医師と患者のコミュニケーションに関する調査(医師と患者対象) 

2018年03月14日

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)と京都大学大学院 吉田純研究室は、NTTコム オンラインが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」の登録モニターで、最近数年以内に病院等へ診察のために通院された方、および医師の方々を対象に『医師と患者のコミュニケーション』に関して調査を実施しました。
コミュニケーションには送り手と受け手の個性や立場、教育、知識量、文化の違いなど、伝えるメッセージを歪める様々な要因が存在します。近年、医療や健康に対する関心の高まりや、患者視点重視の考え方の広がりによって、医師と患者間のコミュニケーションの問題が顕在化されてきており、診療における情報提供や満足度、信頼関係について両者が感じる意識の違いを調査しました。

調査結果のポイント


(1) 患者は健康・治療への関わりには前向きも、病気や薬などへの知識は持てていない

最近数年以内に病院や医院、クリニック等にて診察を受けた医療消費者(以下、患者)に対して、健康や医療に関する以下の項目に「関わりたいか」について伺いました。その結果、「非常に/かなりそう思う」との回答は、「自分の健康は自分で管理したい」(63.2%)、「治療に積極的に関わりたい」(61.6%)、「病気や薬の情報を積極的に集めたい」(51.2%)でいずれも5~6割であり、ご自身の健康や医療について関わりたいと考えている方が多いことが伺えます。

一方で、病気や治療に関する「知識」について伺ったところ、「病気の知識を十分持っている」(非常に/かなりそう思う)と感じている方は20.3%と低く、「治療方法」「薬の効果」の知識について十分に持っていると感じる方の割合も16.8%、17.8%と2割を切ります。治療への関わりや病気、薬の情報の習得には前向きではありながらも、現状はそれらの情報や治療方法、薬に関する知識をあまり持てていないと感じていることが読み取れます。

(2) 病気や治療方法の情報が医師の認識ほど患者へは伝わっていない印象

医師から患者への病気や治療方法の情報提供に関して、医師と患者側双方に対して情報提供されていると感じる度合い(非常にそう思う、かなりそう思う)の印象を伺いました。その結果、医師が4~5割の割合で提供していると回答しているのに対して、患者側は3割程度と、情報を受け取っている認識が1~2割は低い結果となりました。

薬の効果や副作用など薬関連の情報提供についても同様に、提供しているとの医師が約4割であるのに対して、患者側の認識は約3割で1割程度の認識に開きがありました。

特に治療方法の情報提供に関しては、医師と患者の間で2割近い認識に開きがあり、患者にとって十分に提供されてないと捉えられていることが伺えます。

主な項目についての結果はそれぞれ以下の割合となりました。

◆「病気の情報を十分に提供している/されている」と思う割合
医師側:43.2% 患者側:33.1%
◆「治療方法の情報を十分に提供している/されている」と思う割合
医師側:52.0% 患者側:34.7%
◆「治療方法の選択肢の情報を十分に提供している/されている」と思う割合
医師側:45.2% 患者側:29.8%

医師と患者間で診療内容に関しての情報提供が阻害されている要因のひとつに、「診察時間の不足」があるようです。医師側に聞いたところ、「診察時間は充分に設けている」(非常に/かなりそう思う)と回答した方43.3%でしたが、一方の患者側の回答は25.0%と低く、2割程度の開きがありました。「3時間待ちの3分診察」と言われますが医師にとっては多くの患者を診なければならない為、一人あたりの診察時間が不足し、十分な情報提供や、意思の疎通には至っていない可能性が考えらます。

◆「診療時間を充分に設けている/設けられている」と思う割合
医師側:43.3% 患者側:25.0%

(3) 「信頼関係の構築」は3~4割、「患者の満足度」でも3割程度と低い水準

診察時間が短い影響は、医師と患者側にそれぞれに聞いた、『十分な対話の実施』や『説明と同意(インフォームド・コンセント)』『治療方法の選択(インフォームド・チョイス)』の実施においても両者の意識の差に表れているようです。

『十分な対話』では、「十分に対話している」(「非常にそう思う」「かなりそう思う」)と認識している割合は医師が56.7%に対して、患者は34.8%に留まり、『説得と同意』に関しては、医師は6割以上(65.3%)実践していると高い割合で回答しているのに対して、患者側の印象は4割弱(39.7%)となります。

『治療方法の選択』でも、医師は5割程(52.9%)の回答であるのに対して、患者側は3割程(32.3%)で、いずれも2割以上の回答結果に開きがあります。患者側は上記に項目については医師が考えるほど実施できていないと考えており、両者の意識で差が少なからずあることが結果から見られます。

『十分や対話』や『説明に対する同意』、『相談しながら治療方法の選択』の実施についての両者の意識差は、『質問しやすい雰囲気の醸成』や『信頼関係』『患者の満足度』にも傾向が表れています。

『質問しやすい雰囲気を心がけている』と答えた医師が65.4%に対して、患者側の回答は31.4%で半数以下の回答となっています。『悩みや相談に十分に対応している』も医師が46.2%、患者側が28.0%であり、それら診察環境での相談しやすさについても、両者の認識には2~3割程度の差が見られます。

患者に対して『信頼関係が築けている』と感じている医師は43.3%と決して高くはないですが、患者側の医師への信頼度はさらに低い29.9%で、3割を切る結果となっております。
診察に対する『患者の満足度』は、医師が感じる回答が39.4%、患者側の回答は34.0%で、どちらも差がなく、高くない結果となっております。

(4) 医師と患者の立場、知識量や精度、文化の違いなども伝えるメッセージを歪める

以上のような結果から、診療において相談しやすい雰囲気・環境下で、医師と患者がお互いに病気や治療に対する十分な対話や情報共有ができ、納得して治療方法の選択できるプロセスを経られることが、お互いの信頼関係や診察での患者満足度の向上の助けとなってくることが推測されます。

今回の調査では医師と患者側双方に同様の質問を伺って両者の意識差を見ておりますが、一方、医師には別途、「診察・治療中に患者への対応で困っていること」を自由回答形式で聞いています。その回答には、患者に対して「知識差」や「間違った情報からの思い込み・自己判断」「コンプライアンスに欠ける行為」「モンスターペイシェント」に関する不安が特にあるようです。

調査概要


調査対象:「NTTコム リサーチ」登録モニター
調査方法:非公開型インターネットアンケート
調査期間:平成29年9月~10月
回答者の属性:
直近5年以内に病院等へ診察で通院されたことがある方:1094名
【性別】男性:49.2%,女性:50.8%
【年代】20-29歳:15.1%,30-39歳:16.1%,40-49歳:16.5%,50-59歳:17.3%,60-69歳:18.1%,70歳以上:17.0%
医師:104名
【性別】男性:85.6%,女性:14.4%
【年代】30-39歳:7.7%,40-49歳:24.0%,50-59歳:43.3%,60-69歳:22.1%,70歳以上:2.9%

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