日本生産性本部 余暇創研は、『レジャー白書2015~国内旅行のゆくえと余暇~』をとりまとめた。同白書は、余暇活動調査等をもとに、わが国における余暇の実態を需給双方の視点から総合的・時系列的にとりまとめている唯一のもので、1977年の創刊以来通算39号目になる。同白書は2015年8月初旬に発行するが、

【主なポイント】

■日本人の余暇活動の現状 ~買物、野外など「歩く」レジャーが人気~

「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」(5,400万人)が、4年連続首位となり、レジャーの代表格として定着した。「ウィンドウショッピング(見て歩きなど娯楽としての)」「ウォーキング」「ピクニック、ハイキング、野外散歩」など、「歩いて楽しむ」人が増えている。

■余暇関連産業・市場の動向 ~観光・行楽の伸び拡大、余暇市場2年連続増~

2014年の余暇市場は72兆9,230億円となり、前年比0.6%増加した。特に、観光・行楽部門が前年比5.0%増加し、伸び率が前年(4.0%)を上回って市場の伸びを牽引した。
【スポーツ部門】ランニング、登山・キャンプ用品が堅調。テニススクールに回復傾向。
【趣味・創作部門】電子機器、コンテンツはマイナスだが、映画、コンサートが好調。
【娯楽部門】スポーツ振興くじ、スマホゲームが成長し、公営ギャンブルに明るさ戻る。
【観光・行楽部門】国内旅行、国内航空、鉄道、ホテル、遊園地・テーマパークが好調。

■特別レポート ~国内旅行のゆくえと余暇~

「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」に焦点を当て、旅行の行先、希望の行先、旅行のテーマ、余暇活動との関係について聞いた。
● 旅行の行先として回答が多いのは東京(26.4%)だったが、希望の行先は北海道(58.5%)、沖縄(48.5%)、滋賀・京都(40.1%)などが多く、東京は25.3%だった。
● 「スキー」参加者の49.7%、「ゴルフ(コース)」参加者の34.3%がその活動に参加するために宿泊を伴う旅行をしており、「音楽会・コンサートなど」「スポーツ観戦(テレビは除く)」などでも1割以上の参加者が宿泊旅行を実施していることがわかった。

【調査結果】

1 2014 年の余暇活動
買物、野外など「歩く」レジャーが人気


2014 年も「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が参加人口の首位となり、4 年連続の首位となった。2 位以下の順位が変動し、「外食(日常的なものは除く)」「読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての)」が 2 位、3 位となり、前年 2 位の「ドライブ」が 4 位に後退した。5 位には前年より順位を上げた「ウィンドウショッピング(見て歩きなど娯楽としての)」、6 位には「複合ショッピングセンター、アウトレットモール」という買物関連 2 種目が入った。「SNS、ツイッターなどのデジタルコミュニケーション」も前年の 20 位から 17 位に上昇した。一方で「帰省旅行」が圏外となり、「ピクニック、ハイキング、野外散歩」が前年の圏外から 20 位に順位を上げた。
「ウォーキング」も順位を上げており、買物関連を含め、「歩いて楽しむ」人が増えている。
2014 年は、映画でヒットが生まれ、音楽、ビデオソフトの関連作品もヒットした。「映画(テレビは除く)」「ビデオの鑑賞(レンタルを含む)」「音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)」といった鑑賞系のレジャーを楽しんだ人も多かった。

余暇活動の参加人口上位20位(2014年)
順位/余暇活動種目/万 人
1 国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など ) 5,400
2 外食(日常的なものは除く) 5,000
3 読書 (仕事、勉強などを除く娯楽としての ) 4,990
4 ドライブ 4,870
5 ウィンドウショッピング(見て歩きなど娯楽としての) 4,510
6 複合ショッピングセンター、アウトレットモール 4,430
7 映画(テレビは除く) 4,050
8 動物園、植物園、水族館、博物館 3,690
9 ウォーキング 3,630
10 ビデオの鑑賞(レン タルを含む ) 3,590
11 温浴施設(健康ランド、クアハウス、スーパー銭湯等) 3,570
12 音楽鑑賞( 配信、CD、レコード、テープ、FM など ) 3,560
13 カラオケ 3,400
14 宝くじ 3,340
15 園芸、庭いじり 3,000
16 トランプ、オセロ 、カルタ、花札など 2,900
17 SNS、ツイッター などのデジタルコミュニケーション 2,770
18 テレビゲーム (家庭での) 2,680
19 音楽会、コンサートなど 2,560
20 ピクニック、ハイキング、野外散歩 2,440

2 2014 年の余暇市場動 向
観光・行楽の伸び拡大、余暇市場2年連続増


2014 年における余暇市場の規模は 72 兆 9,230 億円となり、前年比 0.6%増加した。市場規模が突出して大きいパチンコ・パチスロを除くと、2.0%増(前年 2.1%増)となる。特に、観光・行楽部門が前年比 5.0%増加し、市場の伸びを牽引した。
スポーツ部門(前年比 0.7%増)は、3 年連続プラスとなった。スポーツ用品は、スポーツシューズ、スポーツ自転車、ランニング用品、登山・キャンプ用品の堅調さが目立った。ゴルフ場がまだ苦戦しているが、テニススクール、フィットネスクラブ、スキー場に回復傾向がみられ、スポーツ観戦が大きく伸びた。
趣味・創作部門(前年比 1.8%減)の縮小傾向が続いている。カメラ、音響機器製品、ビデオなどの電子機器製品と、CD、DVD、BD、書籍、雑誌などのコンテンツは落ち込んでいるが、映画、音楽コンサートなどの鑑賞サービスは伸びた。この部門では“アナ雪”の大ヒットが目立った。
娯楽部門(前年比 0.1%増)は、2 年連続の横這いとなった。公営ギャンブルに明るさが戻り、地方競馬や中央競馬、ボートレースが大きく伸びた。スポーツ振興くじも市場を拡大し 1,000 億円の大台を超えた。スマホゲームが 2 桁成長を続け、外食も健闘した。一方で、パチンコ・パチスロ、テレビゲーム、ゲームセンターは落ち込みに歯止めがかからなかった。
観光・行楽部門(前年比 5.0%増)は伸び率が前年(4.0%)を上回った。国内旅行が大きく伸び、遊園地・テーマパークが過去最高業績だったほか、国内航空、鉄道、リゾートクラブなども軒並み好調だった。乗用車と二輪車の販売も増加した。外国人観光客の増加が好影響し、ホテルは 2桁成長。近年落ちていた旅館もプラスになったが、海外旅行は円安の影響で伸び悩んだ。

3 国内観光旅行の行先地・希望地
希望する旅行先は北海道、沖縄、滋賀・京都


「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が参加人口の首位を継続しているが、どこへ旅行したのか(行先地)を聞いところ、最も多いのは東京で 26.4%、次いで滋賀・京都が 19.9%、長野・山梨が 18.9%、神奈川 18.5%などとなっている。一方で新潟、埼玉、北陸、岐阜、四国、大分・宮崎・鹿児島、沖縄は 10%にとどかず、東京や滋賀・京都と差が開いている。
今後どこへ旅行したいか(希望地)を聞いたところ、行先地率とは異なり、北海道の割合が 58.5%で最も高く、次いで 48.5%の沖縄、40.1%の滋賀・京都の順となり、この 3 地域の人気が目立った。実際の行先地でトップだった東京の割合はそれほど高くなかった。

4 余暇活動における宿泊を伴う旅行の実施率
スポーツ観戦、音楽会へも宿泊旅行


旅行 3 種目(国内、海外、帰省旅行)以外の余暇活動参加者に、2014 年の 1 年間で、その活動に参加するために宿泊を伴う旅行をしたかどうかを聞いた。宿泊旅行の実施率が高いのは、「スキー」「クルージング(客船による)」「ゴルフ(コース)」「遊園地」だが、「音楽会、コンサートなど」、「スポーツ観戦(テレビは除く)」もランキングに入っている。男女別にみると、男性では「釣り」「写真の制作」、女性では「催し物、博覧会」が上位に入っている。
活動できる地域が限定され、長距離移動や宿泊を伴うことがある「スキー」や「登山」「海水浴」など以外の余暇活動でも、一定の割合で宿泊旅行をしている種目があることがわかった。


【調査概要】
<余暇活動調査の仕様> 
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :全国15歳~79歳男女
有効回収数:3,325(人)
調査時期 :2015年1月

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[日本生産性本部]
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