セルロースナノファイバー市場動向に関する調査(2017年) 

2017年09月25日
矢野経済研究所は、国内のセルロースナノファイバー(CNF)市場の動向調査を実施した。

【調査結果サマリー】

◆実際にセルロースナノファイバーを使用した製品は一部にとどまり、生産量の大部分はサンプル供給に
 国内におけるセルロースナノファイバー(CNF)の研究開発は、2014年以降は政府主導による産官学連携での展開が行われており、実用化に向けた取組みが推進されている。しかし、現時点で実際にCNFを使用した製品は、ボールペンインクや紙おむつ、ペーパークリーナー、ヘッドフォンステレオ振動板など一部の製品にとどまる。CNFの生産量全てが実際の製品に使われているわけではなく、その大部分はサンプル供給であるものと見られる。

◆量産プラントの稼働も始まり、2017年末の国内CNF生産能力は880t/年の見込
 2016年から2017年にかけて、参入メーカー各社のパイロットプラントに加え、商業生産を目的とした量産プラントの稼働も始まり、2017年末時点の国内CNF(年間)生産能力は880t/年の見込みとなり、CNF市場拡大のネックの一つであった生産・供給能力の限界はひとまず解消されると考える。

◆CNFは樹脂や繊維などと複合化することで高性能を発揮し、強度アップや軽量化を実現
 CNFはフィルムや不織布など一部の用途を除き単体で使用されるケースは少なく、樹脂や繊維などと複合化することで高結晶性、高強度、可撓(かとう)性、寸法安定性といった性能を発揮し、強度アップや軽量化などを実現する。炭素繊維などと同じく、単体ではなく複合化にこそ用途・市場拡大の芽があり、樹脂や繊維、溶剤などと「いかに混ぜやすくするか」というテーマでの開発が課題の一つとなっている。


【調査概要】
調査期間:2017年5月~7月
調査対象:セルロースナノファイバーメーカー(製紙メーカー、化学メーカー等)
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

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[矢野経済研究所]
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