「独立二世帯住宅」と「一体同居住宅」についての調査(親子二世帯で暮らす男女対象) 

2017年02月10日
旭化成ホームズの「二世帯住宅研究所」は、2月10日の「二世帯住宅の日」を前に、親世帯と子世帯がそれぞれにキッチン・浴室・玄関を設け生活空間を分けて暮らす「独立二世帯住宅」と、水廻りを共用して両世帯が一緒に暮らす「一体同居住宅」について、世帯間交流の違いや同居満足度などの調査を行いました。

 その結果、「独立二世帯住宅」に暮らす家族の意識は、同居にも関わらず多くの方が「別々の家に住んでいる感覚」を持ってお互いの生活リズムを大切にしていること、その上で親・子世帯間で良い関係を築けていること、同居の満足度は「一体同居住宅」より上回ることなどがわかりました。例えば、「独立二世帯住宅」で暮らす家族の特徴として、誕生日やクリスマスなどのイベントでは両世帯が頻繁に集い交流を楽しむものの、日常生活で一緒に夕食を食べる頻度は意外にも少なく、「月1日以下」が7割以上を占めており、家の形は同じ「1つ屋根の下に住む」でも、「独立二世帯住宅」と「一体同居住宅」とでは家族の意識や生活が全く異なるようです。

【調査結果トピックス】

調査結果① 独立二世帯住宅でくらす親・子世帯は「別々の家感覚」で満足度が高い
「独立二世帯住宅」の同居に対する満足度は93.6%と「一体同居住宅」の66.3%を上回り、親・子世帯間の関係も「母・義母とよく話をする」が73.2%、「気軽に子供の世話を頼める」が77.1%に上るなど良好です。また、「一体同居住宅」で暮らす人の87.3%が「同じ家に住んでいる感覚」を持っているのに対し、「独立二世帯住宅」で暮らす人は70.1%が「別々の家に住んでいる感覚」を持っています。

調査結果② 独立二世帯住宅は「日常生活は別でもイベントは一緒」、空間を離してこそのメリハリある交流
基本的に毎日一緒に夕食をとる「一体同居住宅」の暮らしと大きく異なり、別々の家感覚で暮らす「独立二世帯住宅」では、「日常の夕食」を一緒に食べる頻度は少なく、72.1%が「月1日以下」です。しかし、「誕生日やクリスマスなどのイベント」では頻繁に集い交流を楽しんだり、おいしいもののおすそ分けはするなど、独立二世帯住宅の生活を上手に楽しんでいます。

調査結果③ 独立二世帯住宅は親世帯・子世帯それぞれで自立している
「独立二世帯住宅」で親世帯が子世帯に「家事」を頼る割合は1.9%、「経済的」には3.8%と低く、お互いが自立しており、頼り合うために同居しているわけではないようです。また「動線の交錯」「生活音漏れ」「不用意に見られる」などプライバシーが守られないことや相手世帯に気を使わせることへの抵抗感が強く、これらに関する間取りの配慮が、同居満足度の高さにつながっているものと推測されます。

【調査の背景】

■新築戸建て住宅取得者の約4割が近居を選択。共働き家族の増加に伴い「同居」「近居」への注目が高まっています。
 少子高齢化が進展するとともに、働き方改革など労働環境の改善への動きも高まる中、2015(平成27)年3月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」の中に「世代間の助け合いを目的とした『三世代同居・近居』の促進」が盛り込まれるなど、親世帯と子世帯がサポートし合える「同居」「近居」への関心が高まり、自治体による同居・近居への優遇制度も始まっています。
 右のグラフは、新築の戸建住宅に占める、親世帯と子世帯とが15分圏内にある「近居」の割合を示したものです。1980年代に建築された戸建住宅では25.9%と4軒に1軒程度でしたが、年々増加し、2010年代には38.9%と約4割を占めるまで増えています。

■「近居」でもなく「一体同居住宅」でもない、1つ屋根の下に独立して暮らす「独立二世帯住宅」という選択。
 子育てサポートのメリットなどから「近居」希望者が増えると同時に、最近は災害時などいざという時の安心感や親の介護サポートなど、1つ屋根の下で暮らす「同居」ならではのメリットにも改めて注目が高まっています。
 1975(昭和50)年、当社は業界に先駆け「二世帯住宅」を商品化して以来、 3世代が安心で豊かな生活を実現する住まい方として、二世帯住宅の研究を継続的に行い、商品展開してまいりました。特に、二世帯住宅の中で最も分離度の高い「独立二世帯住宅」は、近居・同居に注目が集まる中、「近居」でもなく「一体同居住宅」でもない、その中間で双方のメリットを活かした選択肢の1つとして注目していただきたいと考えます。
「近居」でもなく「一体同居住宅」でもない、1つ屋根の下に独立して暮らす「独立二世帯住宅」という選択。

【調査結果】

調査結果① 独立二世帯住宅は「別々の家感覚」で満足度が高い

■独立二世帯住宅で暮らす人は、一つ屋根の下でも「別々の家感覚」に近く子世帯は親世帯との良好な関係を築いており、同居満足度が高い
 住んでいる家に対する同居感覚を聞いたところ、一体同居住宅で暮らす人の87.3%が「同じ家に住んでいる感覚」を持っているのに対し、独立二世帯住宅で暮らす人は70.1%が「別々の家に住んでいる感覚」を持って暮らしています[図1]。つまり、独立二世帯住宅と一体同居住宅は、家の形はどちらも「1つ屋根の下に住む」同じものに見えますが、実際に住んでいる人の意識は全く異なることがわかります。
 一方、同居している母親との関係を子世帯に聞いたところ、生活空間が一緒である一体同居住宅よりも、生活空間を完全に分けている独立二世帯住宅の居住者の方が、より多くの人が「母・義母とはよく話をする」(73.2%)、「母・義母に気軽に子どもの世話を頼める」(77.1%)と回答しており、独立二世帯住宅では日常生活を分けているからこそ気兼ね・気苦労のない良好なコミュニケーションやサポート関係を築けていることがわかります[図2]。このような、別々の家に住んでいる感覚でありながら、必要に応じて親世帯に気軽に相談や頼みごとができるという、独立二世帯住宅に暮らす人の持つ距離感は、「近居」に近い感覚とも言えるでしょう。
 このように、親・子世帯間の程よい関係性を築きやすいことなどもあり、独立二世帯住宅で暮らす人の同居満足度は93.6%と 非常に高く、一体同居住宅で暮らす人の満足度66.3%を大きく上回ることがわかりました[図3]。

調査結果② 独立二世帯住宅の交流は生活を離してこそのメリハリある交流

■独立二世帯住宅に暮らす人は、一つ屋根の下でも夕食は別々に食べ、顔を合わせない日もあるがイベントでの交流や頂き物のおすそ分けなど同居のメリットは積極的に享受
 今回の調査で注目すべきことは、独立二世帯住宅で暮らす人の実に72.1%が、日常生活において両世帯が一緒に夕食を食べる頻度を「月に1日以下」とし[図4-1]、また、66.9%が「母を見かけない日もある」と回答していることです[図5]。これは、生活空間を分けていない一体同居住宅における暮らし方とは大きく異なる点です。
 一方、家族の誕生日やクリスマスなどのイベントで両世帯が集う頻度を聞いたところ、独立二世帯住宅居住者の41.2%が「月1回以上」と頻繁に集まっており、逆に「年1回以下」しか集まらない人は11.8%と少数派です[図4-2]。独立二世帯住宅で暮らす人も、両世帯での交流を楽しむという魅力を積極的に享受している様子がうかがえます。

 普段の生活における相手世帯との関係で心がけていることを聞いたところ、独立二世帯住宅では「珍しいものや美味しい頂き物は分ける」が74.0%と高く、生活を分けているからこそ積極的に良いものをシェアする気持ちが起きていると想像されます。また、特に違いが大きい項目として、「外出時の声掛け」(23.5%)や「行先や帰宅時間を伝える」(18.6%)などが独立二世帯住宅では低く、お互いに干渉しない生活が自然にできている様子がうかがえます[図6]。
 このような、一つ屋根の下でも日常生活においては世帯ごとに全く別々の生活を過ごし、イベントでは一緒に楽しむというメリハリのある付き合い方が、独立二世帯住宅における満足度の高さにつながっていると考えられます。

調査結果③ 独立二世帯住宅は親世帯・子世帯はそれぞれに自立している

■独立二世帯住宅で暮らす家族は、家事についても経済的にも頼ることが少なく、互いに自立しており配慮すべき点は「動線の交錯」「生活音漏れ」「不用意に見られる」などプライバシーが守られないこと
 独立二世帯住宅でも一体同居住宅でも「自世帯の生活リズムで暮らしたい」という希望が大半を占めますが、独立二世帯住宅居住者の方がより強い傾向にあります(独立二世帯住宅92.2%>一体同居住宅80.4%)[図7]。
 実際に相手世帯に対し日常でどれくらい頼っているか聞いたところ、独立二世帯住宅では家事についても経済的にも相手世帯を頼る割合は低く、お互いに頼り合うために同居しているわけではないことがわかります。特に、独立二世帯住宅の親世帯が子世帯に「家事を頼る」割合は1.9%[図8] 、「経済的に頼る」割合は3.8%と非常に低く [図9]、お互いに自立している関係がうかがえます。

 独立二世帯住宅の間取りに求められる必要条件を調べるために、「もしも間取りが○○だったら抵抗を感じると思うか」を独立二世帯住宅の子世帯に聞いてみました。その結果、浴室や自分の部屋への移動中に親世帯を通るなどの「動線の交錯」、足音や 排水音などの「生活音漏れ」、互いの生活空間が見えるために「不用意に見られる」などプライバシーが守られないことに対する抵抗感が強いことがわかりました[図10]。つまり、同居満足度の高い独立二世帯住宅の間取りとは、イベントでの楽しい交流が行いやすい間取りであるとともに、「生活動線を分ける」「遮音性を高める」「視線を遮る」などのニーズを満たすものであると考えられます。

(ご参考)
■親世帯の自由回答からわかる独立二世帯住宅の暮らしのコツ 「生活を離すと、気持ちがくっつく」

 以下は、親世帯が考える二世帯住宅の暮らしのコツです。「せっかく同じ家に住んでいるのだからお互いの行動も共有したほうがよい」という価値観とは全く異なり、あたかも近居の暮らしのような気兼ねのなさと、家族ならではの思いやりを兼ね備えているようです。これらの声からも、日常でストレスがたまるような「生活リズムを無理に合わせる」ことをせずそれぞれの生活を大切にすることで、両世帯の交流にメリハリがついて親・子世帯間の関係にもプラスに働くものと思われます。

親世帯の父
完全な二世帯住宅なので干渉はお互いにしないが、娘夫婦、孫達とはフランクな関係で気を遣うような間柄ではない。ストレスを感じることはなく、理想的二世帯住宅だと思う。娘夫婦は今経済的にも大変な時期なので、親から差し入れ等行い援助している。親の喜びでもある。(70代)
孫たちにとって、「父母が二人ずついる」ということにならないよう、あくまでも「ジジ・ババ」として子育てのサポートをするよう心掛けている。(60代)
お互いに干渉しない。気持ちだけは交流させておく。(60代)

親世帯の母
おせっかいはほどほどに。プライバシーは守る。(60代)
頼まれない限りは手を出さない、今は妊娠中なので手伝うことも沢山ありますが言われた事だけをする。(60代)
私自身が子育ては全てやりきって終わったと考えているし、これからの老後人生、子や孫に必要以上にかかわったり、患わされたくないので、お互い自立した世界があって気ままにやっている。これでうまくいっている。(60代)
干渉しない。孫の面倒をみて、夫婦で出かける事をすすめる。自分の事は自分でする、出来る事はしてやる。ミスがあっても責めあわない。有り難うを必ず言う。(70代)
1週間くらい音沙汰なくても心配することはないし、用事があれば遠慮せずに行く。LINEで家族グループや娘とのチャットを常時しているので、特に隔たりもない。(50代)


【調査概要】
・実施時期:2016年12月
・調査手法:インターネット調査
・調査対象:全国の親子二世帯で暮らす男女622人
 独立二世帯住宅:独立二世帯タイプの二世帯住宅(へーベルハウス)の居住者 204人(子世帯152人 親世帯52人)
 一体同居住宅:通常の単世帯向け間取り(一般戸建住宅)に一体的に同居する居住者 418人(子世帯270人 親世帯148人)

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