JOL(日本型オペレーティング・リース)市場の動向調査 

2018年06月14日

矢野経済研究所では、JOL(日本型オペレーティング・リース)市場を調査し、現況、商品分野別の動向、および将来展望を明らかにした。

<JOL(日本型オペレーティング・リース)とは>
日本型オペレーティング・リースとは、一般的に航空機、船舶、コンテナ等を対象としたリース契約で、賃借事業者である航空会社、海運会社に対して行われるもので、オペレーティング・リースで貸し付ける際に、投資組合契約を通じた投資家(事業会社)からの出資金と金融機関からの借り入れによりリース物件を購入し、リース期間満了時にリース物件を再販市場で売却し、キャピタルゲインの獲得を追求する金融商品である。

1.市場概況

2017年度のJOL(日本型オペレーティング・リース)組成環境は、借入金利の低下を背景に資金調達手段が多様化し、競争も激しさを増しているが、積極的に取組んだ企業を中心に航空機分野の組成が進み、船舶分野も低位ではあるが堅調に推移した。

一方、投資家需要はこれまでにも増して旺盛で、2017年度の市場規模は投資家の出資金総額ベースで前年度比13.3%増の4,201億円と拡大した。JOL組成件数は、不動産投資や太陽光パネルの代替投資に加え、引き続き事業承継などの新たな投資家需要もあり、275件となった。商品分野別構成比は、航空機分野が80%、船舶分野が16%と拡大し、コンテナ分野は4%に縮小した。

​今後も航空機分野を中心に旺盛な投資家需要に支えられJOL市場の拡大基調を予測するが、低金利での組成案件が続くなど組成環境の厳しさが続くとみられ、市場規模は投資家の出資金総額ベースで5,000億円規模が踊り場と予測する。

2.注目トピック

商品分野別の市場動向
2008年秋のリーマン・ショック以降、国内におけるJOLの市場規模(投資家の出資金総額ベース)は、新たに欧州の航空会社でリースが組めるようになったことやJOL専業会社の上場などが契機となり、当該市場の拡大につながってきた。

2013年度は、航空分野とコンテナ分野が伸長した。更に、これまでJOLを扱う企業が海外航空機リース企業を買収、邦銀の航空機ファンドの組成や航空機ファイナンスを活発化させる等の好材料を背景に、当該市場の信用性は更に向上し新規顧客も増加、引き続き航空機分野が市場を牽引してきた。

昨今では、株式や不動産投資の代替需要と事業承継を控えた新たな投資家ニーズに支えられた。また、LCC(格安航空会社)の台頭、中東やアフリカなどの航空会社からの新たなリース組成も増えた。 2017年度は、2016年に韓国大手海運会社が経営破たんしたことなどの影響から、船舶とコンテナ分野の組成が鎮静化した。航空機分野も欧州LCCの倒産や、借入金利の低下を背景に資金調達手段が多様化したことでJOL組成の競争が激化しつつある中、積極的な組成を手控える企業のほか、欧州、中東を中心に一部中国や北米などの新たな航空会社の組成を手がけるなど積極的な組成も見られ、組成への取組みが二極化しつつある。

3.将来展望

2018年度も組成環境の厳しさが続く見通しではあるが、緩やかな復調を見込む船舶分野とコンテナ分野、継続する航空機分野の組成ニーズへの積極的な取組みと、依然旺盛な投資家需要に支えられ、市場規模は5,023億円、組成件数290件を見込む。2019年度も2018年度と同様に組成環境の厳しさが続くとみられることから、同5,030億円、同組成件数303件を予測する。

JOLの商品分野別構成比について2018年度以降も航空機は拡大、船舶及びコンテナ分野は復調の兆しはあるものの、合わせて10~20%前後と小さいながらも一定の構成比で推移するものと予測する。今後も、航空機分野を中心とした構成比に大きな変化はないと考える。

調査概要


調査期間: 2018年4月
調査対象: リース企業等のほかJOLを扱う主要10社を対象とする
調査方法: 当社専門研究員による直接面談調査

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[矢野経済研究所]
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