CSR報告書調査2015(45ヵ国の各国上位100社、計4,500社対象) 

2015年12月02日
KPMGインターナショナルは、第9回目となる「CSR報告書調査」の2015年版を発表しました。
本調査は1993年に最初の調査報告書が発行されてから22年目を迎え、調査対象は初回の10ヵ国から45ヵ国4,500社へと増加し、これまでで最も幅広いものとなります。

【調査結果】

世界の大企業におけるカーボンレポーティング

G250企業の5社に4社は気候変動を重要な課題と認識しており、気候変動情報を開示しています。しかし、企業が開示している気候変動情報は一貫性に欠けており、各社のパフォーマンスを比較することは困難です。また、温室効果ガス排出量の削減目標を設定している企業の割合も53%に過ぎず、目標設定を行っている企業においても、目標年を15年以上先までに設定している企業は5社中1社に満たないという状況です。世界の各国が2030年を目標年とした温室効果ガスの削減目標を提示している中、企業にも、より長期的な目標を設定することがますます求められています。

G250企業に含まれる日本企業(28社)の中で、気候変動情報を開示しているのは全体の82%、温室効果ガス排出量の削減目標を設定している企業の割合は54%でした。G250企業の平均に近いとも言えますが、G250企業に含まれる米国、英国、ドイツ、フランスの企業と比較すると、いずれの割合も低いことがわかります。ただし、目標設定を行っているG250企業の中では、多くの日本企業が比較的長期の目標を設定しているという結果が出ています。

世界の大企業におけるCSR報告

持続可能性に関連するリスクとそれに対する対応について議論している企業は増えていますが、前回の2013年の調査と比較して、世界の大企業におけるCSR報告の質には、アジア大洋州の企業を除き、全般的な向上は見られません。

CSR報告の世界的なトレンド

N100企業の73%、G250企業の92%がCSR報告を行っています。CSR報告を行っている企業の割合は前回の2013年の調査からほぼ変わっていません。地域的にはアジア大洋州の企業によるCSR報告が増加しています。近年では、政府や証券取引所がCSR報告を企業に義務付ける国が増えており、今後はCSR報告の義務化がCSR報告を行う企業の割合を大きく左右することになると考えられます。

N100企業の56%がアニュアルレポートにおいてCSR情報を記載しています。この割合は、2011年調査(20%)や2013年調査(51%)から増加しており、世界的なトレンドと言えます。また、開示するCSR情報に対して第三者保証を受ける企業の割合も増えており、N100企業の42%、G250企業の63%が第三者保証を受けています。特に世界の大企業(G250企業)においては、第三者保証を受けることは既に一般的な慣行になっているといえます。


【調査概要】
・調査方法:アニュアルレポート、独立したCSR報告書及び企業のホームページ上で公表されている情報をもとにKPMGが独自に調査。
・対象:2014年半ばから2015年半ばまで発行された報告書を対象とする。なお、この期間に報告を行わなかった企業については2013年の情報を用い、それ以前の期間に関する情報は本調査の対象外とした。
・調査企業数:45ヵ国の各国上位100社、計4,500社を対象とし、これらをN100企業と称する。2014年のフォーチュン500社におけるグローバル上位250社を対象に評価を行い、これらをG250企業と称する。
・調査の対象国:以下45ヵ国:
【米州】ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、アメリカ 【アジア太平洋】オーストラリア、中国(香港含む)、インド、インドネシア、日本、カザフスタン、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、韓国、台湾 【欧州】ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国 【中東・アフリカ】アンゴラ、イスラエル、ナイジェリア、オマーン、南アフリカ、アラブ首長国連邦

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