年代や時代で変わる高年層の余暇への意識 -60~70代の余暇に対する意識・潜在需要を2010年と2015年で比較- 

2017年03月08日
日本生産性本部余暇創研は、高年層(60~79歳)の余暇への意識や潜在需要の変化について分析を行い、「レジャー白書短信第9号」としてまとめた。本短信では、職業生活の変化により余暇の過ごし方も大きく変わりやすいと考えられる60代を60~64歳と65~69歳に分けて、2010年と2015年の結果を比較することで、同じ年の年代による違いだけでなく、同じ年代のその5年間における変化も明らかにしている。また、潜在需要の分析では、60代後半以降に創作・鑑賞系の種目に新たな需要が生じる可能性があることを示している。

【調査結果】

■余暇の中に生きがいを求める人の割合は、各年代で増加傾向

はじめに、60-79歳の余暇に対する意識の変化を確認する。余暇と仕事(家事等を含む)のどちらを重視するかという問いに対する「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」の選択比率を見ると、各年代(60-64歳、65-69歳、70代の3区分)で2010年から2015年にかけて上昇していることが分かる。その上昇幅は特に65-69歳男性で大きくなっている。この結果は、60代を中心とした高齢層において余暇活動への意識が高まってきていることを示唆している。

■60代男性で自由時間を「休養やくつろぎのため」とする人が増加

高年層の「自由時間のあり方」についての回答結果を性・年代別に見てみると、2010年から2015年の5年間で特に大きく選択割合が上昇したのは60代男性における「休養やくつろぎのため」で、その上昇幅は60-64歳と65-69歳の両区分で11ポイントを超えている。逆に、「自然に親しむため」や「健康の維持や増進のため」の割合は60代男性において明らかに低下している。これらの結果から、60歳を超えても家事を含めた仕事の強度があまり下がらず自由時間を休養にあてる男性が増加していることが推察される。

■60代後半以降においても創作・鑑賞系の種目に新たな需要

潜在需要((参加)希望率から参加率を引いたもの)が特に大きい種目と小さい種目を抽出して、その2010年から2015年にかけての移り変わりを確認すると、年代が上がるにつれて潜在需要が大きい種目が少なくなる傾向がある中で、2015年に65-69歳男性では「絵を描く、彫刻する」が、70代男性では「観劇」が、また65-69歳女性では「書道」と「音楽会、コンサートなど」が新たに入ってきており、60代後半以降も創作・鑑賞系の種目において新たな需要が生じる可能性があることが示されている。


(※)本資料における各用語の意味は以下のとおり。
・自由時間のあり方・・・「あなたにとって自由時間は現在どのような時間ですか」という質問に対する9つの選択肢による回答結果(選択肢の表現についてはP3の表を参照)。
・参加率・・・ある余暇活動を1年間に1回以上おこなった人の割合。
・(参加)希望率・・・ある余暇活動を将来やってみたい、あるいは今後も続けたいとする人(回答者)の割合。
・潜在需要・・・(参加)希望率から参加率を引いた値。


【調査概要】
<余暇活動調査の仕様>
■調査方法:インターネット調査
■調査時期: 2015年、2010年ともにその次の年の1月
■調査対象:全国15歳~79歳男女(分析の主な対象は60~79歳の男女)
■有効回収数:2015年は3375(1025)、2010年は3728(1114)   ※カッコ内の数字は、60~79歳の男女の回答数。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本生産性本部]
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