2017年世界生活環境調査(QUALITY OF LIVING SURVEY) ‐都市ランキング 

2017年03月14日
マーサーは 「2017年世界生活環境調査(Quality of Living Survey) ‐ 都市ランキング」 を発表した。

今年で19年目になるマーサーの生活環境調査によると、政治や経済の不安定さは増しているものの、事業拡大の拠点や駐在員の派遣先となっている多くのヨーロッパの都市が、ランキングの上位にランクインする結果となった。今年は、多国籍企業が海外拠点を設立し、社員の派遣先を決定する上で、重要な役割を担っている都市インフラについて、別途ランキングを発表している。交通の利便性、安定した電力供給、衛生的な飲料水などが、本国と任地の生活環境差に基づいてハードシップ手当を決定する重要な要素になると言える。

・ウィーンが8年連続「世界生活環境ランキング」の首位、最下位は昨年同様バクダッド

・ヨーロッパの都市がランキングの上位で優勢

・日本の主要都市の順位は、東京 (47位)、神戸 (50位)、横浜 (51位)、大阪(60位)、名古屋 (63位)

・従来の総合ランキングに加え、本年は「都市インフラ・ランキング」を発表 (シンガポールが首位、ハイチ ポルトープランスが最下位)


ウィーンは8年連続でランキングトップとなった。チューリッヒ (2位)、ミュンヘン (4位)、デュッセルドルフ (6位)、フランクフルト (7位)、ジュネーブ (8位)、コペンハーゲン (9位)、バーゼル(10位-今年から調査対象都市に)と、上位10都市の多くがヨーロッパの都市となった。ヨーロッパ以外の都市でトップ10入りした都市は、オークランド (3位) とバンクーバー (5位)のみであった。 アジアではシンガポール(25位)、中南米ではモンテビデオ(79位)がそれぞれ最上位となった。

今回の調査では、各都市における電力供給、飲料水、電話、郵便、公共交通機関や渋滞状況、国際航空路線網などを評価対象として、「都市インフラ・ランキング」 も発表している。都市インフラ・ランキングでは、シンガポールが最高位となり、フランクフルトとミュンヘンがともに2位でこれに続いた。最下位はバグダッド (230位) とポルトープランス (231位)となった。

マーサーの調査は、世界でも有数の総合調査として信頼されており、多国籍企業などが海外駐在にあたり社員の報酬を公平に決定できるよう毎年実施されている。有益なデータであるとともに、世界450都市以上のハードシップ手当について提言しており、この内231都市を今年のランキング対象としている。

地域別分析

【ヨーロッパ】
<総合ランキング>
不安定な政治、経済情勢にも関わらず、西ヨーロッパの都市は高い生活環境を維持している。ウィーンに続き、チューリッヒ (2位)、ミュンヘン (4位)、デュッセルドルフ (6位)、 フランクフルト(7位)、ジュネーブ (8位)、コペンハーゲン (9位)、初ランクインのバーゼル (10位)と、8都市が総合ランキングのトップ10に入る結果となった。中央・東ヨーロッパでは、69位のプラハが最高位となり、リュブリャナ(76位)、ブダペスト (78位)が続いた。ヨーロッパのほとんどの都市の順位は安定しているが、ブリュッセル (27位)はテロ関連の安全保障上の問題から6つ順位が下がり、ローマ (57)はゴミ処理の問題により4つ順位が下がった。最後に、この1年のトルコ国内での深刻な政治的混乱の結果、イスタンブールは 122位から133位に下がった。ヨーロッパで最も順位が低かったのはサンクトペテルブルクとティラナ(ともに176位)、ミンスク (189位)となった。

<都市インフラ・ランキング>
西ヨーロッパの都市は、都市インフラ・ランキングでもトップ10を占め、フランクフルトとミュンヘンがともに世界第2位で、これにコペンハーゲン (4位)、デュッセルドルフ (5位)が続いた。ロンドンは6位、ハンブルクとチューリッヒがともに9位となった。ヨーロッパ全域で最もランクが低かったのはサラエボ (171位)とティラナ (188位)となった。

「都市インフラ・ランキングで上位となっている都市は、トップレベルの施設を備える国内空港、国際空港があり、国内交通網は多様で広範囲に整備され、スマート技術や代替エネルギーといった革新的なソリューションを採用しています。ほとんどの都市は、将来に向けて、多様性、信頼性、技術、そして持続可能性を整えつつあります。」とパカルティは述べている。

【南北アメリカ】
<総合ランキング>
北米では、カナダ各都市が上位にランクインする結果となった。今回もバンクーバー (5位)が最高位となり、トロント(16位)、オタワ(18位)が続いた。米国ではサンフランシスコ (29位) が最高位となり、ボストン (35位)、ホノルル (36位)、ニューヨーク (44位)、シアトル (45位)が続いた。ロサンゼルス (58位)やシカゴ (47位)は犯罪率が高いことから、それぞれ順位を下げた。メキシコではモンテレイ (110位) がメキシコで最高位となったが、首都メキシコシティは128位にとどまった。南米では、モンテビデオ (79位) が最高位となり、ブエノスアイレス (93位) とサンチアゴ (95位)がこれに続いた。ラパス (157位)とカラカス (189位)が最下位となった。

<都市インフラ・ランキング>
都市インフラ・ランキングでは、バンクーバー(9位)が最高位となった。次いで、アトランタとモントリオールが14位で並んだ。カナダと米国の都市インフラは、空港やバスの接続、衛生的な飲料水の供給、安定した電力供給など高い水準にある。交通渋滞はこの地域全体の都市での懸念事項となっている。北米ではテグシガルパ (208位)とポルトープランス (231位) 最も低い評価となった。84位のサンチアゴは南米で最も順位が高く、ラパス(168位)が最下位だった。

【アジア・太平洋】
<総合ランキング>
アジア・太平洋地域は今回もシンガポール (25位)が最上位となった一方で、タジキスタンのドゥシャンベ (215位) が最下位となった。東南アジアでは、シンガポールに次いでクアラルンプール (86位)、バンコク (131位)、マニラ (135位)、ジャカルタ (143位)の主要都市が続いた。東アジアの上位5都市はいずれも日本の都市で、東京 (47位)、神戸 (50位)、横浜 (51位)、大阪(60位)、名古屋 (63位)であった。香港 (71位)、ソウル (76位)、台北 (85位)、上海(102位)、北京 (119位)も注目される。ニュージーランドとオーストラリアは例年世界生活環境ランキングの上位となっており、オークランド (3位)、シドニー (10位)、ウェリントン (15位)、メルボルン(16位) は、いずれも上位20都市に入っている。

<都市インフラ・ランキング>
都市インフラ・ランキングにおいても、地域内で差が生じており、シンガポール (1位)が首位となった一方で、ダッカ (214位)はほぼ最下位となった。ニュージーランドとオーストラリアで上位10都市にランクインしたのはシドニー (8位) のみとなった。パース (32位)、メルボルン (34位)、ブリスベーン (37位)が続いた。総じて、生活環境は良好だが、空港からの接続や交通渋滞といった基準が都市インフラ・ランキングの評価を下げる要因となった。

【中東・アフリカ】
<総合ランキング>
中東・アフリカ地域 ではドバイ(74位)が最高位、その後にアブダビ(79位)が続いた。イエメンのサナア (229位)、中央アフリカ共和国のバンギ (230位)、イラクのバグダッド (231位)が最下位3都市となった。

<都市インフラ・ランキング>
ドバイは都市インフラ・ランキングでも 51位で最高位となった。他に上位100都市に入ったのは、テルアビブ (56位)、アブダビ (67位)、ポートルイス (94位)、マスカット (97位)、そして2022年の FIFA ワールドカップ開催地であるカタールのドーハ(96位)の5都市のみとなった。中東・アフリカの都市は、都市インフラ・ランキングの下位層を占め、コンゴ共和国のブラザビル (228位) 、サアナ (229位)、そしてバグダッド (230位)が最下位となった。

「マーサー 2017年世界生活環境調査‐都市ランキング」

【総合ランキング】
<上位10都市>
1 ウィーン (オーストリア)
2 チューリッヒ (スイス)
3 オークランド (ニュージーランド)
4 ミュンヘン (ドイツ)
5 バンクーバー (カナダ)
6 デュッセルドルフ (ドイツ)
7 フランクフルト (ドイツ)
8 ジュネーブ (スイス)
9 コペンハーゲン (デンマーク)
10 バーゼル (スイス)
10 シドニー (オーストラリア)

<下位10都市>
231 バグダッド (イラク)
230 バンギ (中央アフリカ共和国)
229 サヌア (イエメン)
228 ポルトープランス (ハイチ)
227 ハルツーム (スーダン)
226 ンジャメナ (チャド)
225 ダマスカス (シリア)
224 ブラザヴィル (コンゴ共和国)
223 キンシャサ (コンゴ民主共和国)
222 コナクリ (ギニア)

【都市インフラ・ランキング】
<上位10都市>
1 シンガポール (シンガポール)
2 フランクフルト (ドイツ)
3 ミュンヘン (ドイツ)
4 コペンハーゲン (デンマーク)
5 デュッセルドルフ (ドイツ)
6 香港 (香港)
6 ロンドン (イギリス)
8 シドニー (オーストラリア)
9 ハンブルク (ドイツ)
9 バンクーバー (カナダ)
9 チューリッヒ (スイス)

<下位10都市>
231 ポルトープランス (ハイチ)
230 バグダッド (イラク)
229 サヌア (イエメン)
228 ブラザヴィル (コンゴ共和国)
227 コナクリ (ギニア)
226 バンギ (中央アフリカ共和国)
225 ンジャメナ (チャド)
224 ダマスカス (シリア)
223 アンタナナリボ (マダガスカル)
222 バマコ (マリ)
221 アブジャ (ナイジェリア)
* 「都市インフラ・ランキング」は、電気、水道、電話、郵便、公共交通機関、交通渋滞、および空港の利便性を基準として評価しています(2016年11月調査)


付記: 2017年世界生活環境調査(Quality of Living Survey)について
「世界生活環境ランキング(Quality of Living Survey)」は、マーサーがグローバルで実施する世界生活環境調査の最新の結果に基づき毎年作成されています。マーサーでは調査対象の都市ごとに個別レポートを作成しています。全都市を対象としたサマリーレポートは作成しておりません。複数都市比較も可能です。本データは主に2016年9月から11月にかけてマーサーが収集したもので、特に重要な政治、経済、 環境開発等の状況の変化に対応して定期的に更新されています。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[マーサー]
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