農産物直売所の出退店動向調査 

2017年02月21日
リゾームは、同社製品の全国SC・ショップ・ブランド出退店データベース「SC GATE」を活用し2016年2月~2017年1月の期間を対象に、農産物直売所の出退店動向の調査を実施しました。

【集計概要】
1.集計期間:2016年2月1日~2017年1月31日
2.対象業種:農産物直売所
3.集計方法:SC・ショップ出退店データベース「SC GATE」での業種別集計結果をもとにした当社分析による

■急成長の農産物直売所ビジネス

農産物直売所ビジネスが大きく伸びています。農林水産省の調査によると、農産品直売所の数は2005年2月の1万3,538カ所(2005年農林業センサス農山村地域調査)から2009年度の1万6,816カ所(2009年度農産物地産地消等実態調査、2011年発表)へと3,000カ所以上増加し、その年間総販売額が8千7百67億円に達しているとしています。直売所1カ所当りの販売額では、2004年度に7千5百万円弱(2004年度農産物地産地消等実態調査)であったものが、2009年度では1億3千万円強(2009年度農産物地産地消等実態調査より算出)と大きく伸びています。
販売チャネルという視点では、農産物直売所というと「道の駅」を思い浮かべるかもしれませんが、道の駅も日経ビジネス(2013)によれば、国土交通省(当時は建設省)が1993年に103駅でスタートした「道の駅」が、2013年には1,000カ所を超え市場規模は3千5百億円となっています。

こうした農産物直売所成長の背景には表1の2011年の日本政策金融公庫の調査にもあるとおり直売所ならではの「鮮度が良い」「価格が安い」「味が良い」「安全・安心のレベルが高い」といったイメージがあることが考えられます。しかし、これらのイメージは特に農産品直売所だけが持つものではなく、たとえばイトーヨーカドーが「顔が見える食品。」をプライベートブランドとして投入するなど、多くの食品スーパーが目指していることと大きな違いがあるわけではありません。
では、なぜ今農産物直売所が成長しているのでしょうか。その一つの理由が先述の農業経営者記事に「お客様が直売所に行くのはこれまでの流通・小売に満たされない何か、いうなれば「本物感」みたいなものを求めているからなんだ」という言葉にあるのではないでしょうか。また、これは農産物を供給する側の努力の結果でもありますが「スーパーでは買えない商品がある」ことも農産物直売所の強みとしてあげることができるでしょう。

■SC GATE上の出退店を見ても、市場の成長が見られる

上記背景から、SC GATE上で農産物直売所の出退店について見てみましょう。農産物直売所はSC GATE上では大業種:「食品」、中業種:「スーパー・コンビニ・グローサリーなど」に、小業種では「グローサリー・食品雑貨・食材調理材料」「物産展・特産品」に分類されています。SC GATEの食品大業種の出店ランキング100位までにランクインしている店舗のブランドでは株式会社こだわりや(東京都)が運営する「こだわりや」(小業種:グローサリー・食品雑貨・食材調理材料)、株式会社タカヨシ(千葉県)が運営する「わくわく広場」(小業種:物産展・特産品)が見つかります。いずれの出退店状況を見ても退店傾向というよりは出店傾向が強く市場の成長が伺えましたが、両ブランドが出店しているSCには大きな違いがあり、「こだわりや」が首都圏の駅、駅周辺の通行量が多いSCに集中して出店することで有職女性の利便性ニーズに対応しようとしているのに対し、「わくわく広場」は中型以上の郊外型SCに集中して出店することで都市生活者の郊外居住ファミリーのニーズに応えようとしているのではないかと思われます。

■注目される“地方産品”によるさらなる成長の見込み

「わくわく広場」についてはSC GATEの年間出店ランキング(2016年2月1日~2017年1月31日)で年間22店舗と4位にランクインするなど、市場の成長だけでなく同ブランドの強い出店意向が伺えます。同ブランドでは野菜ソムリエを売り場に配置することで上述の「本物感」を強めるとともに、農産物直売だけでなく地方から取りそろえた地方産品も取り扱っており、売場を見ていると「コーヒーと輸入食品のワンダーショップ」「路地裏の宝探し」を自称するカルディコーヒーファームの「地方版」のように受け止められているのかもしれません。

地方産品は先に紹介した2つのブランドでも扱われていますが、昨今コミックやテレビ番組などで地方産品が取り上げられることも多く、また、ふるさと納税、地方創生など「地方」が全国的に注目される中、道の駅やその地方の食品スーパーまで行かなくても買えるということがプラスに作用していると思われます。そういう意味では多くのSCにある食品スーパーの弱点を補う存在としてこうした農産物直売所(+地方産品)をポジショニングできるのではないでしょうか。

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