日本生産性本部 余暇創研は、『レジャー白書2016~少子化時代のキッズレジャー~』を8月初旬に発行する。同白書は、余暇活動調査等をもとに、わが国における余暇の実態を需給双方の視点から総合的・時系列的に分析・記録している唯一のもので、1977年の創刊以来通算40号目になる。

【白書の主なポイント】

■日本人の余暇活動の現状~「ジョギング、マラソン」人気が復活~

「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」(5,500万人)が、5年連続首位となった。北陸新幹線、シルバーウィークなどが追い風となった。「ジョギング、マラソン」は2014年28位から19位に順位を上げるとともに、参加人口も50万人増えて2,190万人となった。

■余暇関連産業・市場の動向 ~娯楽市場で明暗、スポーツと観光は好調~

2015年の余暇市場は72兆2,990億円となり、前年比1.0%減少した。スポーツ、観光・行楽部門は前年を上回ったが、娯楽部門のパチンコなどがマイナスだったことが響いた。
【スポーツ部門】シューズ、ウエア、フィットネスが好調。スポーツ観戦も大幅増。
【趣味・創作部門】音楽コンサート、映画が好調を維持。カメラ、ビデオカメラで落ち込み。
【娯楽部門】公営ギャンブルは堅調だが、パチンコ、ゲーム関連市場が大幅減。
【観光・行楽部門】遊園地、旅行、鉄道、航空、ホテル、旅館等が成長。乗用車はマイナス。

■特別レポート「少子化時代のキッズレジャー」~親の余暇が子に影響~

例年の調査では取り上げてこなかった5~14歳の子供の余暇に焦点を当て、子供の参加率や親からの期待、余暇活動に影響を与える要因、余暇への意識などを調査した。
● 子供の参加率の首位は「トランプ、オセロ、カルタ、花札など」だった。このほか、男子は「テレビゲーム(家庭での)」、女子は「遊園地」に人気がある。
● 親の余暇支出が増えた場合は、減った場合よりも子供の国内旅行への参加率が高くなるなど、親の支出面や時間面のゆとり度が子供の余暇に影響することがわかった。

【調査結果】

1 2015年の余暇活動
「ジョギング、マラソン」人気が復活


2015 年は「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」(5,500 万人)が参加人口の首位となり、5 年連続の首位となった。2015 年は多くの種目で参加人口が減少したが、その中で「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」は前年に比べて参加人口が 100 万人増加し、5,000 万人を超えた唯一の種目となった。
順位が上昇した種目としては、3 位の「ドライブ」、5 位の「映画(テレビは除く)」、7 位の「動物園、植物園、水族館、博物館」、8 位の「音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FM など)、10位の「カラオケ」、11 位の「宝くじ」、16 位の「音楽会、コンサートなど」がある。
19 位の「ジョギング、マラソン」は 2014 年 28 位から 19 位に順位を上げるとともに、参加人口も 50 万人増えて 2,190 万人となった。
3 月に北陸新幹線の長野~金沢間が開業し、9 月には 6 年ぶりのシルバーウィークで 5 連休が生まれるなど国内の旅行には追い風が吹いたが、個人消費が伸び悩むなか多くの種目で参加人口が減少した。

余暇活動の参加人口上位 20 位(2015年)
順位/余暇活動種目/万人
1 国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など) 5,500
2 外食(日常的なものは除く) 4,390
3 ドライブ 4,340
4 読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての) 4,230
5 映画(テレビは除く) 3,660
6 複合ショッピングセンター、アウトレットモール 3,620
7 動物園、植物園、水族館、博物館 3,460
8 音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど) 3,340
9 ウォーキング 3,290
10 カラオケ 3,160
11 宝くじ 3,050
12 ウィンドウショッピング(見て歩きなど娯楽としての) 2,930
13 温浴施設(健康ランド、クアハウス、スーパー銭湯等) 2,880
14 ビデオの鑑賞(レンタルを含む) 2,860
15 園芸、庭いじり 2,670
16 音楽会、コンサートなど 2,430
17 SNS、ツイッターなどのデジタルコミュニケーション 2,330
18 トランプ、オセロ、カルタ、花札など 2,300
19 ジョギング、マラソン 2,190
20 テレビゲーム(家庭での) 2,170

2 2015年の余暇市場動向
娯楽市場で明暗、スポーツや観光は好調

2015 年の余暇市場の規模は 72 兆 2,990 億円となり、前年比 1.0%減少した。市場規模が突出して大きいパチンコ・パチスロを除くと前年比 1.2%増となり、3 年連続のプラス成長である。国内観光分野の堅調な伸びが続き、外食、スポーツ用品は活況を呈した。
スポーツ部門(前年比 1.9%増)は、近年の回復基調がより鮮明になった。スポーツ用品は、スポーツシューズ、ウエア、スポーツ自転車が好調で、ゴルフ用品、テニス用品はプラスに転じた。
フィットネスクラブは史上最大の市場規模を更新した。スポーツ観戦も大きく伸びた。苦戦の続くゴルフ練習場とボウリング場、スキー場にも回復傾向が出てきた。趣味・創作部門(前年比 1.0%減)は、5 年連続で縮小した。カメラ、ビデオカメラの落ち込みは大きく、書籍、雑誌の販売は落ち込んでいるが、電子出版は存在感を増している。音楽コンサートが大きく伸び、映画も好調を維持。テレビ、音楽パッケージが微増となった。定額制音楽配信、有料動画配信のサービスは伸びた。娯楽部門(前年比 1.5%減)は、マイナスに転じた。パチンコ・パチスロ貸玉料・貸メダル料は大きく減少し、状況は厳しい。テレビゲーム・ゲームソフトは縮小が続き、スマートフォンゲームも伸びが鈍化した。ゲームセンターは減少から抜け出せない。他方、競馬、競輪、競艇が堅調で、宝くじ、スポーツ振興くじ、外食は伸びた。観光・行楽部門(前年比 0.6%増)は、僅かだが 4 年連続で増加した。遊園地・テーマパークは 2 年連続で過去最高を更新。旅行業は国内旅行が大幅増、鉄道や航空も堅調。ホテルは 3 年連続の大きな成長で、過去最高業績を達成。旅館も成長した。会員制リゾートクラブは業績好調が続いた。一方、乗用車の販売額は減少した。

3 子供の余暇活動参加率
男子は TV ゲーム、女子は遊園地が人気

5~14 歳の子供の参加率(1 年間に 1 回以上参加した割合、同居する父または母親に調査)の首位となったのは「トランプ、オセロ、カルタ、花札など」で、次いで「テレビゲーム(家庭での)」「遊園地」「動物園、植物園、水族館、博物館」「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」などとなっており、上位 4 種目は参加率が 50%を超えた。男子は 1 位が「テレビゲーム(家庭での)」、女子は「遊園地」が 1 位となり、男女で特徴がみられた。
年代別では、男女とも 5~9 歳は「トランプ、オセロ、カルタ、花札など」「動物園、植物園、水族館、博物館」「遊園地」がトップ 3 で共通しているが、10~14 歳になると男女で特徴が表れ、男子では「テレビゲーム(家庭での)」がトップとなり、参加率が 5~9 歳の 70.3%と突出している。女子の 10~14 歳は「遊園地」がトップに上がっている。男女とも「映画(テレビは除く)」が 5~9 歳時より順位を上げ、男子で 3 位、女子で 2 位となっている。
なお 15~19 歳になると、男子では「テレビゲーム(家庭での)」「映画(テレビは除く)」「ジョギング、マラソン」が上位を占めるようになるのに対し、女子ではトップ 2 が「SNS、ツイッターなどのデジタルコミュニケーション」「カラオケ」と大きな変化が見られる。

4 親のゆとり度と子供の参加率
親の支出面のゆとりが観光・行楽に影響


子供の余暇活動に影響する要因として、親の時間面・支出面のゆとり度に注目した。親が(自分の)余暇時間が「増えた」と回答した場合は、「減った」と回答した場合より、「ボウリング」「ジョギング、マラソン」などのスポーツや「絵を描く、彫刻する」「模型づくり」などじっくり取り組む創作系の種目で子供の参加率が高くなっている。逆に親の余暇時間が「減った」と回答した場合のほうが参加率が高いのは、「音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)」「スポーツ観戦(テレビは除く)」「映画(テレビは除く)」など鑑賞系の種目が目立つ。子供の 1 人当たり平均参加種目数は、親の余暇時間が「増えた」と回答した場合、13.3 種目だったが、「減った」と回答した場合は 12.4 種目となっている。
同様に余暇支出についてみると、親の余暇支出が増えた場合は、減った場合より「温浴施設(健康ランド、クアハウス、スーパー銭湯等)」「動物園、植物園、水族館、博物館」「遊園地」「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」などの観光・行楽系の種目で子供の参加率が高く、逆に親の余暇支出が減った場合のほうが高いのは、「ソーシャルゲームなどのオンラインゲーム」「読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての)」「ドライブ」「ウォーキング」などで、比較的安価にできる種目が並んだ。親の余暇支出が増えた場合の子供の平均参加種目数は 13.9 種目、減った場合の平均参加種目数は 12.9 種目となっている。


【調査概要】
<余暇活動調査の仕様>
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :全国15歳~79歳男女
有効回収数:3,375(人)
調査時期 :2016年1月
子供の余暇:上記調査対象のうち5~14 歳の子供(複数の場合は年長)と同居する親383 人に調査

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本生産性本部]
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