50代男性のセカンドライフ(定年後、60歳以降の生活)に焦点をあてた調査 

2017年02月07日
博報堂新しい大人文化研究所は、40~60代を“新しい大人世代”と呼び、その意識と消費に関する調査研究を行っています。
50代男性のセカンドライフ(定年後、60歳以降の生活)に焦点をあてた調査を実施しました。

・セカンドライフ(定年後、60歳以降の生活)に対する「期待指数」平均は62.3ポイント。“自分の定年後(または60歳以降)の人生を、どの程度楽しみにしているのか”を、最大限に楽しみにしている場合を100として回答してもらったところ、平均値は62.3ポイント。

・将来や老後に対する「不安指数」平均は57.2ポイント。“自分の定年後(または60歳以降)の人生に対して、どの程度不安を感じているか”を、最大限に不安を感じている場合を100として回答してもらったところ、「期待指数」と同様、50を超える数値となり、定年後の生活への期待と不安が入り混じる心情が伺える。

・セカンドライフに向けた「準備指数」平均は31.2ポイント。“定年後(または60歳以降)の仕事や暮らしに向けて、現時点でどの程度準備を進めているのか”を準備万端整っている状態を100として回答してもらったところ、31.2ポイント。老後の準備は進行途上という人が多い。


新しい大人文化研究所では、意識調査の結果を詳細に分析し、まるで未成年のように未来にゆれる心情を持つ50代、定年を控えた層を「未定年」層と名づけました。また、セカンドライフへ異なる向き合い方をしている4つのグループを抽出し、自分が生きるため、自分のしたいことのため、絆を深めるための3つの投資行動が行われていくと考察しています。

【調査結果】

50代のセカンドライフへの気持ち
■セカンドライフ(定年後の生活)に対する「期待指数」「不安指数」「準備指数」を、年齢別に見ると、54歳(50代前半)までは紆余曲折、55歳を超える(50代後半)と、期待が徐々に高まるとともに、不安は減少傾向に向かっている。「55歳」が意識変化のターニングポイントとなっていると考えられる。

セカンドライフへの期待指数平均:62.3
セカンドライフへの不安指数平均:57.2
セカンドライフへの準備指数平均:31.2
*指数全体最高値を100とした時

セカンドライフへの意識による「4つのグループ」

■セカンドライフへの期待と不安を、「期待指数」と「準備指数」の平均値を基準値として4つのグループに分けると、期待を平均以上に持っている層が半数を超える。一方で、期待も準備も低い層が最も多く35.1%を占める。

①期待[高] 準備[高]
構成比:28.5%
■期待指数:83.7
■準備指数:61.6
■不安指数:49.7

②期待[高] 準備[低]
構成比:26.2%
■期待指数:78.9
■準備指数:17.5
■不安指数:58.6

③期待[低] 準備[高]
構成比:10.2%
■期待指数:41.9
■準備指数:54.9
■不安指数:55.9

④期待[低] 準備[低]
構成比:35.1%
■期待指数:30.7
■準備指数:10.0
■不安指数:70.9

■これらの4つのグループは、属性やセカンドライフに対する意識に違いが見られ、【パイオニア】【ドリーマー】【プロフェッショナル】【サバイバー】と位置づけられる。また、それぞれのグループで考えられる課題にも違いがある。

①期待[高] 準備[高]
新しい私らしいセカンドライフを開拓したい
パイオニアタイプ
理想的定年予備軍層
<想定される課題>
■チャレンジの実現サポート
■ライフスタイルの社会的共有

②期待[高] 準備[低]
定年後、悠遊自適に、でもちょっと準備は不安
ドリーマータイプ
従来型定年予備軍層
<想定される課題>
■準備サポートの充実

③期待[低] 準備[高]
私のこれからの生き方は既に決まっている。
定年はただの通過点
プロフェッショナルタイプ
長期的には主流派となれば高齢社会が安定するキー層
<想定される課題>
■若年時からのライフプランニング観啓発

④期待[低] 準備[低]
定年は、生きることの戦いのはじまり、考える事、やることいっぱいで大変そう
サバイバータイプ
今後の拡大の可能性が高い層
<想定される課題>
■仕事機会、住宅問題、孤独など課題の解決

セカンドライフを迎える50代の準備と期待
■セカンドライフを迎えるにあたって必要な準備とは何かを尋ねたところ、60歳以降に必要な資金や健康など“生きていくために必要な準備”に加え、「現在の仕事の能力・スキル向上」「新しい仕事の能力・スキル獲得」「資格」「社外の人的ネットワーク」など、いわば、“可能性の幅を拡げるための準備”も必要であると感じられている。これらの傾向は【ドリーマー】や【サバイバー】が他のグループを上回っており、現状準備が足りていないとする層でこれらの準備の必要性が感じられている。

■定年後(60歳以降)に期待することを尋ねたところ、セカンドライフに期待が高い【パイオニア】【ドリーマー】では、「趣味・スポーツなど自分の好きなことができる」「好きな時に好きなことができる」「夢に描いていたことができる」などの意向が他グループと比べて高く、(仕事が中心から)自分を中心にした生活をしたいという考え方が強まっている。

■またこれらのグループでは、「配偶者や家族との時間が増える」ことへの期待も強く、家族をセカンドライフを充実させるための重要なものの一部として捉えていることが伺える。

【調査結果からの考察】

セカンドライフを迎える50代において、今後活性化する可能性が高い「3つの投資」
■50代は、消費よりも投資に意識が向く層であり、新しい行動を取り始めるこれからのシニアジェネレーションであると推察される。

1 ライフライン投資
金融知識・健康知識など、自分が“生きる”ための投資に関しては従来にも増して活性化していく可能性がある。例えば50代が金融知識を高めるための金融商品など、ライフラインを強化するための投資は今後活性化する。また、高齢となった親が介護を必要とするケースも増加し、自分の生活を守りながら介護をするための知識獲得サポート、施設への支払いなどもライフラインの投資として発生する可能性がある。

2 セルフプロジェクト投資
会社を辞めた後も長生きする時代、自分の好きな仕事、好きな趣味、“自分のしたいこと”をやるためのセルフプロジェクトを計画し、実行する人も拡大していくものと思われる。それを実現するための知識や資格の獲得、人脈の拡大やコミュニティへの参加費用など、自分が自分らしく生きるための投資も拡大するのではないか。

3 絆投資
共に長生きをするパートナー、家計を共にするパートナーの存在の必要性は、セカンドライフへの期待感の違いからも見てとれる。本格的なセカンドライフに入る前に、例えば旅行やギフトなど、絆を深めるための投資も大きくなる可能性がある。


【調査概要】
調査主体:博報堂 新しい大人文化研究所
調査対象:①定年前グループ(50代男性有職者)、②定年後グループ(60~65歳男性)
対象エリア:1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)
対象者数:①定年前グループ519サンプル、②定年後グループ206サンプル
調査手法:インターネット調査(マクロミルパネルにて実施)
調査日時:2016年8月

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[博報堂]
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