第5回目APEC CEO年次調査(APEC参加の国・地域で事業を営む52カ国のCEOおよび業界リーダー対象) 

2015年11月19日
PwCが実施した第5回目APEC CEO年次調査によると、アジア太平洋地域の最高経営責任者(CEO)は、今後12カ月間の事業成長の見通しは急速に悪化すると考えていることがわかりました。11月18〜19日に開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)会議に先立ち、ビジネスリーダーは数多くの懸念を抱いていることが調査結果に示されました。

今夏の金融市場の不安定さがCEOの自信に悪影響を与え、今後12カ月間の売上拡大に対して「大変自信がある」と回答したビジネスリーダーはわずか28%でした。これは前年比で46%の減少となり、PwCが2012年にアジア太平洋地域のCEOを対象として向こう12カ月間の自信について調査を開始してから、最も低い水準となりました。

懸念は経済だけに留まりません。サイバーセキュリティ、自然災害、および地域の地政学的な緊張などが投資や成長に対する主な脅威となっています。しかし、自信の水準には地域差があり、フィリピンのビジネスリーダーの51%が来年の成長に自信を抱いているのに対し、米国では34%、中国では20%に留まっています。

また、企業の規模によって自信の水準が大きく異なることも判明しました。中規模の企業では、大企業や小企業と比べて自信があると回答したCEOは半数以下、そのうち今後12カ月の増収に大変自信があると回答したCEOはわずか15%でした。これは中規模企業のCEOが、従来の市場を越えて事業を拡大したものの、何らかの衝撃を受けた際にそれを容易に乗り越えられるほどの規模には達していないと感じていることを示すものです。

この「CEO confidence in Asia Pacific shaken but strong」と題されたPwCの2015 APEC CEO調査では、800名を超える域内のビジネスリーダーに対して事業の見通し、成長、および自由貿易に関するアンケートを実施しました。この調査報告書は本日、フィリピンのマニラで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)会議の冒頭で発表されました。

この増収に対する自信の低下にもかかわらず、CEOの過半数(53%)は今後12カ月間に投資拡大を計画し、その投資の大半(68%)はアジア太平洋地域において行われる予定です。また、アジア太平洋地域内においても投資の多様化が明確になっています。中国、米国、およびインドネシアが引き続き主な投資対象国であるものの、CEOはフィリピン、ベトナム、およびシンガポールの経済にも魅力を感じており、これらの国に対してはCEOの約半数が来年中には投資を拡大すると回答しています。

過去最大の調査対象者数となった800名を超えるAPEC諸国のビジネスリーダーは、域内での貿易プロジェクトや、発展が遅れている地方への新たなインフラストラクチャー建設よりも、ブロードバンドアクセスの拡大やデジタル経済への参加が、事業に最大の可能性をもたらすと指摘しています。これらのビジネスリーダーは、2020年までにアジア太平洋地域においてテクノロジーを通じた近代化が拡がると考えています。例えば、66%がロボティクス、IoT、3Dプリントなどの発展が2020年までに、ものづくりに変革をもたらすと考え、また63%は業務オペレーションの最新化について新たな投資の波を予想しています。

APEC諸国のCEOは自由貿易について楽観的に捉えており、複数の分野にわたって地域の統合が進むことに伴って、2020年までにアジア太平洋域内において自由貿易地域が現実のものになると考えています。より多くのCEOにとってASEAN経済共同体は大きな変化をもたらす「巨大地域」の変革者であり、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が貿易拡大と地域の成長を押し上げることを期待しています。

その他の調査結果は以下のとおりです。

・CEOの3分の1は、自国内での事業の利益率改善に対する自信が低下しています。新しい製品やサービスの提供開始など、コントロールが可能な分野に関してはより楽観的です。

・商品(モノ)のグローバル貿易が衰える中で、サービスがアジア太平洋地域にとってより重要になってきているとCEOは考えています。これにより、経営およびITコンサルティング、物流ノウハウ、およびリスク管理サービスへの需要が拡大すると予想されます。


【調査方法】
APEC CEO意識調査 2015は、APEC参加の国・地域で事業を営む52カ国800名のCEOおよび業界リーダーを対象に、2015年6月23日から8月21日の期間に、PwCインターナショナル・サーベイ・ユニットにより実施されました。

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[PwC]
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