海外留学生のキャリア意識と就職状況調査 

2017年04月24日
ディスコは海外の大学で学ぶ正規留学生や交換・派遣留学生を対象に、職業観や就職活動の方法、留学経験への感想など海外留学生のキャリア意識を調査しました。国内の学生(キャリタス就活・学生モニター)調査データと比較しながら分析いたしました。

【主な調査結果】

留学生の志望業界
文系を見ると、「商社(総合)」が39.7%で最も多く、次いで「調査・コンサルタント」(36.4%)と続き、この2業界が突出していました。理系を見ると、留学生は「調査・コンサルタント」(30.3%)、「商社(総合)」(28.3%)に次いで「情報・インターネットサービス」(24.2%)が続きました。

企業研究をする上で知りたい情報と情報源
企業研究をする上で知りたい(知りたかった)情報について尋ねました。「実際の仕事内容」が最も多く6割を超え(63.7%)。「社内の雰囲気」(58.0%)が続き、仕事や職場の具体的な情報を求めていることがわかります。

インターンシップの経験
日本で参加しやすい時期を尋ねました。留学形態で大きく異なり、正規留学生は6月~8月にかけてで、交換・派遣留学生は8~9月や2月が多い結果となりました。

留学でかかった費用
正規留学生の平均総額は1,006.3万円でした。留学期間が比較的短い交換・派遣留学生(232.3万円)と比べると4倍以上に上りました。留学形態にかかわらず、費用の多くを家族に頼っており、「働いて恩返しをしたい」という学生の声も見られました。

【調査結果】

1.現在の英語力
 まず、現在の英語力について尋ねた。「ネイティブレベル」という回答が 15.0%、「ビジネスレベル」が 67.5%で、ビジネスで英語を使うことができる学生は 8 割を超えている(82.5%)。国内の大学・大学院で学ぶ学生(以下、国内学生)の英語力は「ネイティブレベル」が 1.1%、ビジネスレベルが 7.8%と、ビジネスレベル以上は 8.9%にとどまり、大きな差が見られる。
 また、留学生の回答を留学形態別に比較すると、正規留学生の 8 割以上(86.5%)がビジネスレベル以上と回答しており、海外で長く生活している分、英語力の高さが際立つ。 

2.就職したい理由
 就職したい理由を尋ね、国内学生と比較した。留学生が最もポイントが高いのは「経済的に自立したい」で 73.8%。次いで「自分のスキルアップやキャリア形成のため」(69.2%)が続く。
一方、国内学生は「安定した収入を確保したい」が最も高く、8 割を超える(80.6%)。「自分のスキルアップやキャリア形成のため」は 42.8%で、留学生よりも 20 ポイント以上低い(26.4ポイント差)。就職をスキルや経験を積む場と考える留学生と、企業に社会的な基盤を求める国内学生とで、違いが見られた。
なお、「社会貢献がしたい」や「大学での勉強を活かしたい」についても、留学生が国内学生を大きく上回る。

3.海外での勤務希望と海外で働きたい理由
日本国外(海外)での勤務について、留学生は「ぜひ働きたい」が 72.8%、「どちらかといえば働きたい」が 19.1%で、海外での勤務を希望する学生が 9 割を超えている(91.9%)。国内学生はそれぞれ 19.2%、26.0%で、海外での勤務を希望する比率は半数未満にとどまり、意識の差が顕著。
留学生が海外で働きたい理由を見ると、最も多いのが「よりスキルアップできるから」で、約 6 割に上る(59.2%)。前ページで見たように、留学生は就職をスキル獲得の場と捉える傾向が強く、海外での勤務経験がスキルアップにつながると考えているのだろう。
具体的に働いてみたい国や地域は「北米」が最も多く(63.3%)、「ヨーロッパ」(62.0%)が僅差で続くなど欧米の人気が高いが、一方で「東南アジア」も 39.3%に上り、経済成長国で経験を積みたいと考える留学生も少なくないことがわかる。

4.志望業界
志望する業界について、40 業界から 5 つまで選んでもらった。
まず文系を見ると、留学生は「商社(総合)」が 39.7%で最も多く、次いで「調査・コンサルタント」(36.4%)と続く。この 2 業界が突出している。一方、国内学生は「銀行」(28.3%)が最も多い。
 理系を見ると、留学生は「調査・コンサルタント」(30.3%)、「商社(総合)」(28.3%)、「情報・インターネットサービス」(24.2%)の順に多い。国内の理系学生がメーカーに志望が集中しているのに対し、理系留学生ではメーカー以外の人気も高い。

5.志望職種
志望する職種について、11 職種から 3 つまで選んでもらった。
文系では、留学生は「企画・マーケティング職」に集中しており、7 割以上(75.9%)が選んだ。国内学生は「営業職」(65.6%)が最も多く、「企画・マーケティング職」(59.6%)、「事務・管理系職種」(51.4%)など分散している。
 理系では、留学生・国内学生ともに「研究職」が多いが、続く項目に差が出ている。留学生は「企画・マーケティング職」「専門職・スペシャリスト」などが続くが、国内学生は「生産・製造職」「IT 職」などいわゆる技術系職種に志望が集中している。前ページで見たように、理系留学生はメーカー以外の志望者も多いといった志望業界の違いが、志望職種の違いにも影響していると言える。

6.ベンチャー企業への関心
留学生と国内学生の双方にベンチャー企業への就職意向を尋ねた。留学生は「とても関心がある」が 12.6%、「ある程度関心がある」が 37.1%で、約半数(49.7%)がベンチャー企業への就職に関心があると回答した。これに対し、国内学生の回答はそれぞれ 5.8%、23.2%と低く、関心のある層は限られる。
 留学生がベンチャー企業に関心を持っている理由としては、「若いうちに実力を付けたい」(46.0%)、「企業として独自の強みがある」(43.3%)、「企画力・オリジナリティに優れている」(42.5%)といった項目が上位に挙がっている。就職したい理由(2 ページ)で見たように、就職をスキルアップや経験を積む場と考える留学生にとって、ベンチャー企業は魅力的な就職先のようだ。 

7.就職先企業を選ぶ際に重視する点
就職先として企業を選ぶ際に重視する点を国内学生と比較した。国内学生は「安定」が 47.6%で最も多いが、留学生ではその半数未満の 21.3%にとどまる。国内学生は、「将来性」「給与・待遇」と続く。
 一方、留学生の方が高いのは、「仕事内容が魅力的」「高いスキルが身に付く」「優秀な人材が多い」など。国内学生と比べ、待遇だけではなく、働く環境に強い関心を示していることがわかる。
全体的に国内学生が会社軸で見ており、「就社」の側面が強いのに対し、留学生はスキルの獲得など仕事軸で企業を見ている点が特徴的だ。

8.企業研究をする上で知りたい情報と就職活動の情報源
企業研究をする上で知りたい(知りたかった)情報について尋ねた。「実際の仕事内容」が最も多く 6 割を超える(63.7%)。「社内の雰囲気」(58.0%)が続き、仕事や職場の具体的な情報を求めていることがわかる。また、「採用方法やプロセス」「求める人材像」(ともに 57.2%)、「採用スケジュール」(55.0%)などもポイントが高い。留学生の就職活動は地理的・時間的制約が大きいため、採用スケジュールやプロセスなどの選考情報を求める学生が多いのだろう。

就職活動の情報源を正規留学生と交換・派遣留学生とに分けて調べてみた。正規留学生で最も多いのは、「留学生向け就職サイト」(74.8%)で、「企業ホームページ」(73.4%)、「留学生向けイベント」(55.0%)が続く。留学生に特化した就職サービスが有力な情報源となっていることがわかる。
一方、交換・派遣留学生では「日本国内学生向け就職サイト」(47.9%)や「日本国内学生向け就職イベント」(23.3%)などの国内学生向け就職サービスも併用していることが見て取れる。

9.企業に評価してもらいたいこと
選考にあたって企業に評価してもらいたいことを尋ねたところ、留学生と国内学生で大きく異なることがわかった。留学生が評価してもらいたいこととして最も多いのは「コミュニケーション能力」(48.7%)で、「異文化対応力」(44.8%)、「語学力」(34.7%)と続く。また、「リーダーシップ」「フットワークの良さ」「バイタリティー」なども、国内学生に比べてポイントが高く、海外留学経験を通じて身につけた能力を高く評価してもらいたいと考える学生が多いことがうかがえる。
一方、国内学生が評価してもらいたいこととしては、「協調性」「コミュニケーション能力」「信頼性」などが上位に来ており、組織のなかで円滑に業務を遂行できる能力をアピールしたいようだ。

10.スケジュール変更による就職活動への影響
就職活動経験者を対象に、日本国内の昨年の採用日程ルールの変更(選考解禁が 8 月から 6 月へと早まった)について、自身の就職活動への影響を尋ねた。「良い影響があった」が 11.9%、「悪い影響があった」が 26.6%で、どちらかというと悪い影響を感じた留学生が多かった。とりわけ交換・派遣留学生で「悪い影響」と答えた割合が高かった(37.0%)。日程ルールへの意見を尋ねると、「帰国のタイミングと合わず厳しい」という学生の一方で、「留学生の採用は別日程だったり、個別対応してくれたりする企業も多いので支障はなかった」という声も見られた。

11.インターンシップの経験
今回の調査では 54.6%がインターンシップ経験ありと回答。日本での参加経験者が 40.2%で、海外での経験者が 22.7%だった。日本で参加しやすい時期を尋ねてみると、留学形態で大きく異なり、正規留学生は 6 月~8 月にかけて、交換・派遣留学生は 8~9 月や 2 月が多かった。正規留学生は夏休みの一時帰国中でないと参加が難しいことがわかる。

12.留学をした感想
留学全般についての感想を尋ねた。「大変良かった」が 8 割に迫り(79.7%)、「良かった」(17.4%)を合わせると 97.1%で、満足度は極めて高い。留学したことの成果としては、「異文化対応力の向上」(82.6%)、「語学力の向上」(82.1%)、「精神的にタフになった」(72.0%)が上位で、留学しなければ得られない経験が自身の成長につながったと捉えているようだ。

留学前に不安だったことを尋ね、実際に留学をして困ったことと比較した。留学前に最も不安だったことは「留学・生活費用」(57.1%)で、「語学力不足」(56.7%)、「授業レベル」(54.4%)が僅差で続く。実際に留学をして最も困ったことは「就職活動の進め方」(47.0%)。留学前の不安と同水準で、不安が現実のものとなった様子がわかる。日本での就職に関する情報不足や学業との両立の難しさが多く挙げられた。

13.留学費用
留学する上で最も大きな不安要素である費用について、実際にかかった額と、そのうち家族が負担した額について尋ねた。正規留学生の平均総額は 1,006.3 万円で、留学期間が比較的短い交換・派遣留学生(232.3 万円)と比べると 4 倍以上に上る。留学形態にかかわらず、費用の多くを家族に頼っており、「働いて恩返しをしたい」という学生の声も見られた。
なお、費用は留学先の国・地域によって異なり、アジアは欧米に比べて低い。


≪調査概要≫
調査対象: CFNに登録している【日本人留学生】のうち卒業時期が2016年5月以降の者 7,932人
調査方法: インターネット調査法
調査期間: 2017年2月15日~3月5日

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