2016年度 世界の報酬動向調査 

2015年12月09日
ヘイ コンサルティング グループは、2016 年の世界各国の報酬動向を調査しました。2016 年の世界の賃金は、歴史的低インフレを反映し、過去 3 年間で最も高い 2.5%の実質賃金上昇を予測しています。

<各地域、各国の報酬動向>

ヨーロッパは引き続き上向き
ヨーロッパ全体では、2016 年の平均昇給率は 2.8%、インフレ率(0.5%)調整後の実質昇給率は2.3%と予測。低インフレを受けて、実質賃金は西ヨーロッパで 2.0%、東ヨーロッパでは 2.9%、それぞれ上昇する見込みです。
イギリス、フランス、ドイツは明るい見通しです。イギリスの昇給率は過去 2 年と同様の 2.5%ですが、低インフレにより実質賃金は西ヨーロッパ平均を上回る 2.3%上昇。フランス、ドイツも実質賃金が増える見込みで、上昇率はそれぞれ 1.7%、2.7%です。経済問題を抱えるギリシャも同様で、昇給率予測は 2%(昨年は 1.3%)ですが、デフレにより実質賃金は 3.4%上昇の見込みです。ヨーロッパで昇給率予測が最も高いウクライナ(11.5%)は、高インフレ(48.3%)により実質賃金は-36.8%と大幅減少。経済制裁と原油価格下落が経済に打撃を与えたロシアも、昇給率予測 7%に対し、インフレ(14.5%)調整後の実質賃金は昨年の 0.7%から大きく落ち込み-7.5%です。

実質昇給率が最も高いアジア
アジア全体の昇給率予測は昨年より 0.4% 低い 6.4%ですが、実質賃金の上昇率は世界最高の 4.2%と予測されます。実質賃金の上昇が高いのはベトナム(7.3%)、中国(6.3%)、タイ(6.1%)の順です。株式市場急落や輸出減少を伴う経済の失速の一方で、熟練労働者の需要増による就業率上昇や新興中産階級の増加で、中国の昇給率は 8%の見込み。急成長する経済の恩恵を享受するインドは、実質昇給率が 2015 年 2.1%、2014 年 0.2% から過去 3 年で最高の 4.7% と予測されます。

北米の労働市場は上昇傾向
このような上昇傾向は北米でも見られ、労働市場が上向いています。米国ではインフレ率が低く(0.3%)、実質賃金は 2.7%増加すると予測されます。カナダの昇給率は 2.6%、実質昇給率は1.3%上昇となります。北米全体の昇給率は昨年と同様に 2.8%の見込みです。

中南米は経済混乱により賃金低下
中南米全体の昇給率は、世界最高の 11.4%ですが、高いインフレ率(12.8%)のため実質賃金は-1.4%になる見込みです。特に顕著なのはアルゼンチンとブラジルで、2016 年の昇給率は各31%、7.7%、実質賃金はアルゼンチンが 3.6%上昇、ブラジルでは-1.2%となります。
世界で最も実質所得が減ると予測されるのはベネズエラで、昇給率は 70%と高いものの、予測インフレ率(122.6%)調整後の実質賃金は-52.6%となります。

中東とアフリカは力強い成長
中東とアフリカでは、原油価格の急落や政治・経済的混乱にもかかわらず、昇給率予測はそれぞれ5.3%、6.5%となっています。インフレ率も比較的低く、実質賃金の上昇予測はそれぞれ 3.8%、1.6%です。中東で実質賃金の上昇予測が最も高いのはレバノン(11.5%)とヨルダン(5.3%)です。最も低いのは UAE(0.9%)で昨年の 2.8%から低下。エジプトは高インフレの影響で、実質賃金が-0.4% と予測されます。


世界の報酬動向調査について
「2016 年度世界の報酬動向調査」は、ヘイグループの PayNet 会員企業 110 カ国以上の 2 万 4000社の 2000 万人以上を対象にアンケートによる調査を実施。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ヘイ コンサルティング]
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