平成27年度体力・運動能力調査 

2016年10月09日
スポーツ庁は、「平成27年度体力・運動能力調査」の結果を発表。

【調査結果のポイント】

(1)体力・運動能力の加齢に伴う変化の傾向
・全体的な傾向として、6歳から加齢に伴い体力水準は向上し、男子では17歳頃に、女子は14歳頃にピークに達する。男女とも20歳以降は加齢に伴い体力水準は緩やかに低下する。
・握力については,男子で35~39歳,女子では40~44歳でピークに達する。

(2)体力・運動能力の年次推移の傾向

①青少年(6~19歳)
・直近18年間の新体力テスト合計点の推移を見ると、ほとんどの年代で緩やかな向上傾向。
・体力水準が高かった昭和60年頃と比較すると、中学生男子及び高校生男子の50m走を除き、依然低い水準。

②成年(20~64歳)
・直近18年間の新体力テスト合計点の推移を見ると、30歳代の女子では低下傾向がみられるが,20歳代男子及び50歳以降の男女とも緩やかな向上傾向がみられる。

③高齢者(65~79歳)
・直近18年間の推移を見ると、ほとんどの項目及び合計点で向上傾向。
・平成27年度の合計点は,65~69歳の女子, 75~79歳の男女で過去最高。

【調査結果の分析】

(1)各年代の運動・スポーツ実施状況の過去との比較(図1)
・週1日以上運動する者の割合は,男子については中学2年でピークとなり,高校以降下がり続け40代後半で底を迎え,50代後半以降上昇。
・女子については,小学5年でピークを迎え,中学期を80%程度で推移した後,14歳から段階的に下落し、18歳で底を迎える。20代後半からは上昇に転じ,50代以降では男子を上回っている。
・平成12年度と比較すると,男子は概ね各年齢を通じて上回っている。女子は20代前半から40代後半まで下回っているが,50代以降は逆転している。
・昭和60年度との比較では,男女とも高校卒業から40代前半くらいまでは下回っており,特に女子の10代後半から30代までは10~20ポイント程度の差となる。一方で,40代後半以降は昭和60年度の数値を上回る。

昭和60年度と比較すると,男子では運動実施状況に大きな変化は見受けられないが,女子については10代後半から20代の若い世代で,運動・スポーツを実施している人が大幅に減少していることがわかる。そのため,生涯を通じて運動習慣を継続させていくための対策が重要であると言える。

(2)青少年の運動・スポーツ実施状況と体力・運動能力の関係(図2)
・50m走(13歳)の記録について,実施状況別に15年前・30年前と比較した。
・男女とも昭和60年度から平成12年度に低下し,その後27年度は向上しているが,実施状況別に見ると週3日以上の群が平成12年度以降向上しているのに対し,週3日未満の群はほぼ横ばいで推移していることがわかる。

子供の体力・運動能力は昭和60年頃と比べると依然低い水準にあるが,よく運動している子供に比べ,あまり運動していない子供がより低下している。したがって,今後は運動が不足しがちな子供たちへの対策が重要だと言える。

(3)成年・高齢者の運動・スポーツ実施状況と体力・運動能力等との関係
①過去・現在の運動・スポーツ実施状況とBMI(体格指数)の関係(図3)
・運動・スポーツの実施率が比較的低い30~40代の成年について,過去の実施状況と現在の実施状況別に体格指数(BMI)を比較した。
・BMIが「普通体重」となる者の割合について,過去経験ありの場合,現在週1日以上運動している者では,週1日未満の者に比べて約6ポイント高い。また,過去経験なしの場合でも,同様に現在週1日以上運動している者の方が週1日未満よりも約6ポイント高く,過去経験ありの場合と大きな差は見られない。

※「BMI(Body Mass Index)」とは,肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数の一つであり,「体重(kg)/身長(m)の2乗」で求められる。日本肥満学会の基準では,「普通体重」とはBMIの値が18.5以上25未満。

②過去・現在の運動・スポーツ実施状況と体力・運動能力及びADLテストの関係(図4)
・高齢者にとっては,ロコモティブシンドローム等を予防し,自立して生活できることが重要となるため,ADLテストにおける「1時間以上歩くことができるかどうか」と過去及び現在の実施状況との関係を分析した。
・1時間以上歩くことができるとする者の割合は,過去経験ありの場合,週1日以上運動する者は,週1日未満の者よりも約18ポイント高い。また,過去経験なしの場合でも,現在週1日以上運動している者の方が週1日未満よりも約21ポイント高く,過去経験ありの場合と大きな差は見られない。

※ADL(日常生活活動)テストとは,日常生活の中で必要とする基本的な動作(日常生活活動:Activities of Daily Living)ができるか否かを質問紙によって評価するテスト項目であり,本調査においては,高齢者を対象に実施している。

運動習慣は生涯を通じて持ち続けることが重要であるが,過去の運動・スポーツ経験がない人でも,現在実施することにより体力や健康によりよい影響を与えることができると言える。

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[スポーツ庁]
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