国内のミネラルウォーター、宅配水市場調査 

2018年05月08日

矢野経済研究所は国内のミネラルウォーター、宅配水市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

<ミネラルウォーターとは>
本調査におけるミネラルウォーターとは、国産及び輸入品のナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターを対象とする。
なお、ミネラルウォーターブランドとして販売されるスパークリングウォーター(天然発泡水は別ブランドでも対象)、フレーバーウォーターは対象とする。またBIB(バックインボックス)及び宅配水を除く。

<宅配水とは>
本調査における宅配水とは、ウォーターサーバーとセットで供給されるミネラルウォーターで、家庭や事業所などに宅配されるものを対象とする。なお、ウォーターサーバーを利用しないタイプやペットボトルの宅配などを除く。

調査結果

1.市場概況

2016年度のミネラルウォーターの市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比103.6%の2,990億円と引き続き高成長を持続した。市場成長率を見ると、2016年度は2011年度比で22%拡大し、この5年間で大幅に成長した。それに伴い、飲料市場全体に占めるミネラルウォーターの割合は、2011年度が5.0%、2016年度が5.9%と、その存在感を年々高めている。  2016年度の宅配水市場規模は、末端金額(エンドユーザー販売金額)ベースで前年度比109.6%の1,260億円と拡大した。市場の成長期が東日本大震災の発生による水需要の高まりと合わさったことで、ミネラルウォーターを凌ぐ勢いで急拡大してきた。2016年度は東日本大震災が発生した2011年度比で51%増と、この5年間で急成長した市場である。

2.注目トピック

炭酸水
炭酸飲料のなかでも成長著しいのが無糖の炭酸水である。以前は、主にアルコール飲料の割り材であったが、最近では30代、40代を中心に、水代わりにストレートで飲む「ストレート飲用(直飲み)」が定着し、飲用シーンが広がっている。直接飲用は健康イメージが強く、アルコール代替飲料として、さまざまな飲用機会に合わせやすいことから広がりつつある。
炭酸水の直接飲用は、これまで日本人にはなじみが薄かったが、国内でも近年は少量の果汁やフルーツの香りなどを加えた炭酸水も登場し、市場規模は年々拡大している。現在は固定客による高頻度の購入に支えられているといった状況であり、今後に向けて新規ユーザーの開拓余地を十分に残した魅力ある市場と言える。
今後も無糖の強炭酸や微糖炭酸など、ラインアップが一層充実しており、炭酸飲料市場全体が活性化していくものと見られるが、新規参入に関しては、炭酸の強度以外に差別化が難しいこともあり、認知度の高いブランド力が必要であるものと考える。一方、既存の炭酸水からのフレーバー展開は予想される。

3.将来展望

ミネラルウォーター市場は、2017年度は2016年に発生した熊本地震による需要増からの反動や夏場の天候不順などから縮小したものの、有望市場の一つであることに変わりはなく、一過性のトレンドとしてではなく生活の根底にあるものとして底固いニーズが存在しているため、年ごとに増減はあるものの、急激な落ち込みは考えにくく、安定した市場を形成していくことが想定される。しかしながら、急激な落ち込みは考えにくい一方で、これまでのような急成長も今後は難しくなっていくものと考える。
急速に拡大してきた宅配水市場も、近年は伸長率が鈍化し踊り場を迎えつつあり、ここからの取り組み次第で、市場がもう一段拡大するのか、成熟に向かいつつあるのかが決まってくる。今までのような急激な拡大は難しいものの、今後は地方都市など伸びしろが多いエリアや高齢者層の開拓が進むことで、穏やかな市場拡大は続いていくものとみる。

調査概要


調査期間: 2018年1月~3月
調査対象: 飲料メーカー、宅配水製造企業等
調査方法: 当社専門調査員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびにアンケート調査、公開資料等の文献調査併用

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[矢野経済研究所]
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