労働力不足の実態を調査(食品関係企業対象) 

2017年11月30日
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)農林水産事業が平成 29 年7月に実施した「平成 29 年上半期食品産業動向調査」では、29 年通年見通しの雇用判断DI※ が、平成9年の同調査開始以降で最大となり、最も人手不足感が高まっています。
そこで、同調査で雇用労働力について「不足」と回答した食品関係企業(有効回答 2,571 社のうち 1,148 社)を対象に労働力不足の実態を調査しました。

※雇用判断DI(Diffusion Index = 動向指数)について
DIは、前年同期と比較して、雇用状況が「不足」と回答した企業の割合から「過剰」と回答した企業の割合を差し引いた数値です。

<調査結果>

○ 労働力不足の原因は業種を問わず「求人に対する応募がない」が最多(資料:図1)

労働力不足の原因は、「求人に対する応募がない」(86.4%)が最多となり、次いで「離職者が多い」(25.4%)、「応募が見込まれる待遇での求人募集ができない」(24.5%)となりました。
「求人に対する応募がない」と回答した割合を業種別にみると、飲食業の 95.1%が最多で、続いて小売業 91.4%、製造業 85.6%、卸売業 84.1%となりました。
また、飲食業は「離職者が多い」と回答した割合が 48.8%と他3業種(製造業、卸売業、小売業)に比べ多く、安定的な雇用の確保が難しいことがうかがえます。

○ 「現場」で必要となる職種で労働力が不足 (資料:図2)

労働力が不足している職種は、「商品生産(単純作業)」(62.0%)が最多となり、次いで「商品生産(熟練作業)」(43.0%)、「営業・販売」(40.6%)となりました。
労働力が不足している職種を業種間で比較すると、製造業は「商品生産(単純作業)」と「商品生産(熟練作業)」で労動力が不足しており、他の3業種(卸売業、小売業、飲食業)は「営業・販売」や「流通や運搬に関する作業」で労働力が不足していることから、各業種において、いわゆる「現場」で必要とされる労働力が不足していることがうかがえます。

○ 製造業は「作業工程の機械化」、小売業と飲食業は「福利厚生の充実」に効果を期待 (資料:図3)

労働力不足の解決策として効果が期待できるものを質問したところ、「労働条件の改善(賃金の値上げ、勤務時間の短縮等)」(69.7%)が最多回答となり、次いで「作業工程の機械化」(42.2%)、「外国人技能実習生の受け入れ」(30.9%)となりました。
業種間で比較すると、製造業では「作業工程の機械化」と回答した割合が 54.0%と他業種に比べて高く、小売業と飲食業は「福利厚生の充実」と回答した割合がそれぞれ 36.2%、43.9%と他業種より高くなっています。


【調査概要】
調査時点 平成 29 年 7 月 1 日
調査方法 郵送により調査票を配布し郵送により回収
調査対象 全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業) 7,027 社
有効回収数 全体で 2,571 社 (回収率 36.6%)
《内訳》 製造業:1,695 社、卸売業:616 社、小売業:215 社、飲食業:45 社

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[日本政策金融公庫]
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