データ連携に関するアンケート調査(社内向けの情報システムの構築・運用に携わる方々対象) 

2017年05月17日
日経BPコンサルティングは、「データ連携に関するアンケート調査」の結果をまとめた。今回、データ連携ツールの導入率は19.8%だった。本調査は、2014年から毎年実施しており4回目。近年、導入率は約20%で推移している。

ビッグデータやIoT(Internet of Things)の利活用が進展するに伴い、企業内に分散しているデータやプロセスを相互に連携させて分析・活用したいというニーズが徐々に高まってきており、EAI(Enterprise Application Integration)をはじめとしたデータ連携ツールに注目が集まっている。最近では、デジタルマーケティングを展開する際に、社内に分散したデータを統合して活用するニーズも顕在化し始めている。

今回も従来と同様に、企業内の複数のデータやプロセスを統合させる製品の利用実態や導入計画とその選定のポイント、および期待度、満足度などについて、企業・団体の情報システム部門の構築・運用に携わる方々を対象にして調査した。

【調査結果】

■導入済み/導入検討中は37.6%で、前回比1.0ポイント増

EAIとは、企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させること、あるいは、そのためのミドルウエアの総称である。データベースや個別の業務アプリケーションがそれぞれ採用しているデータ形式を変換して、相互に受け渡しが行えるようにする役割を持つ。

特に、様々な形式の異なるデータを連携させて処理する際に、連携ソフトをゼロから開発するのに比べてデータ連携ツールを活用した方が時間とコストを圧縮できるため、データ連携ツールに対するニーズが高まっている。

今回の調査では、こうしたデータ連携ツールの導入率は19.8%(前回21.3%)で、導入検討中は17.8%(前回15.3%)だった(図1)。導入検討中のうち、「1年以内の導入を検討中」が1.8%(前回1.3%)、「3年以内の導入を検討中」が1.9%(前回1.9%)で、導入時期を決めて検討している企業は多くはなかった。その一方で、「時期は未定だが導入を検討中」と回答した企業が14.1%で、前回の12.1%から2.0ポイント伸びた。導入済みと導入検討中を合わせた「導入済み/導入検討中」は合計で37.6%となり、前回比で1.0ポイント増となった。

過去3回実施した調査と比較すると、「導入済み」は16.5%(初回)、20.4%(第2回)、21.3%(第3回)と続伸し、今回19.8%で1.5ポイント減となったが、初回に比べると3.3ポイント増で上昇傾向。この1年では、おおむね20%の導入率で推移している。

■大企業ほど導入が進展し、1000人以上では導入済みが30%

企業規模別で見ると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールの導入が進んでいる(図2)。この傾向は過去3回の調査と同様である。

従業員数1000人以上の大企業では導入済みが30.0%(前回31.6%)で、導入検討中までを含めると47.8% (前回48.4%)となり前回並み。大企業ほどデータが分散し、かつ、データ形式の種類が多いと推測されるため、データ連携が必要とされていると見てよいだろう。

一方、300人以上1000人未満の中堅企業の導入済みは16.2%(前回20.2%)で前回比4.0ポイント減、300人未満の中小企業の導入済みは9.8%(前回8.4%)で前回比1.4ポイント増となった。

導入検討中に着目すると、1000人以上では17.8%(前回16.8%)、300人以上1000人未満では21.5%(前回15.5%)、300人未満では14.5%(前回13.6%)が導入を検討しており、300人以上1000人未満の中堅企業で導入検討中の比率が高かった。

■建設・土木、公共系で導入に遅れ

業種別に見ると、製造業と、金融・保険・不動産、サービス業・その他での導入が進んでいる(図3)。導入済みは、製造業のうちの原材料系が28.9%(前回32.0%)で最も高く、電気・機械系25.3%(前回26.8%)、金融・保険・不動産21.1%(前回17.4%)、サービス業・その他18.2%(前回19.2%)の順となっている。導入済み/導入検討中で見た場合でも、製造業のうちの原材料系が52.9%(前回48.0%)で最も高い。

導入率が低いのは建設・土木と公共系。特に建設・土木では導入済みが9.4%(前回14.9%)に留まる。ただし、導入検討中が30.2%と全業種で最も高い比率であり、今後導入が進展する可能性が高い。

公共系は、導入済みは12.3%(前回9.2%)で、導入検討中が6.2%と最も低く、導入しないが46.9%と半分近い。

■「接続先が多様」の重視度が年々高まる

導入済み企業が重視した選定のポイントについても尋ねた。選択肢として、「総合的な満足度」のほか、10の具体的な項目を提示して複数選択してもらった。その結果、具体的な項目では「接続先が多様(アダプタの種類の多さ)」が43.2%で最も重視される選定のポイントだった(図4)。前々回33.3%、前回37.8%で今回が43.2%と年々重視度が高まっている。

クラウドコンピューティングやビッグデータ、IoT、デジタルマーケティングの活用が進展するに伴い、社内で取り扱うデータの形式 (業界標準あるいはメーカー固有の形式)が多様化しているため、アダプタの種類が多い製品が求められていることの表れである。

今回2番目に重視された項目は「GUIがわかりやすい。使用感が良い」で28.6%(前回24.9%)、3番目が「データ加工が容易」で27.2%(前回23.0%)だった。前回2番目に重視された「導入が容易(開発スキルや労力のハードルが低い、Webブラウザでも開発できるなど)」は25.4%(前回28.2%)で4番目となった。

■「DataSpider Servista」が4年連続で総合満足度1位に

今回も、主要なデータ連携ツール(製品)の導入状況と、導入前の期待度、導入後の満足度についても尋ねた。期待度と満足度については、各ツールの「導入済み」企業を対象にして、5段階で評価してもらい、100点満点でスコア化した。

その結果、総合満足度は4年連続でアプレッソ/セゾン情報システムズの「DataSpider Servista」が最も高かった。また、導入済みのうち同製品を導入していると回答したのは26.8%で全体の4分の1を占め、その比率が最も高かった。


【調査概要】
・調査名:データ連携に関するアンケート調査
・調査対象:大企業、中堅・中小企業、および公共系組織(官公庁・自治体・教育機関・病院等)で、社内(または所属組織)向けの情報システムの構築・運用に携わる方々(IT関連製品の選定・導入に関わる方々が中心)
・有効回答数:1077件
・調査期間:2017年4月18日~4月26日
・調査方法:インターネット調査

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[日経BPコンサルティング]
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