孫育て等をめぐる祖父母の支援実態調査(18~69歳の男女対象) 

2015年10月02日
第一生命保険のシンクタンク、第一生命経済研究所では、全国の 18~69 歳の男女 7,256 人に対して「今後の生活に関するアンケート調査」を実施し、『ライフデザイン白書 2015 年』を発刊しました。
10 月の第3日曜日が「孫の日」(日本百貨店協会により 1999 年に制定)であることにちなみ、調査結果の中から、孫育て等をめぐる祖父母の支援実態に注目したデータをご紹介します。

≪調査結果のポイント≫

子どもの教育費への不安
●高校生以下の子どもがいる母親の8割弱が、子どもの教育費に不安を感じている

子どもの教育資金を祖父母に援助してもらいたいか
●高校生以下の子どもがいる母親の約2割が、教育資金を祖父母に援助してもらいたい

子どもの進路について祖父母に相談することがあるか
●末子が中学生の母親では、4割弱が子どもの進路について祖父母に相談

心配ごとや悩みごとを聞いてくれる家族・親族
●高校生以下の子どもがいる母親では、6割弱が心配ごとや悩みごとを聞いてくれる人として「自分の親」をあげる
●末子が中学生の母親では、心配ごとや悩みごとを聞いてくれる人として「自分の親」をあげる人が「配偶者」とほぼ同じ割合

助言やアドバイスをしてくれる家族・親族
●高校生以下の子どもがいる母親では、6割弱が助言やアドバイスをしてくれる人として「自分の親」をあげる
●末子が中学生以下の母親では、助言やアドバイスをしてくれる人として「自分の親」をあげる割合が「配偶者」を上回る

【調査結果】

子どもの教育費への不安
高校生以下の子どもがいる母親の8割弱が、子どもの教育費に不安を感じている


図表1は、高校生以下の子どもがいる親のうち、「子どもの教育費」に不安を感じている人(「非常に不安」と「やや不安」の合計、以下同じ)の割合を示したものです。
これをみると、父親の 67.9%、母親の 78.7%が不安を感じています。母親では父親に比べて、「子どもの教育費」への不安が強いことがわかります。
末子の学齢別にみると、不安を感じている人の割合は、末子が中学生までの母親では8割前後を占めています。末子が中学生のまでの母親では、「子どもの教育費」に不安を感じている人がかなり多いことがわかります。
また、末子が中学生の母親では不安を感じている人が 80.5%であるのに対し、父親では63.6%と、母親に比べて 15 ポイント以上低くなっています。末子の高校受験を控えるこの時期は、子どもの進路選択や受験勉強を日々見守る母親と、仕事で忙しい父親の意識にずれが生じているのかもしれません。

子どもの教育資金を祖父母に援助してもらいたいか
高校生以下の子どもがいる母親の約2割が、教育資金を祖父母に援助してもらいたい


図表2は、高校生以下の子どもがいる親に「子どもの教育資金を自分または配偶者の親(子どもにとっての祖父母)に援助してもらいたいか」をたずねた結果です。
これをみると、あてはまる(「あてはまる」と「どちらかといえばあてはまる」の合計、以下同じ)と答えた親は、父親・母親とも約2割にとどまっています。子どもの教育費への不安は多くの親に共通するものの、祖父母の経済状況を考えてか、祖父母を頼ることへの抵抗感からか、資金援助を期待しているとはっきり答えた親は少なくなっています。
末子の学齢別にみると、あてはまると答えた割合は、末子が中学生の場合に父親の回答割合が母親の回答割合を 10 ポイント近く下回っています。末子が中学生の父親では子どもの教育資金を自分または配偶者の親(子どもにとっての祖父母)に援助してもらいたいと考える人が母親に比べて少ないことがわかります。末子の高校受験を控えて教育費への不安が強いこの時期の母親に比べて、父親は親に資金援助をしてもらう必要性を感じにくい面もあるのかもしれません。

子どもの進路について祖父母に相談することがあるか
末子が中学生の母親では、4割弱が子どもの進路について祖父母に相談


図表3は、高校生以下の子どもがいる親に「子どもの進路について、自分または配偶者の親(子どもにとっての祖父母)に相談することがあるか」をたずねた結果です。
これをみると、父親の 20.5%、母親の 26.9%があてはまる(「あてはまる」と「どちらかといえばあてはまる」の合計、以下同じ)と答えていることがわかります。母親では父親に比べて、子どもにとっての祖父母にあたる親に、子どもの進路を相談する傾向が強いと考えられます。
末子の学齢別にみると、あてはまると答えた割合は、末子が中学生の母親でもっとも高く、36.7%を占めています。一方、末子が中学生の父親では、相談することがあると答えた割合が 20.8%にとどまり、母親より 15 ポイント以上低い水準となっています。教育費の資金繰りを含めて、子どもの進路選択は、誰かに気軽に相談するのは難しいデリケートな問題です。父親に比べて結婚や出産以降も親とのコミュニケーションをとる機会が多い母親では、親に相談することによってこの時期のさまざまな不安に対処しているのかもしれません。

心配ごとや悩みごとを聞いてくれる家族・親族①
高校生以下の子どもがいる母親では、6割弱が心配ごとや悩みごとを聞いてくれる人として「自分の親」をあげる


図表4は、高校生以下の子どもがいる親に「あなたの心配ごとや悩みごとを聞いてくれる人」を複数回答でたずねた結果です。
家族・親族についての回答結果をみると、父親・母親の双方がもっとも多くあげているのは「配偶者」であり、父親では 71.1%、母親では 67.5%を占めます。高校生以下の子どもがいる親にとって、自分の心配ごとや悩みごとを聞いてくれるもっとも良き相談相手は「配偶者」であることがわかります。
一方、「配偶者」に次いで多くあげられたのは、父親・母親とも「自分の親」です。ただし、母親が「自分の親」をあげた割合は 58.1%と、父親(30.6%)を 25 ポイント以上も上回っています。高校生以下の子どもがいる母親にとって「自分の親」は、父親にとっての「自分の親」に比べて、心配ごとや悩みごとを聞いてくれる良き相談者として重要な存在である様子がうかがえます。

心配ごとや悩みごとを聞いてくれる家族・親族②
末子が中学生の母親では、心配ごとや悩みごとを聞いてくれる人として「自分の親」をあげる人が「配偶者」とほぼ同じ割合


図表5は、高校生以下の子どもがいる親が「あなたの心配ごとや悩みごとを聞いてくれる人」としてあげた人の割合を、末子の学齢別に示したものです。
家族・親族についての回答結果をみると、父親・母親の双方がもっとも多くあげているのは「配偶者」です。なかでも「末子が幼稚園・保育園に入る前」の場合、「配偶者」をあげる人は父親で 80.6%、母親で 82.6%を占めています。
ただし、母親の場合、末子が中学生までは「自分の親」をあげる人が半数を超え、末子が中学生の母親では「配偶者」(54.0%)とほぼ同じ水準の 52.0%です。また、末子が高校生になると「子ども」をあげる人が 51.4%と半数を超え、配偶者(53.1%)とほぼ同じ水準になります
子どもの成長段階という視点でみると、母親にとって末子が中学生までの時期は「配偶者」に近い水準で「自分の親」が、また、末子が高校生の時期には「配偶者」に近い水準で「子ども」の存在が重要だと考えられます。なお、父親では、末子の学齢にかかわらず「自分の親」や「子ども」をあげる割合は、「配偶者」に比べて大幅に低くなっています。

助言やアドバイスをしてくれる家族・親族①
高校生以下の子どもがいる母親では、6割弱が助言やアドバイスをしてくれる人として「自分の親」をあげる


図表6は、高校生以下の子どもがいる親に「あなたに助言やアドバイスをしてくれる人」を複数回答でたずねた結果です。
家族・親族についての回答結果をみると、父親では「配偶者」をあげる人が51.7%ともっとも多くなっていますが、母親では「自分の親」をあげる人(56.4%)が「配偶者」(53.8%)をわずかに上回っています。高校生以下の子どもがいる母親にとって「自分の親」は、助言やアドバイスをしてくれる存在として「配偶者」と同じくらいか、それ以上に重要な存在である様子がうかがえます。

助言やアドバイスをしてくれる家族・親族②
末子が中学生以下の母親では、助言やアドバイスをしてくれる人として「自分の親」をあげる割合が「配偶者」を上回る


図表7は、高校生以下の子どもがいる親が「あなたに助言やアドバイスをしてくれる人」としてあげた人の割合を、末子の学齢別に示したものです。
家族・親族についての回答結果をみると、末子が中学生以下の母親では、「自分の親」の回答割合が「配偶者」をわずかに上回っています。また、末子が高校生の母親では、「子ども」をあげる人が 34.1%と、「自分の親」(30.8%)をわずかに上回りますが、「配偶者」(40.3%)にはとどかない水準にとどまっています。なお、父親の場合、末子の学齢にかかわらず、「配偶者」の回答割合がもっとも高くなっています。
子どもの成長段階という視点でみると、母親にとって末子が中学生までの時期は「配偶者」と同じくらいか、それ以上に「自分の親」の存在が重要であることがうかがえます。


【調査概要】
調査対象:全国の満 18~69 歳の男女個人
調査実施期間:2015 年1月 29 日~30 日
抽出方法:調査機関の登録モニター約 118 万人から国勢調査に準拠して地域(10 エリア)×性・年代×未既婚別にサンプルを割付
調査方法:インターネット調査
有効回答数:7,256 サンプル
調査機関:株式会社マクロミル

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