ソーシャルメディアが人々に及ぼす影響調査(世界18か国の16歳以上の男女対象) 

2017年01月12日
Kaspersky Labは、人々のソーシャルメディアとの関わりについて掘り下げて調査しました。

【調査方法】
本調査は、2016年10月から11月にかけて、世界18か国の16歳以上の男女16,750名を対象に調査会社のTolunaがオンラインで実施したものです。データは、世界全体の状況を反映した一貫性のあるものとするため、各種要素を加味して分析しました。

【調査結果の概要】

・人々は楽しい気分になるためソーシャルメディアを利用している: 回答者の約半数は、「自分が楽しいと感じたこと」(61%)を含め、明るい話題の投稿をするようにしている。

・ところが、ソーシャルメディアは必ずしも前向きに受け止められていない: 57%の回答者は、ソーシャルメディアを利用した後、他の人が自分より良い生活を送っていると感じたことがあると認めている。

・ソーシャルメディアは自分の社会的な存在価値を確認する場として利用されている: 自分の投稿に対する「いいね!」の数を気にしないと答えた人は、回答者のわずか1/3(31%)にとどまった。

・利用者(特に男性)は、思いどおりに「いいね!」が得られないと腹立たしく感じる: 男性の1/4(24%)は、「いいね!」の数が少ないと、友達から自分に人気がないと思われるのではないかと心配していた。これに対し、女性は6人に1人(17%)がそう答えていた。

・ソーシャルメディアでなるべく多くの「いいね!」を獲得するため、人々はプライベートな情報を公開して自分自身と大切な人を危険にさらしている: 37%の回答者は自分の出身地を、31%は電子メールアドレスを、30%は交際ステータスを、18%は勤務先の詳細を、14%は住所を共有している。

・ソーシャルメディアは実社会での対人関係にも影響を及ぼしている: 回答者の1/3は、ソーシャルメディアで近況を見たり、やり取りをしたりするようになってから、親(31%)、子ども(33%)、パートナー/配偶者(23%)、友達(35%)、同僚(34%)との直接会ってのコミュニケーションが希薄になったと認めている。


ソーシャルメディアは、オンライン上で人々をかつてないほど密接につなげる可能性を秘めています。 ソーシャルメディアでは、楽しいひとときや思い出、写真を互いに共有し、国境を越えて連絡を取り合い、友情を育み、コミュニティを作り出すことができます。 ソーシャルメディアがもたらすチャンスと魅力を考えると、2016年第3四半期までにFacebookの月間アクティブユーザー数が16億人に達し、Twitterの平均ユーザー数が3億1,700万人に上るのもうなずけます。

ソーシャルメディアが人と人とをつなぐ存在であることは明らかなのに、ソーシャルメディアのせいで気が滅入る思いをすることはないでしょうか。 また、人々のオンラインセキュリティにはどのような影響が及んでいるのでしょうか。

Kaspersky Labではこの疑問を念頭に、人々のソーシャルメディアとの関わりについて掘り下げて調査しました。 本調査では、人々がソーシャルメディアを活発に利用することで何を期待しているのかを理解し、現状を把握することに努めました。

その結果は興味深く、 ソーシャルメディアが人々の失望感、自己否定感、マイナス思考を招いていることを示す証拠が世界中で得られています。 それどころか、社会的な存在価値を確認したいがために、ソーシャルメディアで多くの秘密情報を共有しているケースもありました。この傾向は、女性より男性に強く見られました。

セクション1: 期待どおりにいかない現実

調査結果では、多くの人が満足感を得たり、楽しんだりするためにソーシャルメディアに参加し、サービスを利用しているにもかかわらず、時にがっかりする経験をしていることがわかっています。 本調査によると、ソーシャルメディアを利用した後にマイナスの感情を持つ理由として、迷惑な広告、「いいね!」の数が少ないこと、さらには友達への嫉妬が挙げられました。

本調査では、人々が前向きな理由でソーシャルメディアを利用していることが明らかになりました。65%の回答者は友達や同僚、知り合いと連絡を取り合うために、60%は楽しくて愉快な投稿を見るために、ソーシャルメディアを利用すると答えています。

調査結果を見てみると、楽しみや前向きな理由でソーシャルメディアを利用していることは明らかで、最も多くの回答者が選択していました。 回答者の約半数は、「自分が楽しいと感じたこと」(61%)を含め、明るい話題の投稿をするようにしています。

また、利用者自身もソーシャルメディアに楽しみを求めています。回答者の40%は「自分がソーシャルメディアに投稿した楽しい写真を見ると元気になる」、29%は「落ち込んだときは、過去に自分が投稿した楽しい写真を見返している」、32%は「楽しい写真を見るほど、嫌なことを忘れられる」と答えていました。

人々が明るい話題を投稿しようとする一方で、ソーシャルメディアには趣味や休暇、イベントなどに関する楽しい投稿があふれ返っていることから、ソーシャルメディアを利用してもそれほど明るい気分にはなれないこともあります。 たとえば、37%の回答者は、自分の過去の楽しい投稿を見ると、今より昔のほうが幸せだったと感じることを認めています。 さらに、自分より友達のほうが人生を楽しんでいるかのような印象を受ける人もいます。 59%の回答者は、自分の行っていないパーティーに友達が行ったのを見て、嫌な気持ちになったことがあると答えています。 友達の楽しい休暇の写真でさえ嫌な気分になると答えた人は45%に上り、回答者の約3/4は、ソーシャルメディア上に表示される迷惑な広告によって嫌な気分になったことがあると答えました(72%)。

※「嫌な気分になったことがある」と回答した人たちを母数として算出

セクション2: 社会的な存在価値の確認を求めて

本調査では、人々がソーシャルメディアの場で社会的な存在価値を確認しようとすることで、満足感を得ようとしていることがわかりました。 そのため、自分の投稿に何件の「いいね!」がつくかというシンプルな基準を重視していました。

自分の投稿、動画、写真に対する「いいね!」の数は気にならないと答えた人は、回答者のわずか1/3(31%)にとどまったのに対し、回答者の大多数は投稿に「いいね!」をつけてほしいと感じていました。 さらに、他者からの評価を重視するあまり、回答者の大半(55%)はソーシャルメディアに投稿やコメントをした後、自分の投稿を1日に数回以上見返し、他の人からの反応や返信をチェックしていました。

また、女性より男性のほうがソーシャルメディアをチェックする回答がやや多い傾向にあることもわかりました。 利用者(特に男性)は、思いどおりに「いいね!」が得られないと腹立たしく感じています。 男性の1/4(24%)は、「いいね!」の数が少ないと、友達から自分に人気がないと思われるのではないかと心配していました。これに対し、女性は6人に1人(17%)がそう答えていました。 回答者の4人に1人(28%)は、自分にとって大切な人が投稿に「いいね!」をつけてくれないと腹立たしく感じると答えており、これが男性では29%に上りました。 また、24%の回答者は、自分の友達が他の人の投稿に「いいね!」をつけていると嫉妬すると答えています。

このような結果から、人々がソーシャルメディアで好感を持たれたいと感じていることは明らかです。 社会的な存在価値を確認しようとする気持ちから、「いいね!」の数を増やすために、恥ずかしい情報や不適切な情報を投稿する人たちもいます。 27%の回答者は、もしソーシャルメディアで確実にたくさんの「いいね!」が得られるのであれば、友達のおもしろい情報を投稿してもいいと認めており、26%は同僚のおもしろい情報を投稿してもいいと答えています。 同僚や友達の恥ずかしい情報や、雇用主の秘密の情報を公表してもいいと答えた人は、10人に1人程度でした。 その割合は女性より男性のほうが2倍高く、12%の男性が友達の秘密の情報を公表してもいいと答えていたのに対し、女性では5%にとどまりました。

「いいね!」に対する執着はこれだけにとどまりません。 本調査によると、回答者の5人に1人(21%)が、もしたくさんの「いいね!」が得られるのであれば、普段は口にしないような意見を強く主張すると答えています。 また、約10人に1人(12%)は、「いいね!」の数を増やすためなら、「実際には行っていない場所に行ったふりをする/していないことをしたふりをする」と答えており、酒に酔った友達の写真を投稿する(12%)、露出の多い服を着た友達や自分の写真を投稿する(10%)という回答も見られました。 中には、自分の裸の写真を投稿してもいいと答えた人もいました(7%)。 女性より男性の方がこうした危険を冒す傾向が強かったことから、男性にとっては「いいね!」を多く獲得することが女性以上に重要であり、男性は社会的な存在価値を確認するためなら踏み込んだ行動を取りがちであることがわかりました。

ソーシャルメディアでなるべく多くの「いいね!」を獲得するため、他人に知られたくないプライベートな情報を公開して、自分自身と大切な人を危険にさらしている人もいます。

本調査によると、回答者の1/3(33%)は、もし「自分の住んでいる場所や自宅の外観」が他人に知られたら不安だと答えており、「自分が外出している時間帯」(36%)、「子どもの年齢と所在地」(33%)を知られることに不安を感じる人もいました。 また、「交際歴」(22%)、「給与」(30%)、「個人的な秘密」(51%)を知られることにも不安を感じていました。

それにもかかわらず、多くの回答者が自分自身やつながりのある人たちの情報をソーシャルメディアで共有しており、秘密にしたい情報が他人に漏れやすい状況を作っていることが調査で明らかになっています。  37%の回答者はソーシャルメディアで自分の出身地を、31%はメールアドレスを、30%は交際ステータスを、18%は勤務先の詳細を、14%は住所をそれぞれ共有していました。いずれもオンライン上で他人に秘密の情報を開示する行為であり、その気があれば悪用される恐れもあります。

セクション3: オンラインでのコミュニケーションが現実の対人関係を変える

本調査では、オンラインでのコミュニケーションによって実社会での対人関係に影響が及んでいることが明らかになりました。

回答者の多くは、ソーシャルメディアによって親、友達、配偶者、同僚などとこまめにコミュニケーションを取るようになったと感じています。 ソーシャルメディアでつながってから、80%の回答者は友達と、77%は同僚と、70%はパートナーや配偶者とこまめにコミュニケーションを取るようになったと答えました。

回答者の約半数は、ソーシャルメディアでつながってから他の人との関係も良好になったと感じています。 これは特に親において顕著で、55%の回答者は、子どもとソーシャルメディアでつながってから関係が良くなったと答えています。 同様に、ソーシャルメディアでつながったことで、50%は同僚との関係が、46%はパートナーや親との関係が良くなったと回答しました。

一方、ソーシャルメディアが人間関係に悪影響を及ぼす可能性があることも調査で示されています。 「いいね!」の数を増やしたいがために、自分や友達が酒に酔った写真、露出の多い服装や時には裸の写真まで投稿しようとする人もいることから、現代社会ではソーシャルメディアによって人間関係にひびが入ることもあり得ます。 21%の親がこのような状況を経験しており、ソーシャルメディアによって子どもに気まずい場面を見られてしまったことがあると答えていました。 また、回答者の約5人に1人(16%)は、ソーシャルメディアで配偶者やパートナーに気まずい場面を見られた結果、関係が損なわれたことがあると認めています。

ヴュルツブルク大学のメディア心理学者、アストリッド・カロルス博士は、この調査結果について次のように述べています。「調査から、現代のデジタルコミュニケーションが現実世界のコミュニケーションを補っていることが明らかになりました。 私たちはモバイル化の進んだグローバル社会に住んでおり、パートナーや家族と離れて暮らすケースもあります。 デジタルコミュニケーションは、都市や国をまたいで暮らすことから生じる現代生活の隔たりを埋めてくれます。 その一方で、デジタルコミュニケーションも必ずしも直接会ってのコミュニケーションにはかないません。 デジタルコミュニケーションは感覚的な部分が欠如しているので、感覚面で物足りなさを感じてしまうのです。」

また、私たちは必ずしもオンラインでのコミュニケーションを客観的に評価することができません。 オンラインでのコミュニケーションを”超個人的(ハイパーパーソナル)なコミュニケーション”としてとらえてしまうケースもあり、ソーシャルメディアでのメッセージを誤解したり、拡大解釈したりすることにつながります。 「デジタルコミュニケーションのようにスリム化されたコミュニケーションでは解釈の余地が生まれ、どちらかといえば前向きな解釈やプラスの感情に傾きます。 その場合、私たちは相手に強い親しみを感じ、悪いことには目をつぶり、文章の裏にある良いメッセージのみに目を向けて、拡大解釈してしまいます。 たとえメディアリッチネス(メディアの能力)の点で情報メディアとしてスリム化されていても、感情的なメディアであるといえるでしょう。 スリム化されているからこそ、現実以上に存在感を発揮することがあるのです。」

友達や家族と直接会ってのコミュニケーションがなくなることはありませんが、ソーシャルメディアにより直接顔を合わせてコミュニケーションを取ることが少なくなったと答えた回答者の割合は、全体の1/3にも上りました。 回答者の1/3は、ソーシャルメディアで近況を見たり、やり取りをしたりするようになってから、親(31%)、子ども(33%)、パートナー/配偶者(23%)、友達(35%)、同僚(34%)との実際のコミュニケーションが希薄になったと認めています。

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[カスペルスキー]
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