職場の生産性向上に向けた労働力分析(Employing Analytics to Enhance Workplace Productivity) 

2017年03月30日
ワークフォース・アナリティクス・インスティチュート (コンファレンス・ボード(The Conference Board)とマーサー(Mercer)が共同で運営する調査機関)は、新たな調査報告書 『職場の生産性向上に向けた労働力分析(Employing Analytics to Enhance Workplace Productivity)』 において、従業員の生産性の向上は、依然として企業が競争力を高めるために取り組む重要な手段の一つである、と述べている。アジア太平洋地域においては、技術を投入すれば生産性が上がる、という段階はすでに終わっている。本報告書は、より優れたリーダーの育成、従業員のエンゲージメント強化、テクノロジーの活用を優先して実施することの重要性を提言するとともに、企業が考慮すべき戦略を提示している。

・アジア地域の生産性は低下傾向にある。企業は競争力を高めるため、従業員の生産性向上に集中して取り組む必要がある。
・賃金上昇の圧力、テクノロジーを活用するスキルの欠如、リーダーシップの機能不全、従業員エンゲージメントの停滞。そのような状況が、企業の生産性向上を阻んでいる。
・一人あたりの生産性が最も低下した国は、シンガポール(3.12ポイント減)、続いて韓国(2.34ポイント減)。一方、インド(2.71ポイント増)、続いてインドネシア(0.68ポイント増)は最も高い上昇を示した。日本の生産性は0.29%で、前回調査から比べて1.19ポイント低下、アジア諸国11ヵ国の中で最低。
・本調査報告書は、生産性向上に向けて3つの重要な方向性を示している。(1)より優れたリーダーの育成、(2)従業員のエンゲージメントの強化、(3)テクノロジーの活用
・本調査報告書は、人的資本に関わるアナリティクスの活用についてまとめた、アジアにおける最初の報告書となる。


コンファレンス・ボードの調査によれば、世界的な生産性 向上の鈍化が、企業の競争力や収益力に深刻な脅威を与えている。2008年から2014年にかけての生産性の伸びは、1999年から2007年までの伸び の約4分の1にまで落ち込んだ。そして今後、2025年までほとんど回復しないと予想されている。アジア諸国においては、インド、インドネシアおよびフィ リピンを除く、ほぼ全ての市場で従業員の生産性が下落している。(2008年~2014年と1999年~2007年の比較。図1参照)
今回の調査で一人あたりの生産性が最も低下した国は、シンガポール(3.12ポイント%減)、続いて韓国(2.34ポイント%減)であった。一方、インド (2.71ポイント%増)、続いてインドネシア(0.68ポイント%増)は最も高い上昇を示した。日本の生産性は0.29%となり、前回調査から比べて 1.19ポイント%低下、アジア諸国11ヵ国の中で最低であった。

生産性向上を優先する動きは急速に進んでおり、特に不確実性の高いビジネス環境においては不可欠となっている。 コンファレンス・ボードの調査によれば、生産性の増加は、実質的な純営業余剰の伸びと関連している可能性がある。(図2参照)

本報告書では、アジアの50名を超える人事プロフェッショナルに対するインタビューや調査から得られた考察として、次の3つのテーマを掲げている:

1.生産性向上を導く優れたリーダーの育成:
職場環境に大きな変化が想定される現場や、生産性向上が求められる局面においては、周囲を喚起してコミュニケーションや変化への対応を促し、透明性を確保していくリーダーシップが特に重要となっている。

2.従業員のエンゲージメントの強化:
従業員を動機づけるインセンティブの設計、あるいは、チームワークや協働、帰属意識を高められるような物理的・仮想的な職場環境の構築が、高い成果を生み出すことのできる健全な環境を生み出している。

3.生産性向上に向けたテクノロジーの活用:
コミュニケーションの改善、設備や機器の性能向上、セルフサービスの仕組みやトレーニングなど、テクノロジーの最適な活用が生産性の向上に寄与している。

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[マーサー]
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