保育に関するアンケート調査(未就学児を持つ女性対象) 

2018年06月26日

野村総合研究所(NRI)は、全国の未就学児(以下、子ども)を持つ女性4,088人に対して、保育に関するアンケート調査を実施しました。居住地域、子どもの年齢、母親の就労有無別に、2018年4月(以下、今年4月)時点での保育施設*1の利用状況、利用希望の有無、就労意向などを分析しています。

またNRIでは、2016年から、政府が定めている女性の就業率目標を達成するために、どの程度の保育の受け皿が必要かという視点で、今後整備が必要な量の推計を行ってきました*2。昨年の推計結果発表以降に、国により公表された最新の女性就業率目標および保育の受け皿整備量(2017年度末見込み)の反映や、保育の受け皿の定義変更*3を行った上で、新たに推計を行いました。

主な調査結果


1.保育施設の利用希望があったのに利用できていない子どもは、全国で34.8万人

子どもを持つ女性(以下、母親)を対象とするアンケートに基づき推計した結果、今年4月から保育施設の利用希望があったのに利用できなかった子どもは、全国に34.8万人いた。依然として、保育施設の利用希望がかなわない子どもが多数存在している。

2.保育施設を利用できていない子どもの半数強が、申し込みを行ったが入園できなかった

利用希望があるのに利用できていない子どもの過半数(55.3%)が、申し込みを行ったいずれの保育施設にも入園できていない。一方、約4割(37.3%)が利用希望を持ちながら実際には申し込みを行っていない。

3.申し込みを行わなかった場合でも、7割は何らかの保活を実施

保育施設の利用希望があったのに申し込みを行わなかった子どもの保護者の7割は何らかの保活*5を実施。「自治体の窓口を訪問するなどして相談した」、「保育所に問い合わせたり、説明会への参加や施設見学を行った」人が、それぞれ3割前後いる。

4. 政府が定める最新の女性就業率目標達成には、あと27.9万人分の保育の受け皿が必要

政府が定める最新の女性の就業率目標(2022年度末までに80%)を達成するために、どの程度の保育の受け皿が必要かという視点で、今後整備が必要な量を推計したところ、2017年6月に策定された「子育て安心プラン」による32万人分に加えて、あと27.9万人分の保育の受け皿が必要と推計された。

5.保育施設に入りやすくなることが「もう一人」を考える上でプラスに

現在子どもが一人の母親のうち、もう一人子どもを持ちたいとする母親は8割におよぶなど、二人以上の子どもを持ちたい母親は多い。また、就労の有無によらず、希望する時期に保育施設に入りやすくなることが、「もう一人」を考える上でプラスになる、と感じている母親が多い。

6.2023年度以降、少なくとも15年間は保育需要が維持される

今後、2022年度末に保育の受け皿充足が実現することで、その後の出生率が1.65(国立社会保障・人口問題研究所による人口推計の出生高位の場合の仮定値)まで徐々に上昇したと仮定すると、2023年度以降、少なくとも15年間は、保育需要が2022年度末と同規模で維持されると推計された。
また、59.9万人分(「子育て安心プラン」による32万人分を含む)の保育の受け皿追加整備による全体の経済効果は3.8兆円程度になる可能性がある。

7.保育の受け皿整備は、労働力の確保と出生率の上昇を同時に実現するための有効な手段

人口減少社会において、労働力を確保し、出生率を上げることは、わが国が持続的な経済成長を実現する上で極めて重要な課題である。保育の受け皿整備は、労働力の確保と出生率の上昇を同時に実現する有効な手段である。


*1 本調査における「保育施設」とは、認可保育所、認定こども園(「保育所」としての利用に限る)、地域型保育事業、認可外保育施設のことを指し、幼稚園における預かり保育や一時的な保育施設の利用は含みません。また、「保育の受け皿」とは、特に注釈による説明がない場合、保護者の就労を理由に保育を必要とする子どもに対して、何らかの保育を提供する体勢のことを指します。
*2 推計結果に関する前回発表内容(2017年5月29日発表)
*3 保育の受け皿の定義変更:前回発表の調査においては、保育の受け皿に「幼稚園の預かり保育の保護者の就労理由による毎日利用」を含めたが、今回発表の調査においては、利用目的や利用頻度によらず、幼稚園の預かり保育を含めないこととしました。
*5「保活」とは、子どもを保育施設に入所させるために保護者が行う一連の活動を指します。

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