グローバル情報セキュリティ調査2017(日本版) 

2016年11月18日
PwCコンサルティング合同会社、PwCサイバーサービス合同会社、PwCあらた有限責任監査法人は、11月18日、「グローバル情報セキュリティ調査(The Global State of Information Security® Survey)2017(日本版)」の結果を発表しました。本調査は、世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワークであるPwCが、CIOおよびCSOを含む経営層を対象に実施した、情報セキュリティや最新のサイバーセキュリティに関する世界規模のオンライン調査です。

本調査の結果、日本企業で個人情報を扱う部門は、規制への対応や規程の整備を重視し、データをビジネス面で利活用する段階まで至っていない傾向が浮き彫りになりました。また、世界中で課題となっているセキュリティ人材不足の問題に対して、日本企業ではテクノロジーの積極的な活用によって対応する動きが遅れていることが明らかになりました。

「グローバル情報セキュリティ調査2017(日本版)」の主な調査結果

世界全体と日本企業の調査結果の比較

■日本企業は個人データを十分に利活用できていない
個人情報のセキュリティ対策については、世界全体と日本企業はほぼ同等レベルで実施しているのに対して【図1】、個人データを利活用することに関しては、世界全体に比べると日本企業は消極的な傾向が分かりました【図2】。日本企業は、各国が近年相次いで制定を進める個人情報保護規制への対応に追われ、データを分析し、ビジネス面に活用していく段階への移行は進んでいないと考えられます。

■セキュリティ人材不足へのテクノロジーの活用
世界全体で、2019年に約150万人※1のセキュリティ人材が不足すると言われており、日本では約19万人※2が不足する見込みです。セキュリティ人材が不足している中、専任のセキュリティ要員を雇用できている企業は、世界全体で約5割、日本においては約3割に留まっています【図3】。人材不足を補うことのできるテクノロジー活用においても、日本は世界全体に比べ、顕著な遅れをとっていることが分かります【図4】。

調査結果に基づいた日本企業への示唆

■デジタル戦略の策定
顧客情報や従業員情報を適切に保護することは企業にとって最低限の社会的責任です。一方で、企業が社会に価値を提供し続けるには、安全に管理した個人データを最新の技術を用いて活用することが欠かせません。膨大なデータを分析し、誰にどのようなサービスを、どのような媒体を通じて、また、どのビジネスパートナーと協業して提供するのが効果的なのか、新たな価値を生み出すデジタル戦略の策定こそが、今や企業の生命線と考えます。

■セキュリティ組織の長期的な強化計画を立てる
企業におけるセキュリティ管理業務は、IT部門による技術的な要素だけではなく、国内外の個人情報に係る法規制への対応から消費者や株主などステークホルダーへの説明、経営層、社内への啓発、調整などさまざまな領域に及びます。自社に必要なセキュリティ業務を専門分野ごとに棚卸しし、インシデントが発生した場合を想定した上で、長期的な計画を描くことが重要です。社内の他部署のリソースを転用し、セキュリティ人材として育成していくことや、人工知能などのテクノロジーを活用して技術者不足を補うことも有効な施策の一つです。

グローバルの主な調査結果

■世界全体ではセキュリティインシデント想定損失額が減少
セキュリティインシデントによる想定損失額は、世界全体で6%減少しています。特に20%以上の削減ができたと回答した業界が5つありました【図5】。この要因として、未然にインシデントを防止できていることや、インシデントが発生したとしても損失が発生する前に対応できていたためと考えています。

■昨年急伸した情報セキュリティ予算は横ばい
情報セキュリティ予算は昨年から横ばいでした。これはセキュリティ投資が一巡し、投資意欲が停滞したとも考えられます。しかし、特にサイバー攻撃の標的になりやすい業界や規制が厳しい業界では、継続的に投資を行っています【図6】。


【調査概要】
「グローバル情報セキュリティ調査2017」
調査主体:PwC、CIO Magazine、CSO Magazine
調査期間:2016年4月4日~2016年6月3日
調査方法:オンライン調査
調査対象:10,000人以上の最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)、最高情報責任者(CIO)、最高情報セキュリティ責任者(CISO)、最高セキュリティ責任者(CSO)、副社長、ITおよび情報セキュリティ役員。うち日本の回答は205人。
調査地域: 133カ国 (北アメリカ34%、ヨーロッパ31%、アジア20%、南アメリカ13%、中東および南アフリカ3%)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[PwC]
 マイページ TOP