障害者雇用を行った企業担当者を対象にした調査 

2016年11月21日
LITALICOは、障がい者雇用に関する企業の状況を調査するために、就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を通して障がい者雇用を行った企業や「LITALICOワークス」に実習先を提供いただいている企業等を対象にしたアンケート調査を10月に実施しました。

[調査結果サマリー]

■ 今年4月施行「改正障害者雇用促進法」に定められる「合理的配慮」の提供義務について
・合理的配慮を「提供できている」と回答した企業が8割を超える
・一方、法に基づく「合理的配慮指針」で、雇用主が設置策を講じるべきとされる「相談窓口」を設ける企業は4分の1程度にとどまる

■ 障がい者雇用の満足度
・約95%の企業が雇用して「良かった」と回答
・担当業務の選定や本人への配慮・コミュニケーションに課題感

■ 障がい者雇用における「正社員採用」について
・6割近くの企業が正社員採用・登用できていない状況
・「本人への配慮提供が難しくなる」ことや「成果」に対する評価の難しさが正社員登用のネックに

■ 障がい者雇用における「昇給」について
・約7割の企業が昇給を行っているが、半数の企業が障がい特性の違いの中での評価に課題感

<調査対象について>
障がい者雇用を行っている企業498社の人事部門または雇用部署の担当者へメールにてアンケートを依頼、回答いただいた184社の回答を集計しました。(調査期間:2016年10月21日~11月4日)

[調査結果詳細]

【①法施行から半年以上が経過しての「合理的配慮」実施状況】

<「合理的配慮」の実施状況と提供手段>
8割を超える企業が合理的配慮の提供が「できている」と回答していました。配慮の内容については、「定期的な面談の実施」「通院休暇に対する理解・配慮」を挙げる企業が6割を超え、次いで「相談相手や指示者の固定」「障害者支援機関や特別支援学校と連携した本人に必要な配慮の把握」が4割を超えました。一方、国の合理的配慮指針で雇用主が設置策を講じるべきとされる「相談窓口」を設けている企業は45社と、全体の4分の1程度にとどまりました。

<当事者からの「合理的配慮」の相談頻度と内容>
障害のある社員から合理的配慮に関する「申し出・相談」の有無については「あまりない」も含めると全体の7割弱が何らかの申し出・相談が「あった」と回答、施行して半年間で少なくない数の相談があったことが分かりました。申し出・相談の内容については回答のあった企業のうち、半数近くが「業務量・業務内容」「勤務時間」「対人関係」に関する内容を挙げていました。

【②障害者雇用の満足度】

約95%の企業が障害者雇用に対し「よかった」と回答しており、障害者雇用に対する満足度は高い水準にありました。「良かったと感じる点」では「社員の障害理解」「本人の活躍」が多く上がったほか、「業務が整理された」「備品の整理整頓がされた」「マニュアルが整備された」「業務効率が上がった」といった障害者雇用に対する職場全体の業務環境が向上したという回答も一定数見られました。その一方、課題と感じた点として「担当業務の切り出し/選定」が半数以上、「本人へのフォロー/配慮」「職場でのコミュニケーション」が半数近くの企業から挙がっており、雇用の継続に向けて、「仕事の任せ方」や「フォロー体制を含めた本人とのコミュニケーション」に課題を感じる企業が多いことが分かりました。

【③障害者雇用における「正社員採用・登用」の状況】

障害のある方の正社員採用や登用を行っていると回答した企業は全体の4割ほど(70社)で、6割近くの企業が正社員として採用・登用を行っていない状況にあることが分かりました。正社員採用・登用を行っていない企業にその理由を聞いたところ、回答のあった企業のうち、「本人に対して必要な配慮提供が難しくなる」「正社員に見合う成果が出せていない」という回答が4割近くに達しており、障害のある方を正社員として雇用することに対して、配慮の在り方や成果に対する評価基準などに難しさがあることがうかがえます。

【④障害者雇用における「昇給」の状況】

障害のある社員の「昇給」については、約7割の企業が「昇給している」と回答していた一方、約25%の企業では昇給させることができていないことが分かりました。昇給にあたっての課題を聞いたところ、回答した企業のうち半数以上が障害特性の違いの中での評価の基準について、3分の1の企業が成果についての難しさを挙げており、ここでも特性の違う障害のある方をどのように評価するかに困難さがあることがうかがえました。

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