キャップジェミニのWorld Wealth Report 2018 

2018年06月19日

キャップジェミニが発表したWorld Wealth Report 2018(WWR)では、世界経済の成長により、個人富裕層(所謂HNWI)(*1)の資産が初めて70兆米ドルを上回ったことを報告しています。

6年連続で増加した個人富裕層の資産の増加率は10.6 %となり、2017年は2011年以来2番目に早い個人富裕層資産の成長となりました。また、BigTech(*2)のウエルス・マネージメントへの参入や 仮想通貨(*3)への個人富裕層の関心の高まりが注目され、2018年1月(*4)には史上最高の時価総額に達しました。

世界の個人富裕層の成長は全地域で継続中

個人富裕層の人口は、アジア太平洋および北米が増加人口(新規個人富裕層 120万人)の74.9%で、個人富裕層資産額で68.8%増加(新規個人富裕層資産4.6兆米ドル)。ヨーロッパにおいても、2017年に個人富裕層の資産額が7.3%増加するなど、業績は好調に推移しました。米国、日本、ドイツ、中国は2017年に世界の個人富裕層人口の61.2%を占め、全世界の新しく加わった個人富裕層全体の62%を占めています。

ウェルス・マネージャーは過去1年もまた堅調なリターンを達成

この報告書によると、2017年の世界的な個人富裕層の投資収益率(ウェルス・マネージャーが管理する資産(*5))は27.4%上昇し、株式は2018年第1四半期の最も重要な資産クラスで、資産の30.9%、現金および現金相当資産で27.2%、不動産は16.8%(2.8%増)となっています。 個人富裕層の若手層(40歳未満)は、年配層(60歳以上) よりもはるかに高い投資実績を達成している(37.9%v.s.16.9%)と主張しています。これはおそらく年配層の個人富裕層が資産保全を重視する一方、若手は人生の初期段階で資産形成に集中する必要があるためです。

しかし、堅調な投資収益率だけでは個人富裕層の満足度を高められない

2016年と2017年良好な投資回収率にも関わらず、また、ウェルス・マネージャーの信用度が著しく高いのとは対照的に、世界全体で個人富裕層が満足するレベルまでに至らなかったことは、リターンだけではウエルス・マネージメント事業を維持することはできないことを示唆しています。北米の個人富裕層はウェルス・マネージャーに最も満足している(75.2%)ようですが、他の地域は70%を超えませんでした。過去2年間投資収益が大幅に増加したにもかかわらず、2018年には、個人富裕層のわずか55.5%だけがウエルス・マネージメント企業と個人レベルでの良好な結びつきを示していました。世界の個人富裕層の大半(64.3 %)は、ウエルス・マネージャーを配置するにあたり、システムの改善を望んでいます。これは、企業固有の取り組みであるか、第三者によるものであるか、に関わりません。

仮想通貨が全世界で注目を集める

まだ、個人富裕層ポートフォリオの大部分というわけではありませんが、投資ツールや価値保全の手段として仮想通貨への関心が高まっています。仮想通貨への投資は2017年に世界的な注目を集め、2018年1月に時価総額がピークに達しました。しかし、世界の個人富裕層は、関心が高い(29%)、幾分興味がある(26.9%)と答えており、仮想通貨を保有することには慎重な関心を示しています。仮想通貨の潜在的な投資収益と価値の保全性は個人富裕層の関心を引きつけており、60歳以上の個人富裕層の13%と比較して、40歳未満の個人富裕層の71.1%がメインのウエルス・マネージメント会社から仮想通貨情報を入手することを重要視しています。しかしウエルス・マネージャーは、個人富裕層である顧客に仮想通貨情報を提供することを躊躇しており、全世界で個人富裕層の34.6%だけがウエルス・マネージャーから仮想通貨情報を受け取っていると指摘しています。

ウエルス・マネージメント会社がBigTechの参入に準備

BigTechがウエルス・マネージメントへ本格に参入するかは不明確ですが、業界をリードするウエルス・マネージメント企業(インタビュー対象企業の約4分の3)は、BigTechが業界でより大きな役割を果たすことへの準備として、今後2年以上にわたりインテリジェント・オートメーションや人工知能(AI)のような革新的な技術に投資をする意向です。BigTechの参入で、最も可能性の高いアプローチは、既存企業とパートナーシップを構築し、製品やサービスをホワイトラベルとして導入し、ウエルス・マネージメント企業がバックオフィスやミドルオフィスのプロセスをサポートするモデルを採用することです。BigTechのエントリー・モデルとその時間軸にかかわらず、ウエルス・マネージメント会社は将来への投資方法を変える必要があると同時に、従来の予算管理モデルからよりダイナミックなポートフォリオ・ベースのアプローチに移行する必要があると、報告書は強調しています。


研究方法


キャップジェミニのWorld Wealth Report は、ウエルス・マネージメント業界の変化を推進する個人富裕層(HNWI)、及びその資産、並びに業界に影響を及ぼす世界的および経済的状況を追跡するための業界をリードするベンチマークです。今年の第22回年次版には、世界的な個人富裕層の視点と行動に関する詳細な第一次研究から得られた知見が含まれています。北米、中南米、欧州、アジア太平洋の19の主要な2,600人以上の個人富裕層からの回答に基づき、2018年のグローバル個人富裕層分析調査では、資産配分、手数料モデル、投資環境など個人富裕層の投資行動について調査しています。また、資産配分、個人富裕層の自信の強さ、資産配分の決定など、個人富裕層の現在の投資行動パターンを測定しました。

[1] 個人富裕層(HNWI)とは、投資可能資産百万米ドル(自宅、収集品、消費財、耐久消費財は含まず)以上を有する個人を示す

[2] BigTech とは、データ処理を主たる業務としているテクノロジー企業で、従来金融サービスには無関係であった企業で、 Google, Amazon, Alibaba, Apple, Facebook企業などを示す

[3] 仮想通貨 (例えば Bitcoin、 Ethereum, Litecoin。Rippleなど) とは、通貨ユニットの複製を制限し、資金の移動を確認することが出来る技術を伴うデジテル通貨を示す

[4] 2018年5月14日にhttps://coinmarketcap.com/charts/にアクセスして取得した“Total Market Capitalization Global Charts”

[5] World Wealth Report 2016によると個人富裕層の資産の32.1%はウェルス・マネージメント企業が管理している。その他の個人富裕層の資産は、通常、現金、銀行預金、事業、不動産、自社株投資で保有されている

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