2018年度のプリンタ世界市場調査 

2018年08月23日

矢野経済研究所は、2018年度のプリンタ世界市場を調査し、各種の出力機器の出荷台数・出荷金額、それぞれの利用動向、参入企業シェア・動向、将来に向けた需要動向を明らかにした。

〈プリンタとは〉
 本調査におけるプリンタ(出力機器)とは、オフィス向け(ページプリンタ【中-低速】、MFP【複合機/複写機】、インクジェットプリンタ)、業務用/産業向け(シリアル・インパクト・ドット・マトリクスプリンタ【SIDM】、ライン・インパクト・ドットプリンタ、プロダクションプリンタ、LFP[Large Format Printer]、その他)、コンシューマ向け(フォトプリンタ、インクジェットプリンタ)の各機器を対象とした。
 また、プロダクションプリンタは、従来のデジタル印刷機に、ページプリンタ【高速】などトランザクション系プリンタを加えて算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
ページプリンタ【中-低速】、MFP【複合機/複写機】、インクジェットプリンタ、シリアル・インパクト・ドット・マトリクスプリンタ【SIDM】、ライン・インパクト・ドットプリンタ、プロダクションプリンタ、LFP(Large Format Printer)、フォトプリンタ、カッティングプロッタ、デジタル印刷機(有孔)、デジタルラベル印刷機、業務用フォトプリンタ、カードプリンタ、バーコード/ラベルプリンタ、産業用日付/マーキングプリンタ、プリント・アンド・アプライシステム

1.調査結果概要

 2017年度のプリンタ(出力機器)の世界出荷台数は前年度比98.0%の9,845万8,000台、同出荷金額は同96.4%の5兆7,426億円(いずれもメーカー出荷ベース)となった。2017年度は前年度に引き続き、家庭での出力機会の減少やオフィスにおけるプリンタの最適配置、あるいはハイスペックな機器導入による全体的な設置台数の減少などにより、市場は微減となった。加えて、IT関連では技術革新への対応や、人手不足解消のための省力化に対する投資が優先され、プリンタへの投資には積極的なマインドが働かず、プリンタメーカーが期待するほどには機器のリプレイスも進まなかった。

 2018年度は、中国で金融業界に対する規制の強化が始まることなどから、成長率が低下する見通しである。その減速がアジア新興国をはじめ世界経済に波及する可能性があり、プリンタの新規導入を期待できる地域における企業の導入意欲の減退が見込まれることや、米国トランプ政権の政策動向による先行き不透明感などから、前年度に続きプリンタ市場を支える機器リプレイスが鈍化する可能性がある。そのため、2018年度のプリンタ世界出荷台数は、前年度比98.5%の9,695万4,000万台、同出荷金額は同98.2%の5兆6,399億円(いずれもメーカー出荷ベース)と微減を予測する。なお、日本国内におけるプリンタ市場は、世界市場同様の理由から市場はマイナスとなっているが、働き方改革の一環として、在宅勤務が可能な企業が増加基調にあり、それがコンシューマ向けプリンタ市場の追い風になっている。

2.注目トピック

プリント・アンド・アプライシステムの市場動向
 プリント・アンド・アプライシステムとは、生産ラインの最終工程や物流工程で、サーマルプリンタ(一部ではインクジェットプリンタ利用)の「プリント」と貼付マシンの「アプライ」を統合し、コンビニエンスストアの食品商材などにラベルを自動貼付するシステムである。但し、あくまでも自動貼付出来るプリンタ付きシステムが対象で、自動貼付機プリンタを搭載していないシステムやハンディ系のラベラーは対象外としている。

 2017年度のプリント・アンド・アプライシステム世界出荷台数は、先進国での普及に一巡感が感じられたことから前年度比99.5%の38,000台、同出荷金額は同99.5%の760億円(いずれもメーカー出荷ベース)となった。

 プリンタ・アンド・アプライシステムへの参入企業はプリンタメーカー、貼付機械メーカーなど多岐にわたるが、日本国内ではプリンタメーカーがプリント・アンド・アプライとしてシステム販売を行うケースが多く、海外では専門の貼付機械メーカーがプリンタメーカーのプリンタをインサートしてシステム化する事例が多い。プリント・アンド・アプライ向けのインサート用プリンタを提供するメーカーは、バーコード/ラベルプリンタを供給するメーカーや産業用日付/マーキングプリンタメーカーがサーマルプリンタユニットを提供するケースが多い。

 国内のプリント・アンド・アプライシステムの主な需要先は、食品関連の最終製造工程におけるラベル貼付、コンビニ食材のラベル貼付(異形型のカップやおにぎり、サンドイッチなどへのラベル貼付)、一般製造ライン工程でのラベル貼付、倉庫・物流(宅配段ボールなどへのラベル貼付)、日用品・化粧品などの段ボールや包装材へのラベル貼付等である。今後は、特に食品や物流関連で需要の拡大が見込まれることなどから、日本国内の出荷台数・出荷金額は2018年度以降も年率プラス4%程度の成長を期待できると予測する。

調査概要


調査期間: 2018年4月~7月
調査対象: プリンタメーカー・販売店/パートナー・各種部材メーカー
調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、および電話やe-mailによるヒアリング併用

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[矢野経済研究所]
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