国内ポイントサービス市場調査 

2018年07月12日

矢野経済研究所は、国内ポイントサービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

<ポイントサービス市場とは>
本調査におけるポイントサービス市場とは、特定の企業やグループが提供するサービスや商品の購入などに対して、発行されるポイントやマイレージなどを対象とし、市場規模はポイントの総発行額を指す。その中には、特定の企業が発行するポイントやマイレージに加え、業種業態を超えた提携先加盟店で利用できる共通ポイントが含まれる。

<市場に含まれる商品・サービス>
特定の企業やグループ内のみで利用できるポイントサービス(ハウス型ポイント)に加え、業種業態を超えた提携先の企業で利用できるポイントサービス(共通ポイント)

1.市場概況

2017年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は1兆7,974億円まで拡大した。ポイントサービスを導入する事業者がさらに増加することや、共通ポイントサービスにおいては加盟企業1社で複数の共通ポイントサービスを導入するケースが更に増えることが見込まれることなどから拡大が続き、2018年度には1兆8,884億円まで拡大すると予測する。

2.注目トピック

共通ポイントを活用したマルチポイントを採用する事業者の拡大
従来は、1業種1社での共通ポイントの導入が前提となることが多かったが、近年ではマルチポイント化が進んでいる。複数の共通ポイントを発行する事業者に加え、独自ポイントに加えて、販促等を目的として共通ポイントを発行する事業者も増加している。

後発である共通ポイントサービス提供事業者は、ポイントサービス導入事業者に対して、ポイントサービスの追加導入やリプレース(システムの移行)に取組んでいる。導入事業者は複数のポイントサービスを導入することで、販促効果が高まると感じており、大手企業を中心に、複数ポイントサービスの導入が進んでいる。

​また、こうした導入事業者のニーズに対応すべく、ポイント管理や端末ベンダーにおいては、複数の共通ポイントサービスへの対応や、決済サービスと連携した端末の開発・販売を進めている。

3.将来展望

国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は2022年度には2.2兆円を突破すると予測する。

1社での共通ポイント導入に加えて、複数の共通ポイントサービスを導入する事業者の拡大により、ポイントの発行額は拡大基調を維持するとみる。また、今まで、ポイントを発行してこなかった事業者においても、ポイントの発行によるマーケティング効果を無視することが出来なくなり、ポイントの発行を開始する事業者が増加することも市場拡大の要因となる。

独自ポイントを提供する企業は、従来通りポイント付与による販促や、顧客データとPOSデータによる顧客分析から個客マーケティングの実施に結びつける取組みを進めていくことになるが、今後は、独自ポイントに加えて、共通ポイントを採用するなど、マルチポイント化を進めていく動きが顕著になるものと考える。

本来、ポイントサービスは顧客を囲い込むためのサービスであったが、ポイントで顧客を囲い込むことに限界を感じている事業者も増えている。顧客にとってより便利なポイントサービスを導入することで、単なる囲い込みではなく、巨大企業(プラットフォーマー)の会員顧客が自社への集客につながるなど、新規顧客開拓にメリットを感じる事業者が増加していくとみられる。

​将来的には、店舗が支払ったポイントの発行原資よりも、ポイント利用による店舗への充当額が増えれば増えるほど、共通ポイントの利用価値が上がっていくことになる。ポイントの発行原資(流出)よりも、充当額(流入)が大きい店舗を増やしていくことが、共通ポイントを活用したマルチポイント拡大への重要な取組みとなる。

調査概要


調査期間: 2018年2月~6月
調査対象: ポイント発行事業者、共通ポイントサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者等
調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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