アクセンチュア調査:イノベーションの取り組み状況と業績を分析(8業界、9カ国、フォーブス・グローバル2000にランクインする351社対象) 

2017年01月24日
アクセンチュアの最新調査によると、イノベーション力や製品開発力の差別化を図っている企業は、年換算の収益が同業他社に比べて3~7%高いことが判明しました。

アクセンチュアが、世界9カ国(日本、カナダ、中国、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、英国、米国)、8業界において、フォーブス・グローバル2000にランクインする351社を調査したところ、業界を牽引する企業は、製品やサービス、ソフトウエア、ハードウエアを組み合わせた一貫した顧客体験を提供することで、自社のイノベーション力を強化していることが明らかになりました。調査対象企業のうち、3分の2(66%)が、「過去2年間における主なイノベーションは、単なる新製品の開発ではなく、優れた顧客体験や、顧客体験に関連した新しいビジネスモデルから生まれた」と回答しています。

調査にあたり、アクセンチュアは、産業機器、消費財、消費者向けテクノロジー、自動車、ライフサイエンス・医薬品・バイオテクノロジー、ソフトウエア、企業向けIT、通信技術の8業界において、イノベーションや製品開発に対する先進的な取り組みが経済・財政面にもたらす影響を定量化しました。これにより、それぞれの業界で、イノベーション力や製品開発力が収益や営業利益の増加と相関していることが分かっています。

イノベーション力や製品開発力の差別化に注力する企業の年換算収益の高さを、同業他社と比較
産業機器 7.0%
消費財 5.5%
消費者向けテクノロジー 5.3%
自動車 5.0%
ライフサイエンス、医薬品、バイオテクノロジー 4.8%
ソフトウエア 4.0%
企業向けIT 3.9%
通信技術 3.5%

企業は、製品だけでなく、あらゆる顧客接点に対してイノベーションをもたらすことで多大な恩恵を受けることができます。アクセンチュアでは、自動車業界の企業がこうしたイノベーションを実現することで、年間で最大10億ドルの収益増を見込めると試算しています。また、消費者向けテクノジー業界では6億3,300万ドル、医療テクノロジー業界では5億8,100万ドル、産業機器業界では5億6,700万ドルの収益増が見込めると予測しています。

今回の調査により、各業界のリーダー企業が重点を置いている領域がそれぞれ明らかになっています。例えば、通信機器業界のリーダー企業は新規事業の育成や事業統合に注力している一方、産業機器業界のリーダー企業はイノベーション力と製品開発力の強化に重点を置いています。また、消費財業界では企業戦略と商品戦略に一貫性を持たせることを最優先としています。

リーダー企業は、「注力分野のイノベーション」よりも「新規分野でのイノベーション」で差別化しています。ハードウエアを主力にしてきた企業は、デジタル技術の進展によって、産業基盤が根底から覆されようとしており、ソフトウエアや新たなコネクテッド・エクスペリエンス(あらゆるモノがインターネットに繋がることで生まれる体験)に主軸を置いた戦略へ移行しようとしています。スポーツアパレル、従来型の玩具やゲームのほか、冷蔵庫などの耐久消費財といった業界では、顧客との双方向のコミュニケーションやパーソナライゼーション、製品機能を強化することで、製品のサービス化を図っています。こうした動きの先頭に立つ企業は、単に欲しい製品を顧客に尋ねるのではなく、これまで満たされなかった顧客ニーズを特定することで差別化を図っています。

調査データに基づき、アクセンチュアは、イノベーターを「アーリー・イノベーター(ゲームチェンジをもたらす新たなイノベーションでいち早く価値を生み出す企業)」、「バリュー・メーカー(エコシステムを活用することで製品単体では実現できないイノベーションを創出する企業)」、「マーケットシェア・プロテクター(製品・サービスの強化でマーケットシェアを堅守する企業)」、「エフィシェント・エグゼキューター(プロセスの効率化や体系化、最適化を図る企業)」の4つに分類しました。このうち、業界を牽引する企業は「アーリー・イノベーター」か「バリュー・メーカー」のいずれかに分類されています。


調査について
アクセンチュアは、8業界(自動車、産業機器、消費財、医療テクノロジー、企業向けIT、消費者向けテクノロジー、通信技術、ソフトウエア)、9カ国(日本、カナダ、中国、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、英国、米国)において、フォーブス・グローバル2000にランクインする351社を対象に、イノベーションの取り組み状況と業績を分析しました。調査では、各社の最高技術責任者(CTO)、エンジニアリングやイノベーションを担当する事業部長・副部長、もしくはこれらに相当する役職者に対するインタビューが行われました。これにより、際立ったイノベーション力と企業成長には明確な相関関係があることが分かりました。リーダーとして定義された企業は、年換算で同業他社の収益を3.5~7%上回っており、営業利益も同様に上回っています。調査にあたり、アクセンチュアは、企業の業績を業界ごとに分析したほか、イノベーションの手法や能力に関する先進性も分析し、上位20%の企業をリーダー企業と定義しました。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[アクセンチュア]
 マイページ TOP