医療分野で使われるVR・AR・MRの市場調査 

2017年07月31日
市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングは、医療分野で使われるVR・AR・MRの市場調査を行い、このほどその結果をまとめました。

2016年にSonyからPlayStation VRが、MicrosoftからHoloLensが発売され、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)を体験するための端末の普及が進んできました。

医療関係の様々な現場においてもVR・AR・MR活用の機運は高まっており、製品・サービス活用に向けた取り組みが始まっています。

本調査ではVR・AR・MRの医療分野における活用について、研究者・医療施設・参入企業など幅広いプレイヤーにインタビューを実施しました。インタビュー内容と公開情報調査結果をあわせて国内外の活用製品・サービスを整理し、今後の普及可能性と市場規模を考察した。

【調査結果のポイント】

国内の医療分野で使われるVR・AR・MRの市場規模は、
→ 2021年に約153億円、2026年には約342億円
→ 医学教育、治療分野が市場を牽引する

医療分野を「医学教育」、「治療」、「診断」、「リハビリ」、「手術支援」、「その他(営業支援・啓蒙など)」の6つの領域に分けて市場規模予測を行った。

各領域毎に使用用途を分類。各用途毎に製品導入先となる施設・事業者の数をもとに各製品の予想販売価格等を勘案し、市場規模を推計した。この結果、国内の医療VR・AR・MRの市場規模は2021年に約153億円に、2026年に約342億円になると予測した。

なお、VR・AR・MR市場はコンテンツマーケット的要素が強いため、用途によってはサブスクリプション(購読料)制を採用する事業者が出てくる可能性はあるが、本予測においては考慮に入れていない。また治療領域の中でも対象が幅広く、特別に設備投資をする可能性の低い「インフォームドコンセプト」用途は、対象から外した。

医学教育 
医科大学向け外科手術トレーニング、病院向け手術トレーニング、閲覧式学習ツール、検査シミュレーション教材の4用途に分類して推計。
医科大学向け外科手術トレーニングは既にある程度市場規模があるが、病院向け手術トレーニング、VR・AR・MRを活用した閲覧式学習ツール、そして外資製品が輸入され始めている検査シミュレーション教材などが市場を牽引すると予測した。

治療 
がん緩和治療、視覚障害者(ロービジョン)支援、血管穿刺など日常診療の補助、ペインマネジメント、眼科治療(斜視・弱視)、認知療法への活用、6用途に分類して推計。
本調査で確認した範囲ではまだVR・AR・MRを活用した治療専用の製品は国内販売されていないが、2018~2020年にかけて開発中のものや新規製品が順次販売開始するものと想定した。市場としてのポテンシャルは大きい。

診断 
眼科診断(緑内障診断)、超音波検査結果のヘッドマウントディスプレイ(HMD)表示、内視鏡映像のHMD表示、各種診断データのHMD表示の4用途に分類して推計。
現時点で製品化されているものと開発中のものがあるが、それぞれが順調に推移すると想定して予測を行った。

リハビリテーション 
没入型リハビリ(人工関節手術患者)、錯覚を活用したリハビリ(脳卒中患者)、在宅リハビリ支援・転倒防止の3用途に分類して推計。
本調査で確認したVR・AR・MRを活用したリハビリ製品はまだ日本国内で販売されていないが、2018~2019年にかけて開発中の製品が順次販売開始するものと想定した。将来的には、別の疾患・傷害に対応する製品も出てくるものと思われるが、本予測では、没入型リハビリは人口関節手術患者、錯覚を活用したリハビリは脳卒中患者のみが対象になるとした。

手術支援 
個別症例のモデル作成や手術計画へのVR・AR・MR活用、3次元CGによる手術ナビゲーション、手術後シミュレーションの3用途に分類して推計。
現在は大学病院を中心に研究ベースで様々な試みが行われているが、今後も2020年までは研究ベースでの使用に限定される。そのいっぽう2020年以降は一般病院でも使われ始めると仮定した。手術支援領域だけを見ると、2021年に1.0億円、2026年に3.3億円の市場規模に達すると予測した。

その他(営業支援、啓蒙など) 
医療機器会社および製薬企業のうち一定数が営業支援や啓もうなどのために活用を行うだろうと仮定し、予測を行った。


【調査概要】
調査方法・対象
 有識者(工学系、医学系)へのヒアリング
 医療施設(医師、理学療法士等)へのヒアリング
 参入・開発企業へのヒアリング
 公開情報、各社製品カタログ等の収集整理

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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