高齢者の自転車事故実態調査 

2017年12月14日
自転車の安全利用促進委員会は、高齢者の自転車事故とその傾向について、当委員会メンバーでもある三井住友トラスト基礎研究所、公益財団法人交通事故総合分析センターITARDAから提供を受けた事故データに基づき、2015年に発生した事故について調査・分析いたしました。

その結果、高齢者(65歳以上)の自転車事故件数は19,510件あり、事故におけるハンドル操作ミスの割合が他の世代の約2.5倍であることや、「転倒事故」の約半数を高齢者の事故が占めているということがわかりました(2015年データより)。

高齢者になると全体的に身体能力が低下して、視覚能力の衰えによる認知ミスや、バランス感覚・運動神経の低下による操作ミス、特にハンドル操作ミスが生じやすい状況が原因だと考えられます。

 高齢者に多い自転車事故を防ぐために推奨される電動アシスト自転車。電動アシスト自転車は、低速時でもふらつきが少ないため、高齢者の事故原因に多い転倒事故の防止に寄与できるなどのメリットがあります。

 高齢者は電動アシスト自転車の利用率が他の世代と比べて突出して高く、自動車の運転免許自主返納を促進する動きが進む中、免許返納数は2016年1年間の34万5,313件に対し、2017年は1月~9月で32万2,356件となり、年間では大幅に増える見通しとなっています。今後も高齢者の生活の足としてさらに電動アシスト自転車の利用は増加していくと考えられます。

 しかし、昨今ではアシスト比率が道路交通法の基準を超える電動アシスト自転車が販売されていることを受け、警察庁から注意喚起が行われるなど、自転車の車体そのものの安全性が問われる事態も起こっています。事故の防止は自転車選びから。電動アシスト自転車購入の際には「BAAマーク(自転車安全基準に適合した自転車に貼付される)」が付いているかどうかに注目することも重要です。自治体によっては「BAAマーク」付き自転車を補助金の条件にしているところもあります。

【調査トピックス】

●高齢者の自転車事故は年間約2万件起きている!
・高齢者においても、出合頭の事故に細心の注意を。
・ハンドル操作ミスにも要注意。事故に占める割合が他の世代の2.5倍高い!

●高齢者は、転倒事故にも要注意。全転倒事故の約半数が高齢者!

●高齢者におすすめの電動アシスト自転車。選ぶ際の注意点は?
・60歳以上の電動アシスト自転車の利用率は9.2%。各年代で最も高い!
・高齢者の電動アシスト自転車選びのポイントは「軽量」「低重心」がおすすめ。

※高齢者…65歳以上

【自転車事故実態調査】

調査元:公益財団法人交通事故総合分析センターITARDA
 交通事故と人間、道路交通環境及び車両に関する総合的な調査分析研究並びにその成果の提供等を通じて、交通事故の防止と交通事故による被害の軽減を図ることにより、安全、円滑かつ秩序ある交通社会の実現に寄与することを目的とする団体。

調査時期:2017年2月


【高齢者の自転車事故は年間約2万件!】
●高齢者においても、出合頭の事故に細心の注意を。
●ハンドル操作ミスにも要注意。事故に占める割合が他の世代の2.5倍高い!

 2015年に発生した全自転車事故は98,700件あり、うち19,510件(19.8%)が高齢者(65歳以上)の事故です。

 このことから、当委員会が高齢者の事故に絞って調査・分析を行ったところ、他世代と同じく出合頭の事故が群を抜いて多く、自転車事故の「発生場所」では特に、比較的交通量が少ない歩道のない裏道交差点での事故の割合が一番高くなっていることがわかりました。

 また、高齢者事故の特徴として「ハンドル操作ミス※」が多いことが見受けられます。高齢者の自転車事故における人的要因のうち「ハンドル操作ミス」は4.7%となっており、全体の1.9%と比較して約2.5倍もの高い割合になっています。

※ハンドル操作が制御できなかったり、意識と異なる方向にハンドルを切ってしまったりするミス

【高齢者の事故は対人・対物の事故だけじゃない!転倒事故にも要注意。全転倒事故の約半数が高齢者!】
●全転倒事故1,320件のうち45%にあたる600件が高齢者の転倒事故!
●転落事故も約半数が高齢者の事故。175件のうち約半数の93件起きている!

 高齢者(65歳以上)の自転車事故では、対人・対物の事故だけではない転倒事故も突出して多く、年間の全転倒事故が1,320件あるのに対し、そのうち45%の600件が高齢者の転倒事故です。このことから、高齢者においては車や自転車、歩行者を相手にした事故だけでなく、転倒事故にも注意が必要ということがわかります。また、高齢者の転落事故も年間93件起きており、転落事故においても半数以上が高齢者の事故です。(全転落事故:175件)

【高齢者におすすめの電動アシスト自転車。選ぶにあたっての注意点は?】
●電動アシスト自転車を一番利用する世代は60歳代以上!利用比率は9.2%。
●高齢者の電動アシスト自転車を選ぶポイントは「軽量」「低重心」がおすすめ。

 高齢者においては、他世代に比べて電動アシスト自転車の利用率が高いのも大きな特徴で、2012年の調査※では60歳代以上の電動アシスト自転車の利用比率は9.2%と他世代に比べて突出しています。電動アシスト自転車は発進時の力が少なくても済むほか、非電動アシスト自転車に比べて低速時のふらつきなども軽減されるため、運動能力の減退などが進む高齢者の利用率が高くなっており、自動車の運転免許自主返納者数が年々増え、自治体も支援策を促進する動きが進む中、高齢者の生活の足の受け皿として今後さらに電動アシスト自転車の利用は増加していくと考えられます。

しかし、昨今では電動アシスト自転車の製品の安全性にばらつきがあることも分かっています。アシスト比率が道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車について2016年10月に警察庁が注意喚起を行い、2017年6月29日には国民生活センターがテスト結果を発表しました。電動アシスト自転車等の購入に補助金を交付している自治体も、「BAAマークが付いているか」を条件している場合があり、製品としての安全性が高いものを選び、メンテナンスをきちんとした上で利用することが不可欠です。

※一般財団法人自転車産業振興協会「平成24年度自転車保有実態に関する調査報告書」より

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