企業における営業秘密管理に関する実態調査 

2017年03月17日
経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、営業秘密の保護強化に資する有効な対策の検討を進めるために、企業における秘密情報の漏えい実態や営業秘密の管理に係る対策状況を把握するための調査を実施しました。

1.背景

経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、近年の営業秘密漏えいに関する大型訴訟事例が発生している状況等を受け、営業秘密の保護強化に資する有効な対策の促進を図るために、企業における漏えいの実態や営業秘密の管理に係る対策状況を把握する調査を実施しました。
併せて、近年のAI、ビッグデータ等によるデータ利活用の進展を背景とした営業秘密の管理実態についても調査を実施しました。

2.調査概要

本調査では、企業における営業秘密の漏えいや管理の実態を把握し、有効な対策を検討することを目的として、文献調査、アンケート調査、ヒアリング調査、判例調査・分析を行い、その結果を取りまとめました。
送付先  :無作為に抽出した12,000社
回答企業 :2,175社(18.1%)

3.主な調査結果

今回の調査では、前回(平成24年度)調査と比較して、大規模企業においては対策が進んでおり、営業秘密の発生経路として、中途退職者による漏えいの割合が減少したことにも現れていると思われます。一方で、中小規模企業においては、危機意識も低く留まり、その対策もあまり進んでいない実態が明らかとなりました。

問.営業秘密の漏えいが発生したルートは?【全体】
・現職従業員のミスによる漏えい(43.8%)※前回調査26.9%(+16.9%)
・中途退職者(正規社員)による漏えい(24.8%)※前回50.3%(▲25.5%)
・取引先や共同研究先を経由した漏えい(11.4%)※前回9.3%(+2.1%)

問.営業秘密へのアクセスをシステム的に制御するための対策は?
・営業秘密の保存領域にはアクセス権を設定している
 大規模企業(75.4%) 中小規模企業(15.2%)
・営業秘密を含むファイル等にはパスワードを設定している
 大規模企業(50.5%) 中小規模企業(23.2%)
・特に何もしていない
 大規模企業(2.0%)  中小規模企業(37.9%)

社会動向の変化により漏えいリスクの高まりを感じるものとして「スマートフォン・タブレット機器等の急速な普及」、「データの利活用機会の増加」、「クラウドの利用機会の増加」などが挙げられた。これは、近年、情報のデジタル化、通信環境(インフラ、料金等)の改善、記録媒体の容量の増大、クラウドの利用拡大などが進んでいることと共に、AI、IoTが実装されるいわゆる第四次産業革命に対応する取組みが始まりつつあることなどが反映されていると思われます。

問.直近5年程度で営業秘密漏えいリスクの高まりを感じる社会動向の変化は?
・標的型攻撃の増加(51.9%)
・スマートフォン・タブレット機器等の急速な普及(51.4%)
・データの活用機会の増加(41.8%)

営業秘密の漏えいを検知する活動については、大規模企業のうち7割以上が実施している一方で、中小規模企業では3割以下の企業でしか実施できていない結果となりました。

問.営業秘密の漏えいを検知する活動は?
【大規模企業】 検知活動実施を行っている(76.7%)
【中小規模企業】検知活動実施を行っている(23.9%)

漏えい対策に取り組んだ企業がその対策を有効と感じている対策としては、アンチウイルスソフトの導入やアクセス権の設定など、簡単に導入が行える基本的な対策が挙げられており、これらの対策だけ実施すればよいというわけではないが、対策が進んでいない企業においては、まずは、こうした対策から試してみるなど、対策を検討する際の一助となると思います。

問.企業が有効性を感じている対策は?
・PC等の情報端末にはアンチウイルスソフトを導入している(21.7%)
・営業秘密の保存領域にはアクセス権を設定している(21.0%)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[経済産業省]
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