に発言する姿勢がないという精神的な要因がある人は5割以上もいることがわかりました。


【調査概要】
・研究名称:英語によるビジネスミーティング実態調査
・調査対象者:業務上実際に英語を使用している国際部門等の管理職
・調査目的:調査対象者が管理している部署での英語ビジネスミーティングにおいて、どのような英語力が必要なのか、またどのような点で困難が生じているのかを解明するとともにその解決法を探る。
・実査期間:2013年2月5日~4月30日
・調査方法:オンラインアンケート アンケート結果をもとにTOEICスコアとの比較などを分析しました。
・有効回答数:合計909件(内訳:第一次webアンケート 277件、第二次webアンケート632件)

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[国際ビジネスコミュニケーション協会]
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