親子関係に関する調査(18~69歳の男女対象) 

2015年11月10日
第一生命保険のシンクタンク、第一生命経済研究所では、全国の 18~69 歳の男女 7,256 人に対して「今後の生活に関するアンケート調査」を実施し、その分析結果を元に『ライフデザイン白書 2015 年』を発刊いたしました。
内閣府は 11 月の第 3 日曜日を「家族の日」、その前後 1 週間を「家族の週間」と定め、この期間を通じ、生命を次代に伝え育んでいくことや、子育てを支える家族と地域の大切さを再認識するよう呼びかけています。そこで「家族の週間」にちなみ、親子関係に関するデータをご紹介します。

≪調査結果のポイント≫

子どもと会話や余暇を楽しんでいるか
● 「子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる」父親・母親が増えている

「子どもとはよく会話をしている」人の割合
● 「子どもとはよく会話をしている」人の割合は末子が高校生の父親では約半数に低下

子どもと学校や友だち、将来について話すか
● 「子どもと子どもの将来や進路のことについて話す」割合は父親・母親ともに末子が中学生の家庭が最も高い

子どもと異性の友だちや性について話すか
● 「子どもと妊娠・出産・性について話す」人の割合は高校生以下の子どもがいる父親の1割以下、母親の2割前後と低い

子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる人の割合
● 「子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる」人の割合は子どもの学齢が上がるほど低くなる

つきあいを深めたい人は家族から友人へ?
● 高校生以下の子どもがいる父親は「家族」と最もつきあいを深めたいと思っているが、母親は子どもが大きくなると「友人」の存在も大きくなる

【調査結果】

子どもと会話や余暇を楽しんでいるか
「子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる」父親・母親が増えている


子どもと会話や余暇を楽しんでいる人の割合について、1995 年調査から 10 年おきに時系列変化をみたものが図表1です。
「子どもとはよく会話をしている」に回答した人は、父母ともに 1995 年調査からあまり大きな変化はありません。父親は 2005 年で若干低下しましたが、2015 年には 1995 年の水準に戻っています。20 年前から、父親よりも母親のほうが子どもと会話をしている人の割合が高いことも変わっていません。
他方、「子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる」に回答した人は、父母ともに増加しています。その背景には、1992 年9月から段階的に実施された学校週5日制(2002 年度からは完全学校週5日制)の導入といった子どもの生活時間の変化のみならず、週休2日制の普及など親の働き方の変化があると思われます。ただし、子どもとの会話同様に、父親の回答割合が母親を下回っていることは 20 年前から変わりがなく、父子関係よりも母子関係のほうが強い様子がうかがえます。

「子どもとはよく会話をしている」人の割合
「子どもとはよく会話をしている」人の割合は末子が高校生の父親では約半数に低下


「子どもとはよく会話をしている」人の割合は、末子の学齢別にみると、どのように変化するでしょうか。2015 年の調査結果について、「子どもとはよく会話をしている」と回答した人の割合を、父母・末子の学齢別にみたものが図表2です。
全体的に父親よりも母親のほうが割合は高いですが、末子の学齢が上がるにつれて、父母の回答割合の差が開いていきます。末子が未就学の家庭では、母親は9割、父親も8割近くがよく会話をしていると回答していますが、徐々に回答割合の差がひらき、末子が高校生の家庭になると母親は7割台を維持していますが、父親は約半数にまで低下し、その差が 20 ポイント以上となっています。
母親は末子の学齢にかかわらず子どもとよく会話をする人が多いですが、父親の場合は子どもが大きくなるにつれて子どもと会話をする人が少なくなります。

子どもと学校や友だち、将来について話すか
「子どもと子どもの将来や進路のことについて話す」割合は父親・母親ともに末子が中学生の家庭が最も高い


高校生以下の子どものいる親は、子どもとどのような話をしているでしょうか。ここでは学校や友だちのこと、将来の進路について話をしている人の割合を紹介します。
父母・末子の学齢別にみますと、父母ともに「子どもと学校のことについて話す」と「子どもと友だちのことや遊びのことについて話す」は末子が小学生の家庭が高い割合となっています(図表3)。また、「子どもと子どもの将来や進路のことについて話す」は末子が中学生の家庭が高い割合となっています。子どもとの会話の内容は子どもの年齢によって異なり、子どもが大きくなると、学校や友だちの話よりも、将来の進路についての話をする人のほうが多くなることがわかります。全体的に父親は母親よりも回答割合が低いですが、末子が高校生では父親も半数以上が子どもと進路についての話をすると答えています。

子どもと異性の友だちや性について話すか
「子どもと妊娠・出産・性について話す」人の割合は高校生以下の子どもがいる父親の1割以下、母親の2割前後と低い


生命を次代に伝え育むことの大切さを子どもに伝えるためには、親子で結婚や妊娠、性についての話をするなど、家庭の役割も大きいと思われます。
そこで子どもと異性の友だちや妊娠、出産、性についての話をするかをたずねた結果、「子どもと異性の友だちについて話す」(以下「異性の友だち」)は父親全体 26.5%、母親全体39.8%、「子どもと妊娠・出産・性について話す」(以下「妊娠・出産・性」)は同 9.0%、18.9%であり、全体的に図表3のような学校や友だちなどの話題よりも回答割合が低くなっています(図表4)。父母・末子の学齢別にみますと、特に父親が低く、「異性の友だち」は末子が中学生まで3割前後、高校生になると 15.2%です。「妊娠・出産・性」は全体的に1割以下です。母親のほうが高いですが、それでも「異性の友だち」は全体的に4割前後、「妊娠・出産・性」は2割前後です。
親子でこうした話題を共有することの難しさが示されています。結婚や妊娠など家族を形成し生命を育むことの大切さを子ども達に伝えるために今後、学校教育と連携するなど、さらなる工夫が必要と思われます。

子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる人の割合
「子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる」人の割合は子どもの学齢が上がるほど低くなる


図表1で「子どもと余暇や休日を一緒に楽しんでいる」と回答した人(以下「子どもと余暇を楽しんでいる人」)が増えていることを示しましたが、これについて 2015 年の調査結果を父母・末子の学齢別にみたものが図表5です。
子どもと余暇を楽しんでいる人は、父母ともに子どもの学齢が上がるほど少なくなっています。それは、子どもが大きくなると、子ども自身の友人ネットワークが広がり、親よりも友だちと過ごすことが多くなるためであると思われます。
また、子どもの全学齢を通じて、父親よりも母親のほうが子どもと余暇を楽しんでいる人が多いです。末子が未就学のときは父母の差は小さいですが、末子が小学生になると、その差は20.5 ポイントに広がっています。末子が小学生になるころの父親は、ちょうど職場での責任が重くなり仕事が忙しくなる年齢に差しかかる人が多くなり、ワークライフバランスが難しくなることもその一因であると思われます。

つきあいを深めたい人は家族から友人へ?
高校生以下の子どもがいる父親は「家族」と最もつきあいを深めたいと思っているが、母親は子どもが大きくなると「友人」の存在も大きくなる


最後に、「今後、人間関係やつきあいを深めていきたい人」をたずねた結果を紹介します(図表6)。多くの子育て世代にとって「家族」はどのような存在でしょうか。
父母・末子の学齢別にみると、「家族」を挙げた人の割合は、末子の全学齢を通じて、父親よりも母親のほうが高いですが、父親はいずれの学齢でも「家族」が第1位となっています。
一方、母親は末子が高校生になると、若干ですが「友人」のほうが「家族」を上回ります。
高校生以下の子どもがいる父親にとって、いつも「家族」は最もつきあいを深めていきたい存在ですが、母親にとっては子どもの学齢が高くなるにつれて必ずしも「家族」が第一ではなくなり、「友人」の存在も相対的に大きくなっていくようです。


【調査概要】
・調査対象:全国の満 18~69 歳の男女個人
・調査実施期間:2015 年1月 29 日~30 日
・抽出方法:調査機関の登録モニター約 118 万人から国勢調査に準拠して地域(10 エリア)×性・年代×未既婚別にサンプルを割付
・調査方法:インターネット調査
・有効回答数:7,256 サンプル
・調査機関:株式会社マクロミル

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