ディスコは今春卒業した女子会員モニターを対象に就職活動や就労意識に関するアンケートを実施しました。2016年4月に「女性活躍推進法」が施行されてから約1年経ち、法律の対象企業を中心に、女子学生を積極的に採用する取り組みが進んでいます。女子の就職にはどのような変化がおこっているのかを分析しました。

【調査結果】

1. 就活開始当初の希望業界と入社企業の業界
就職活動をスタートした当初(3 年生の3 月頃)に希望していた業界と、実際に入社することになった企業の業界を比較した。当初の希望どおりの業界へ入社した女子学生は6割強(61.1%)。2013年卒者から経年で見てみると、当初希望と同じ業界に就職した割合は年々増加している。売り手市場に加え、女子学生を積極的に採用する企業が増えていることで、希望が通りやすくなっている可能性がある。

2. 就活開始当初の希望コース(職掌)と入社企業でのコース
次に、当初希望と入社企業でのコース(職掌)を比較した。就活スタート当初の希望コース、入社企業でのコース、ともに約7割が「総合職」だった。希望どおりのコースで入社した学生は77.7%に上り、2013年卒者から増加が続いている。業界と同様に、希望を実現する女子学生は増えている。一方、当初希望とは異なる場合でも、就職活動を進めるうちにキャリアへの考えが変わったり、自分の適性を考え直したりしたことで、柔軟にコース変更の判断をした学生も一定数見られた。

■コース(職掌)を変更した理由 
○はじめは実家から通えるところを希望していたが、将来を見据えると、一人暮らしで自立をするべきだし給料も高い方が良いと感じたため。(一般職⇒総合職)

○総合職の仕事内容に魅力を感じるようになったため。転勤はしたくなかったので、エリア総合職を希望しました。(一般職⇒エリア総合職)

○総合職は全国転勤があり、当初はそれでもよいと考えていたが、やはり首都圏を離れたくないと思い直した。(総合職⇒一般職)

3. 就活開始当初の希望企業規模と入社企業の企業規模
さらに、企業規模も比較してみたところ、当初「300人未満」の中小企業を希望していた学生は8.6%だが、入社企業では16.0%と倍近くに増加した。一方、「5000人以上」についても増加している(30.9%→35.4%)。希望どおりの規模の企業に入社した学生の割合は、2013年卒者から6割程度の水準で推移しており、大きな変化は見られない。

4. 就活中に女性で「よかった」「損した」と思った経験
就職活動中に「女性でよかった」「女性で損した(理不尽だ)」と思った経験があるかを尋ねた。
「女性でよかった」と思った経験があると回答した人は37.1%。ここ3年で目立った変化はない。一方「女性で損した(理不尽だ)」と思った経験があると回答した人は、2015年卒者では4割を超えていたが(45.5%)、2017年卒者では3割台半ば(35.1%)にまで減少した。女子学生が就職活動しやすい環境が整ってきたとも捉えることができる。

■女性で「よかった」と思った経験 
○企業が女性の採用に積極的になっていると感じたため。

○全体的に女子学生の採用数を増やそうという動きが強く、女性の方が内定をとりやすいことが多い気がします。

○女性が働きやすい環境をどの企業も積極的に整えていると感じたから。

○女性は一般職、準総合職、総合職など選択肢が広いが、男性は一般職や準総合職はほとんど選べず、選択肢が少ないと感じたから。

○女性向けセミナーなど、セミナーの種類が豊富で、多面的に企業をみるきっかけを得られたから。

○女子学生限定のセミナーに参加でき、学生の人数が少ない中で社員の方の話を伺うことができた。

○将来家庭を持つ時に異動は考慮してもらえるのか、育児休暇はとれるのか、などということについては、男性の就活生より女性の方が気軽に聞きやすい雰囲気があるのではないかと思った。

○男性が圧倒的に多い業界・職種のため、人事や社員の方にすぐに顔や名前を覚えてもらうことができた。

○研究開発職で女性は少なかったので、女性というだけで同じレベルの男性よりは入りやすかったと思う。

○女子だから、と見られることで大目に見てくれることもあった。

■女性で「損した(理不尽だ)」と思った経験 
○面接時、結婚すれば辞めるだろうと言われたこと。

○表向きは男女ともに募集していると言いつつ、実際には男性ばかり採用している企業があったから。

○面接で営業職に興味がある話をしたら、女子には営業まかせられないみたいなことを遠回しに言われた。

○総合職とエリア職を併願できる会社からは「女性ならエリア職で入って欲しい」と勧められたこと。

○男性に比べて女性は総合職に採用されにくい印象を受けた。

○女性の大学院生は採らない (採った実績は無く、採る気もない)という会社に一度出会いました。男子大学院生はかなり人数を採っているにもかかわらず、なぜ女性は採らないのかと理不尽に思いました。

○全国転勤型の総合職を受験する際には、まだまだ男性優位な雰囲気が感じられたため。

○産休育休の実績がない会社があり、ライフイベントを挟んで働き続ける方法はないのかと質問したら、産後は契約社員だと言われた。

5. 入社後のキャリアプランについて
昨年4月に施行された「女性活躍推進法」について、「知っている」と回答した人は33.7%。「この法律は知っているが、詳しい内容は知らない」を合わせると認知度は75.4%だった。政府が女性管理職比率の向上を推し進める中、女子学生に入社後どこまで出世したいかを尋ねてみたところ、「管理職以上(課長以上)」の役職を希望する学生は全体の43.5%に上った。コース別に見ると、総合職入社者では約半数(49.5%)を占めるが、その他職掌入社者では3割未満(28.9%)にとどまる。上昇志向が強い総合職入社者は、その他職掌入社者に比べ、入社後の勤務予定期間が長いのも特徴的だ。
ちなみに、入社した企業に定年まで勤めない予定だという人に、退職理由を予想してもらったところ、入社コースにかかわらず「転職」が最も多かった。しかし、「結婚」「出産・育児」を理由に退職すると予想した人は、総合職入社者では2割台(28.0%)なのに対し、その他職掌入社者では過半数に上り(57.1%)、入社するコースによって価値観の違いが鮮明に表れている。

6.今後のライフプランについて
労働環境整備への社会的関心が高まる中、女子学生はライフプランについて、どのように考えているのだろうか。
まず希望する世帯スタイルについて尋ねたところ、「二人とも働く(共働き世帯)」を希望する学生が最も多く、7割を超えている(75.4%)。続く「夫が働き、自分は家庭にいる(専業主婦世帯)」はコース別で差が大きく、総合職入社者では1割程度(11.8%)なのに対し、その他職掌入社者では約2割(20.2%)と2倍近い。
また、将来子供ができた場合には、97.6%が自身の育児休暇取得を希望している。夫に育児休暇を取得してほしいと考える人は83.3%で、仕事も育児も夫婦で分担したいと考えている様子が見て取れる。

■「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考えについての賛否 
「賛成」「どちらかといえば賛成」(26.1%)
○身体の違いはどうにもならないので、出産という役目がある以上、女性と家庭は切り離せないから。
○母が家庭を守る姿を見てきたので、私もそのようになりたいと思うから。

「反対」「どちらかといえば反対」(73.9%)
○今後結婚や育児にかかる費用を考えたら共働きをせざるを得なくなると思うので。
○家事も仕事も、得意な方が得意なことをすべきだと思う。かつ、どちらも平等に分担すべきだと思う。
○古い考え方だと思うし、女性を下に見ているように感じる。
○家庭それぞれの形があり、社会が男女の役割を決めるはおかしいと思う。

◆就活中にセクハラではないかと不快に思った経験
女性活躍推進法の施行に伴い、女子学生の採用が活発化しているが、面接の現場ではいまだにハラスラスメントだと受け止められる質問が出ているようだ。ここでは、面接の場で「これってセクハラじゃないの?」と不快に思った質問(発言)を紹介したい。セクハラと疑われる発言によって自社のイメージを低下させないよう、面接官への注意喚起が必要だろう。

○「結婚はなさそうだねー」と冗談交じりで言われたことがあった。○「女子って機械弱いからね。」 
○「華奢だから営業は難しいと思うよ」と言われて嫌だった。

○「勤務地を固定したいなら社内結婚しなよ」って言われました。

○「私の妻も働いているが、子育てが大変で女性はとても海外転勤などできませんよ」と言われました。家庭との両立をしつつ海外でも働きたいという思いがある私にとっては大変不快な発言でした。

○女性の友人から、「有名企業の面接で容姿を褒められたが不快だった」という話を聞いた事があります。

○「恋人はいますか?」と聞かれ、当時はいなかったのでいないと答えると、「じゃあ元彼にはどんな人だと言われてたの?」と聞かれてあまりいい気がしなかった。

○「お酒は好き?」「結構飲むの?」「飲んだらどうなる?」といったことを聞かれたことがありました。

◆企業に言いたいこと
就職先に限らず、企業に言いたいことや企業への要望を自由に書いてもらった。仕事とライフイベントをうまく両立しながら、長く働くことができる環境づくりを求める声が目立っている。企業単体だけではなく、社会全体で取り組まなければならない課題もありそうだ。

○結婚や出産などのライフイベントに合わせて、転勤などは柔軟に対応してほしい。 
○制度があるのは当たり前として、育休を本当にとりやすいかどうか等、実際の社員のエピソードも交えて具体的に教えて欲しい。

○育児と仕事を両立するために、自宅でも仕事ができる環境・制度を整えてほしい。

○育休のあとに戻りやすい環境づくり。就活の段階で就職後の生活をもっとイメージできるように手助けがほしい。

○男は総合職、女性は一般職というような「暗黙の了解」のようなものは古いと思う。男性であっても、家庭の事情などで転勤ができない状況下にあったりする人もいるだろうし、逆に女性であっても、転勤などかまわない人などいるだろう。人によって、置かれている家庭状況が違うのだから、そのようなことにも配慮していただけるような就職システムが構築されればよいと思う。

○男性も育児休暇を取りやすいような環境を作って欲しい。男性の理解が得られてこそ女性の活躍があると思う。そのためには共感を得ることが近道と考えるため。

○女性が活躍するための制度とか設置している場合でも、現場の社員にそういった意識がないのであれば、就活生に見抜かれると思います。

○正社員だけど週3日勤務、午前のみ勤務、在宅勤務など様々な働き方がどの職場でもできるようになると素敵だと思っています。

○育休産休取得後に、継続して働いている社員さんと会う機会を設けてくださる企業の方は本当にありがたかった。ほかの会社でもそういう社員さんともっとお会いして実際の話を聞きたかった。

○まだ女性だから男性だからという概念が根強いと思います。女性だから配慮しろとは言いません。しかし、女性であっても男性であっても仕事と家庭の両方を大事にしていけるような働き方が自分で選択できるようにしてほしいなと思います。

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