地域の特産品(地場産業・伝統産業品)への意識についての調査(20~79歳の男女対象) 

2018年03月26日

JTB総合研究所は、「地場産業・伝統産業品への意識についての調査」をまとめました。当社は生活者のライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響に関する調査研究を多様な視点で継続的に行っています。

 日本の伝統産業品の見直しが進んでいます。日本の文化に関心の高い外国人が、日常生活に日本の伝統産業品を上手に取り込み、その結果、各地域では伝統の技術を生かしつつ現代の志向にあった商品もつくられるようになりました。外国人が好む、ピンクや赤などのカラフルな色の南部鉄瓶や苔玉の上にのった小さな盆栽、手軽に和の空間が作れる置き畳などは、おしゃれでスタイリッシュであり、日本人にとっても日本の伝統産業品を見直すきっかけになっています。全日空が1月に開設した通販サイト「WAYO」は、日本の伝統工芸品300商品を国内外に販売しています。昨年オープンしたGINZA SIXをはじめ、お洒落な雑貨店や伝統工芸品のセレクトショップも増えています。

 一方、生産地である地域のものづくりに気軽に触れることができる機会として、「オープンファクトリー」(工場(こうば)や工房などを解放し、職人との交流やものづくりの現場を見学できるイベント)も広がりつつあります。本調査では、こういった動きをふまえ、現在の日本人の「地場産業、伝統産業品」への考え方と生産地との関わり方についてまとめました。

調査対象:全国に居住する20~79歳の男女。過去1年以内に1回以上、国内旅行へ出かけた経験がある。 地場産業・伝統産業品に全く関心がない人は除く。(スクリーニング10,000名、本調査1595名)

*「地場産業品、伝統産業品」(参考資料:大辞林第三版、世界大百科事典第二版より)
地場産業品:その地方の資源や労働力を背景に古くから発展し、その地に定着している産業から生産される製品。
伝統産業品:地場産業品のうち、古くから存在し、日本国内において保護すべき対象となっている技法などを用いて作られたもの(地域の特徴を持ち、かつ、歴史的な背景を持つもの)。

調査結果概要


  • 意外にも「地場産業・伝統産業品」への関心度が高いのは20代30代男性
    「生産地で歴史や技術的な背景を聞き、見学したい」は51.6%、「生産地の、直販店などで購入したい」は31.4%工房や工場

    ・20代女性は、ものづくり体験は「旅行先で体験してみたい」、購入は都市部の「おしゃれな雑貨店やセレクトショップ」が他の世代より多い
  • 地場産業・伝統産業品の良さは、「長く使えそう(53.2%)」などの実用性より、「日本の地域に伝わる生活・伝統文化に触れられる(60.7%)」
  • 「地場産業・伝統産業品」に対しての興味や関心については、その度合いが深い人(コア層)、軽い人(ライト層)が存在 それぞれにあったマーケティングが重要
  • 地場産業・伝統産業品に関心が高い人は国際芸術祭への関心が高く、67.0%が関心がある SNSも積極的に利用

調査結果


1.地場産業・伝統産業品を「意識して購入したことがある」人は、全体の 28.3%
今後、「購入したい」は 43.7%、「製品の背景について知識を得たい」は 23.7%、「関心ない」は 44.5%

日常の生活の中で人々は、地場産業・伝統産業品とどの程度関わり合いを持っているのでしょうか。購入経験および関わり方の意識について全国から無作為に選んだ(人口構成比に合わせてウェイトバックした 20~79 歳の男女)1 万人に聞いてみました。購入経験については全体で「意識して購入したことがある」人は 25.3%、「意識しないで購入したことがある」が 20.4%となり、約半数が購入経験があるという結果となりました。
男女ではほとんど違いは見られませんでしたが、年代別ではやはり年齢が上になるほど経験率はあがり、特に「意識して」購入した人の割合が高くなる結果となりました(図1)。

今後地場産業や伝統産業とどう関わっていきたいのか意向を聞いてみたところ、44.5%が「関わりたくない/特にない」と答えている一方、残りの 55.5%が何らかの関わりを持ちたいと答えています。その具体的な関わりの内容は、全体で「購入したい(43.7%)」、「製品について知識を得たい(23.7%)」、「自分で製作体験をしたい(16.3%)」が上位となりました。「自分で製作体験をしたい」は特に、20 代、30 代、40 代の女性の意向が高い結果となりました。「直接、支援活動をしたい」「関わる仕事がしたい」など地場産業・伝統産業と強いつながりを持ちたい割合(コア層)は男女とも 20 代 30 代で高くなりました(図2)。

2.購入したものは「焼き物・陶磁器」が最も多く、単価は「着物・布製品」、「ファッション雑貨」が高額

本調査対象者(全国に居住する 20~79 歳の男女。過去1年以内に1回以上国内旅行の経験があり、地場産業・伝統産業品に全く関心がない人は除く)に、過去2~3年以内に購入した地場産業・伝統産業品について聞きました。最も多く購入していたものは上位から「焼き物・陶磁器」、「食器・ガラス製品」、「刃物」でした。性・年代別にみてみると、40 代~50 代の男性では「焼き物・陶磁器」、60 代~70 代の男性では「刃物」「木工品」、60 代~70 代の女性は「織物、着物、布製品」の購入の割合が高い結果でした。購入したものの中で最も高かった品物の単価で 3 万円以上の割合が多かった製品は「着物・布製品」、「ファッション雑貨(鞄や財布など)」、「漆器」でした。特に「着物・布製品」では 10 万円以上の割合が 27.3%、「ファッション雑貨」では 12.0%ありました。これらは主に和装に関わる品物と推測できます。性年齢別で 3 万円以上の購入が最も多いのは、60 代~70 代の女性ですが、2 番目は 20 代~30 代の男性、次が 60 代~70 代の男性となりました。(図3、表1、図4、図5)。

3.地場産業・伝統産業品の位置づけは、「日本の地域に伝わる生活・伝統文化に触れられる(60.7%)」
「長く使えそう(53.2%)」「持つことで生活に深みが出る、豊かな気持ちになれる(50.3%)」
購入しない理由は、20 代 30 代は「使い方や楽しみ方が分からない」、60 代 70 代は「既に持っている」

では普段人々は地場産業・伝統産業品をどのようなイメージを抱いているのでしょうか。最も多い回答は、複数回答では、「日本の地域に伝わる生活・伝統文化に触れられる(60.7%)」、「長く使えそう(53.2%)」「持つことで生活に深みが出る、豊かな気持ちになれる(50.3%)」でした。単一回答では「日本の地域に伝わる生活・伝統文化に触れられる(24.2%)」、「持つことで生活に深みが出る、豊かな気持ちになれる(19.6%)」が上位となり、地場産業品・伝統産業品の良さは、合理的、機能的な理由より、心の豊かさにつながるものだと考えている人が多いことが分かります(図6)。その一方で、ここ2~3年地場産業品・伝統産業品は購入していないという人に、価格以外に該当する理由を聞いたところ、20 代は「使い方や楽しみが分からない」が多く 60 代 70 代は「既に持っている」が最も多い結果となりました(図7)。

4.好きなデザインは「伝統の技を残しつつも、新しいデザインや使い方をしているもの」63.9%だが、20 代男性は約半数が「伝統に忠実であるもの」を好む傾向
興味がひかれるのは、「自分自身で探しあてたもの(33.7%)」、「国内で評価され人気、話題のもの(25.2%)

地場産業・伝統産業品の好きなデザインを聞いたところ、全体では「昔からの伝統を忠実に守っているもの」が 36.1%、「伝統の技は残しつつも、新しいデザインや使い方をしているもの」が 63.9%と、伝統を維持しながらも時代感覚にあったもののニーズが高い結果が出ていますが、どちらかというと、男性の方が伝統に忠実であるものを好む傾向が見られ、特に 20 代男性は約半数の 50.4%となっています(図8)。また興味をひかれる製品としては「特に人気や話題ではないが、自分自身で探しあてたもの(33.7%)」が最も多く、「国内で評価され、人気・話題となっているもの(25.2%)」と続きますが、20 代男女は、「自分で探しあてたもの」よりも「国内で評価され、人気、話題のもの」にひかれる傾向が高く、また、全体では 6.5%だった「海外で評価されているもの、人気や話題が逆輸入されているもの」が、20 代男性 17.4%、30 代男性 14.9%、20 代女性 13.7%と周囲で話題になっていることが影響している結果となりました。また、「無名だがベテランの職人の技術がつまったもの」は 60 代 70 代男女で高い結果となりました(図9、表2)

5.購入した場所は 53.1%が「生産地(生産者や生産地のウエブサイト含む)」20 代男性は 65.5%
生産地での購入が多い製品は「焼き物・陶磁器」、「漆器」。「ファッション雑貨」、「陶器」はサイトが多い
生産地との関わりは全体の 47.2%が、「生産地で歴史や技術の背景を聞き、見学したい」

過去2~3年以内の地場産業・伝統産業品の購入者に、最も高額だった製品を購入した場所を聞いたところ、生産地(生産者や生産地のウエブサイトを含む)が 53.1%と半数を超え、都市部は 33.4%、ウェブサイト・カタログ販売は 11.3%でした。具体的には、「生産地の工房や工場、直販店(24.8%)」が最も多く、「生産地の土産物屋、駅など(13.4%)」、「都市部の百貨店(12.5%)」と続きました。性年齢別の特徴としては、20 代 30 代男性は生産地での購入が 65.5%と高く、特に「生産地の工房や工場や直販店(31.4%)」、「生産者や生産地のウェブサイト(12.2%)」が他の層より高い結果でした。一方ショッピングサイトは 2.3%に留まっています。前章の図2を見ると、「製品の背景について知識を得たい」は 20 代、70 代の男性に高い傾向ですが、若い男性はそのために「生産地の工房や工場、直販店」、「生産者や生産地のウェブサイト」と生産地につながる手段を選択していると考えられます。一方、70 代男性は「都市部の百貨店(14.9%)」、「カタログ販売(8.2%)」が他の層より高い傾向となりました。また 20 代 30 代女性は他より都市部での購入が多く「おしゃれな雑貨店やセレクトショップ(17.2%)」が特に多い結果となりました(表3)。

製品別の購入場所で生産地が最も多かったものは「焼き物・陶磁器(67.6%)」で、「生産地の工房・工場、直販店(34.7%)」、「生産地で開催されたイベント(22.7%)」が多く、現地で見て触れて買う、また陶器市のようなイベントが購入機会になっていると考えられます。また「漆器」も生産地の購入が多く、「生産地の工房や工場、直販店」は 31.4%ありました。一方、「ファッション雑貨」は「お洒落な雑貨店やセレクトショップ(13.5%)」、「ショッピングサイト(19.5%)」での購入が多く、「刃物」は全体的には都心部での購入が他の製品より多く、また「生産者や生産地のサイト(10.0%)」、「ショッピングサイト(17.1%)」とウェブサイトからの購入が多い結果となりました(表4)。生産地との関わりについては全体の 47.2%が「生産地で歴史や技術の背景を聞き、見学したい」と答えていますが、20 代 30 代女性は 35.9%と他世代より低い傾向となっています(図9)。

6.オープンファクトリーの訪問経験は概ね6%程度、認知度は男性が高いが関心度は女性が高い傾向
会場別で認知度および訪問経験が最も高いのは「燕三条 工場の祭典(新潟県)」、「台東モノマチ(東京都)」

生産地に出かけ、地場産業・伝統産業品を購入するきっかけとして、オープンファクトリーが考えられます。近年、地域の工房や工場を開放するオープンファクトリーのイベントが全国各地のものづくりのまちで広がっていますが、無作為に選んだ1万人に対し代表的なものについての認知度と経験度を聞いてみました。
認知度、訪問経験が最も高かったのは両者とも新潟県の「燕三条 工場の祭典」で、東京都の「台東モノマチ」、「おおたオープンファクトリー」が続きました(図 10)。

このアンケートから実際にオープンファクトリーに出かけた経験のある人はおおむね6%程度です。オープンファクトリー自体をどう理解しているかを含め認知や関心を聞いたところ、認知度は男性の方が高いですが、女性はアンケートでの説明分を読んで関心を持った人も多く、関心は全体では女性の方が高い結果となりました(図 11)。

7.ものづくり体験への意向は 69.7%が「旅行先で体験してみたい」、25.3%が「自宅近くで体験してみたい」
体験希望のある人の 70.7%が、「半日程度でつくれるものがあれば体験してみたい」

地場産業・伝統産業品の製作体験の意向について、旅行先か自宅近くかに分けて聞いてみました。全体の81.6%が体験意向があり、69.7%が「旅行先で体験してみたい」、25.3%が「自宅近くで体験してみたい」と答えました(図 12)。「半日程度でつくれるものがあれば体験してみたい」は「旅行先で体験してみたい」人の 72.9%、「自宅の近くで体験してみたい」の 69.7%となりました。ものづくりの体験は多くの人が、半日程度でと考えていること分かります。「1日じっくり時間をかけてつくってみたい」は自宅近くの体験希望者の 31.0%、旅行先の体験希望者の 18.3%という結果になりました。1 泊2日以上、あるいは何回か通う意向は旅行先での体験希望者は 10%未満にまで減少しました(図 13)。性年代別ではどちらかというと男性の方が時間をかけて製作したいという傾向が見られました。また他世代より製作体験意向の強かった 20~30 代女性は特に半日程度の体験意向が高い結果となりました(図 14)。

8.今後泊まってみたい宿泊施設(旅館・ホテル除く)は、「古民家・町屋・歴史的建築物などを活用した宿泊施設(51.6%)」、「ユニークな宿(泊まれる本屋、学校、美術館)(26.3%)」、「グランピング(22.1%)」、 地場産業・伝統産業に関心のある人の 67.0%が地域で開催される芸術祭に関心を持つ

近年オープンファクトリーを開催しているものづくりのまちの多くが、いわゆる一般的な観光地ではありません。折角泊りがけで計画をたてても泊まってみたいホテルや旅館が近隣では少ない場合もあるのではないでしょうか。一方最近ではまち中の空家を改装して宿泊施設とする地域も増えています。近年多様なジャンルの宿泊施設が増え、今年はさらに 6 月に民泊新法が施行されます。そこで調査対象者に、旅館・ホテル以外で今後泊まってみたい宿泊施設について聞いたところ、「古民家・町屋・歴史的建築物などを活用した宿泊施設(51.4%)」、「ユニークな宿(泊まれる本屋、学校、美術館)(26.3%)」、「グランピング(22.1%)」が上位となりました。特に「古民家・町屋・歴史的建築物などを活用した宿泊施設」は 20 代男性および 20代~50 代女性に希望が高い傾向が見られました。グランピングは主に若い世代の女性、民泊は 20 代男性が他世代より高い傾向が見られました(表5)。

地域を活性化する取り組みとして、工場ではなく、アートと地域の風土とを融合させたアートフェスティバルや国際芸術祭が全国に広がっていますが、最近はブランキングアートといって事業排出物等を用いたアートも話題です。そこで地場産業・伝統産業品に関心のある人に対し国際芸術際への関心について聞いたところ、全体の 67.0%が関心があり、11.5%が実際に行ったと答えました。「国際芸術祭に関心があり実際に行った経験のある人」は、「関心はあるが行ったことのない人」や「関心のない人」よりも、地場産業・伝統工芸品に対して、「購入したい」「直接支援したい」、「間接的に支援をしたい」、「関わる仕事がしたい」とすべての意向が高い結果でした(図 15)。今後ターゲティングをし、地域と来訪者の交流などを検討したりする上で、オープンファクトリー、国際芸術祭が相互にすぐれた点を取り入れる可能性も検討できると考えられます。

最後にSNSの発信についてですが、Facebook、Twitter、Instagram の順で利用率が多いことが分かりましたが、地場産業・伝統産業品への関わり方別でみると、「関わる仕事をしたい」という人は、いずれも利用率が高く、発信力が高いことが分かります。また、「製作体験をしたい」人は、Instagram での発信の割合が高い傾向も見られました(図 16)。

調査概要


・調査方法:インターネットアンケート調査
・調査対象:全国に居住する20~79歳の男女。過去1年以内に1回以上、国内旅行へ出かけた経験がある。 地場産業・伝統産業品に全く関心がない人は除く。(スクリーニング10,000名、本調査1595名)
*人口構成比に合わせてウェイトバックし集計
・調査時期2018年1月10日~1月17日

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