ジャパンブランド調査2018(20カ国・地域 20~59歳の中間所得層以上男女対象) 

2018年04月27日
電通は、日本の文化や強みを生かした商品やサービスを海外展開する「クールジャパン」関連事業の一環として、2018年1~2月に20カ国・地域※で「ジャパンブランド調査2018」を実施しました。

全社横断プロジェクト「チーム・クールジャパン」が実施した本調査は、2011年より対象エリアやサンプル数、設問項目を追加しながら継続的に行っているもので、親日度(日本に対する好意度)や訪日旅行意向、訪問地域とその理由、日本産品に対する興味・関心やイメージなどに関する詳細データと知見の収集を目的としています。調査結果は、海外に展開する企業や、国内で訪日客対応を進める企業などに活用いただいています。

2017年に行った前回調査から、依然として盛り上がっているインバウンド需要に対応すべく質問項目を加えると同時に、各国・地域のサンプル数も増やしてバージョンアップしました。また、調査対象国の1つであるアメリカについては、東西の海岸エリアに分けていた前回調査からさらに細かく、4エリアに分けて分析を行いました。

経年で集計している調査として、「日本のことが好きな国・地域」は台湾、タイ、フィリピン、ベトナムが同率1位。(参考データ①)訪日意向のトップは前回と変わらずフィリピンで、アジア諸国が上位を占めています。(参考データ②)
また、訪日旅行スタイルでは、「SNS映えするフォトスポットをまわる」が2年連続でランクインし、フォトジェニックやインスタ映えといったトレンドがスコアにも表れました。(参考データ③)

本リリースでは新しく追加した項目を中心に、今回の調査で初めて分かった大別して3つのファインディングスをご紹介します。

※20カ国・地域=中国(グループA=北京、上海、広州、グループB=深圳、天津、重慶、蘇州、武漢、成都、杭州、大連、西安、青島)、香港、台湾、韓国、インド、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、アメリカ(北東部・中西部・南部・西部)、カナダ、ブラジル、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア

主なファインディングス


1.宿泊形態では「Airbnb/民泊」がASEANで人気。
アジア圏は地方訪問意向が高いため、「Airbnb/民泊」が地方都市活性の鍵を握る可能性。

■宿泊形態

  • 日本で利用したい宿泊形態については、「エコノミークラスホテル」「旅館」「ファーストクラスホテル」「Airbnb /民泊」「カプセルホテル」という順に高い、という結果に。
  • 地域別だと「ファーストクラスホテル」は北米、「旅館」は欧州、「エコノミークラスホテル」はアジアの反応が高く出た。(参考データ④)
  • 世界的に注目されている「Airbnb/民泊」は特にアジア・ASEANの意向が強い。いわゆる「民泊」を代表するAirbnbは、2014年に日本に上陸して以来年々利用者が増加しており、国内の物件数が51,000件に達している(Airbnb Japan調べ、2017年)。
  • 今回の調査結果でも日本で「Airbnb /民泊」を利用したい人は3割強で、今後ますます訪日客の増加が見込まれるASEAN、特にタイやマレーシアでは4割を超える結果となった。これからも「Airbnb /民泊」を利用する人はさらに増えていくことが予想される。
  • 地方訪問意向では、欧州や北米に比べて東アジア・ASEANの方が意向が強く、今後地方への訪問者はアジア圏が増加すると推察。(参考データ⑤)その上で、アジア圏で高い「Airbnb/民泊」は特に地方にとって重要になってくる宿泊施設であることから、地方都市活性化への鍵を握る可能性が高い。

2.アメリカでは南部・西部・北東部が親日的で、訪日意向も高い。
すべての地域において日本で行ったアクティビティーのトップは「日本食を食べる」こと。2位以下の項目に関してはエリアによって違いが見られた。

■アメリカの4エリア※1比較

  • 大統領選挙とその後のトランプ政権の動きを通じて、アメリカの内陸部と、沿岸部との違いがクローズアップされた。このことを受け、今回の調査では、内陸部を加えた南部・西部・北東部・中西部という「4エリア」での分析を行い、エリアごとの価値観の違いや日本への態度・意識の違いを探った。
  • 日本への好意は4エリア中、西部が最も高く4分の3を超える。次いで南部、北東部、中西部の順。最もスコアの低い中西部では5割強に留まる。(参考データ⑥)
  • 訪日意向は4エリア中、南部・西部・北東部では6割を超えて高い傾向にあるが、中西部は5割弱となっており低い傾向。(参考データ⑦)海外旅行経験を見ると、南部・西部・北東部では7~8割の人で経験があるのに対し、中西部では6割強と低くなっており、日本への好意に加えて、そもそもの海外旅行への意識・関心の差も影響していると考えられる。
  • 日本のアクティビティーでの興味・関心では、すべてのエリアで「日本食を食べる」がトップ。2位以下の項目に関してはエリアによって違いが見られた。(参考データ⑧)

3.Made in Japanのイメージは「ハイテク」「高性能」で「信頼できる」。他方で、海外では購入の際に重視することとして「環境や社会への配慮」を挙げる人も多く、「SDGs」がひとつのキーワードに。

■日本製品のイメージ

  • 日本製品のイメージトップ3は「ハイテク」「信頼できる」「高性能」。昨年に引き続き、韓国製や中国製と比較すると良いイメージが圧倒的に高いが、「オシャレな」「人気がある」では韓国製と拮抗、さらに「人気がある」では中国製とも僅差という結果になった。(参考データ⑨)

■海外消費者の購入重視点と「SDGs」
  • カテゴリー別に購入の際に重視することを聞いてみると、食品や飲料、洗濯機・エアコン・冷蔵庫等の家電、生理用品・紙おむつなどのサニタリー製品、洗濯用洗剤・シャンプーなどのトイレタリー商品のカテゴリーで共通して「品質が良い」が上位にランクインしており、前述の日本製の強みが発揮されることが期待できる。他方で、サニタリー製品やトイレタリー製品については、「商品が環境や社会について考慮して開発されている」という課題の視点がトップ3にランクインする結果に。(参考データ⑩)
  • 昨今、社会課題では「SDGs」がよく話題に上る。今回の調査では20カ国・地域における「SDGs」の平均認知率は51.6%。参考値となるが、当社が実施した「SDGsに関する生活者調査」※2で明らかになった日本におけるSDGs認知率(14.8%)と比較して高いスコアとなっている。また「SDGs」認知者のアクショントップ3では、「SDGsの考え方に共感している」「SDGsは、今後、世界的に重要になってくると思う」の他に、「SDGsに関係あるような企業の商品やサービスを選んでいる」という項目がランクインしている。(参考データ⑪)また、日本への好意度が高い人の方が、好意度が低い人に比べてSDGs認知率は高いことからも、今後日本企業が海外展開するにあたり、「SDGs」が重要な視点となることが明らかになった。

※1 4エリアについてはアメリカの国勢調査局による地域区分で区別。北東部・中西部・南部・西部で集計。

※2 国内でのSDGsの普及を目的に、当社の全社横断プロジェクトである「teamSDGs」が行った国内向け調査。日本全国10~79歳男女、1,400名を対象に、2018年2月に実施。調査対象者の収入条件を特に設定していないという点でジャパンブランド調査とは条件が異なるため、あくまでも参考値。

調査概要


ジャパンブランド調査2018の概要
・目的:食や観光、日本産品など「ジャパンブランド」全般に関する海外消費者の意識と実態を把握する
・対象エリア:20カ国・地域
中国(グループA=北京、上海、広州、グループB=深圳、天津、重慶、蘇州、武漢、成都、杭州、大連、西安、青島)、香港、台湾、韓国、インド、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、アメリカ(北東部・中西部・南部・西部)、カナダ、ブラジル、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件:20~59歳の男女 *中間所得層以上
 *「中間所得者層」の定義(収入条件):OECD統計などによる各国平均所得額、および社会階層区分(SEC)をもとに各国ごとに条件を設定
・サンプル数:中国はA・B300名ずつで計600名、アメリカは600名、それ以外の地域は各300名の計6,600名
・調査期間:2018年1月12日~2月16日
・調査機関:株式会社ビデオリサーチ

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