既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)市場調査 

2018年06月21日

矢野経済研究所は、既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)市場を調査し、市場概況、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

<既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)とは>
本調査における既存住宅インスペクションとは、既存住宅に対し、目視等を中心とした非破壊による現況調査を行い、構造安全性や日常生活上の支障があると考えられる劣化事象等の有無を把握しようとする調査をさす。具体的には、既存住宅状況調査、既存住宅売買瑕疵保険検査、フラット35適合証明検査、物件購入前の建物診断、住宅設備保証検査、リフォーム・リノベーション前現地調査などが挙げられる。

<市場に含まれる商品・サービス>
既存住宅状況調査、既存住宅売買瑕疵保険検査、フラット35適合証明検査、物件購入前の建物診断、住宅設備保証検査、リフォーム・リノベーション前現地調査

1.市場概況

2016年度の既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)の市場規模は、件数ベースで4万5,000件、金額ベースで約21億8,000万円と推計する。

既存住宅インスペクションは、物件の売主が物件を流通させる前に行う「売主主体」のインスペクションと、物件の買主が物件購入の検討材料やリフォーム・リノベーション計画の参考とするための「買主主体」のインスペクションがある。

​2016年度の既存住宅インスペクション市場規模のうち、売主主体のインスペクション件数は3万件、金額ベースで約13億5,000万円、買主主体のインスペクション件数は1万5,000件、金額ベースで約8億3,000万円と推計する。

2.注目トピック

既存住宅インスペクションの告知・斡旋義務化
2016年には宅地建物取引業法の一部改正による宅建業者への建物状況調査の告知・斡旋の義務化に関する法律案が成立している。これにより宅建事業者は「媒介契約において建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の交付」「買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明」「売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付」の3つが義務付けられることとなった。

この法改正に合わせて、国では中古住宅を診断する専門家の育成に乗り出しており、国土交通省は「既存住宅状況調査技術者」として国家資格を定め、2017年2月には建築士有資格者を対象とした「既存住宅状況調査技術者講習制度」が創設され、講習実施機関による人材育成が進められている。

​2018年4月より、先述の改正宅地建物取引業法が施行され、建物状況調査の告知・斡旋が義務化されたことから、こうしたことに対する認知向上やこれに伴う需要が期待され、市場は拡大するものとみる。

3.将来展望

2017年度の既存住宅インスペクション(住宅診断・検査)の市場規模は、件数ベースで5万2,500件を見込み、2018年度は6万1,400件を予測する。

このうち、売主主体のインスペクションでは、大手不動産事業者が自社取扱物件に対し「インスペクション済」であることを付加価値としたり、売主に対するサービスの一環として不動産事業者の負担でインスペクションを行うなど、その活用を積極化させている。不動産事業者とインスペクション事業者の業務提携なども積極的に行われており、増加する需要に対し、機動的にインスペクションを提供する体制を整えている。こうしたなか、大手不動産事業者等を主要顧客に持つインスペクション事業者の取扱案件は増加傾向にある。今後も好調さを維持するものとみる。

また、一般消費者を主要顧客とする買主主体のインスペクションでは、消費者の中古住宅に関する品質意識の高まりから、近年は件数ベースで年率10%程度の成長率で推移している。増加する需要に対し、インスペクター(診断・検査士)の確保の問題から一部の需要に応じることが難しい状況にあるが、多くの事業者では診断・検査品質確保を優先し、自社の対応能力に応じた診断・検査業務を進めている。今後も、現状と同水準の成長を維持していくものと予測する。

調査概要


調査期間: 2018年3月~4月
調査対象: 既存住宅インスペクション事業者、関連団体等
調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材及び電話ヒアリング、文献調査を併用

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