若者の結婚観・子育て観等に関する調査(20代・30代の男女対象) 

2016年11月01日
国立青少年教育振興機構では、日本の若者の結婚観・子育て観の現状及びそれらに関係する要因を明らかにするため、全国の 20代から 30代を対象とした調査を平成 27 年度に実施しました。
この調査では、国立青少年教育振興機構が文部科学省の委託を受けて平成 20 年度に実施した「これから親となる若者の就労観、結婚観、子育て観に関する調査研究」(以下「平成 20 年度調査」という。)の結果も踏まえ、結婚願望や子育て願望を中心に、結婚しない理由や子供の存在についての考え方、過去の体験活動や現在の地域とのつながり等との関係に注目して分析を行いました。

【調査結果のポイント】

■「結婚したい」「子供は欲しい」という意識は、子供の頃の「人間的なふれあい」を通した活動で変わる

ポイント① 小学生の時までの体験が多い人ほど、現在「結婚したい」「子供は欲しい」と思う傾向がみられる。中でも、「友だちとの遊び」「地域活動」「家族行事」といった特に「人間的なふれあい」と関連する体験が、「結婚したい」「子供は欲しい」という意識と強く関係している。

結果① 小学校の時までの体験が多い人ほど、「結婚している」割合は高くなる。また、体験の種類に注目すると、体験が多い人と少ない人で「結婚している」割合の差が大きくなるのは、「友だちとの遊び」、「家族行事」、「地域活動」の順である。(pp.21-22)

結果② 小学校の時までの体験が多い人ほど、「結婚したい」割合と「子供は欲しい」割合は高くなる。また、体験の種類に注目すると、体験が多い人と少ない人で「結婚したい」割合と「子供は欲しい」割合の差が大きくなるのは、いずれも「友だちとの遊び」、「家族行事」、「地域活動」の順である。(pp.23-28)

ポイント② 中学生・高校生の時に異性とのコミュニケーションを面倒だと思っていた人は、現在「結婚したくない」と思う傾向がみられる。

結果③ 中学生や高校生の時の異性との関係のうち、「異性関係は面倒なものだと思う」については、「とても当てはまる」人の「結婚したくない」割合が最も高い。それ以外の「異性にも自分の考えをはっきり伝えることができる」などの項目については、「全く当てはまらない」人の「結婚したくない」割合が最も高い。(p.32、p.34)

■若者の「結婚したい」「子供は欲しい」という意識のこの数年の推移は、男女で異なる

ポイント③ 平成 20 年度調査と比較して、若者の「結婚したい」「子供は欲しい」割合は低下している。特に、男性は「結婚したい」「子供は欲しい」割合がともに低下している。
一方、女性は「早く結婚したい」人と「結婚したくない」人、「結婚したらすぐにでも(子供が)欲しい」人と「子供は欲しくない」人にそれぞれ二分化している。

結果④ 結婚願望について平成 20 年度調査と比較すると、「早く結婚したい」割合が低下し、「結婚したくない」割合が上昇している。性別でみると、男性では「早く結婚したい」割合が低下し、「結婚したくない」割合が上昇しているが、女性では「早く結婚したい」割合と「結婚したくない」割合がともに上昇している。(p.3)

結果⑤ 子育て願望について平成 20 年度調査と比較すると、「結婚したらすぐにでも欲しい」割合が低下し、「子供は欲しくない」割合が上昇している。性別でみると、男性では「すぐにでも欲しい」割合が低下し、「子供は欲しくない」割合が上昇しているが、女性では「すぐにでも欲しい」割合と「子供は欲しくない」割合がともに上昇している。(p.5)

■結婚していない代表的な理由は、「経済的に難しい」ことと「一人が楽である」ことである

ポイント④ 結婚していない理由のうち最も割合が高いのは「経済的に難しい」であり、次いで「一人が楽である」となっている。

結果⑥ 結婚していない理由として「経済的に難しい」を挙げる人は6割を超えているが、個人の年収が 300 万円以上になると「経済的に難しい」を理由に挙げる人は減少する傾向がみられる。(p.8、p.10)また、個人の年収が 200 万円を下回ると、「結婚したい」割合と「子供は欲しい」割合は低下する傾向がみられる。(p.3)

結果⑦ 結婚していない理由として「一人が楽である」を挙げる人は約5割であり、男性は女性よりも「一人が楽である」と考える傾向がみられる。また、「一人が楽である」と考える人ほど「結婚したい」割合と「子供は欲しい」割合は低下する傾向がみられる。(pp.8-9、p.11)

■子供の存在についての考え方の違いが、「結婚したい」「子供は欲しい」という意識と関係する

ポイント⑤ 子供の存在についての考え方は、「生きがい」を重視する家族観と、家族の「継続」を重視する家族観という、大きく二つの家族観に基づいており、「生きがい」を重視する家族観の方が「結婚したい」「子供は欲しい」という意識と強く関係している。

結果⑧ 子供の存在についての考えは、「家族の結びつきを強める」を挙げる人が最も多く、次いで「仕事や人生の励みになる」、「親を成長させてくれる」となっており、「生きがい」を重視する家族観に基づく考えが上位を占めている。一方、「老後の面倒を見てくれる」や「財産や稼業などを継いでくれる」、「親の夢や理想を託す」といった、家族の「継続」を重視する家族観に基づく考えを挙げる人は少ない。(p.15)

結果⑨ 「生きがい」を重視する家族観は、女性の方が男性よりも強く、既婚者の方が未婚者よりも強く、子供がいる人の方が子供がいない人よりも強い傾向がみられる。一方、家族の「継続」を重視する家族観は、性別や結婚しているかどうか、子供がいるかどうかによる違いがみられない。(p.16)

結果⑩ 「生きがい」を重視する家族観も、家族の「継続」を重視する家族観も、それぞれの家族観が強い人ほど「結婚したい」割合と「子供は欲しい」割合は高くなる傾向がみられる。また、「生きがい」を重視する家族観の方が家族の「継続」を重視する家族観よりも、「結婚したい」割合や「子供は欲しい」割合と強く関係している。(p.17)

■地域とのつながりについての行動や考え方の違いが、「結婚したい」「子供は欲しい」という意識と関係する

ポイント⑥ ふだん「近所の人とあいさつをする」といった近所付き合いをしている人や、地域とのつながりに対して前向きな考えが強い人ほど、「結婚したい」「子供は欲しい」と思う傾向がみられる。

結果⑪ ふだん、近所付き合いをしている人は、「結婚したい」割合や「子供は欲しい」割合が高い。特に、「近所の人とあいさつをする」人とそうでない人で、「結婚したい」割合や「子供は欲しい」割合の差が大きくなっている。(pp.36-37)

結果⑫ 地域とのつながりについて、「他人のためにもなるが自分の成長にもつながる」、「これからの良い社会を創るために必要である」などの前向きな考えが強い人ほど、「結婚したい」割合と「子供は欲しい」割合が高い。一方、「責任が重くて大変そうである」などの後ろ向きな考えは、「結婚したい」割合や「子供は欲しい」割合と関係がみられない。(p.40)


【調査概要】
・調査の目的:日本の若者の結婚観・子育て観の現状及びそれらに関係する要因を明らかにし、少子化対策や青少年教育に資する基礎データを提示する。
・調査対象: 全国の20 代・30 代の男女 4,000 名
 (20 代前半、20 代後半、30 代前半、30 代後半の4つの年齢群ごとに男女各500 名)
・調査方法: インターネットを利用したウェブアンケート調査
・調査時期:平成27 年12 月

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[国立青少年教育振興機構]
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