平成28年上半期農業景況調査関連(女性の経営への関与状況) 

2016年09月15日
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)農林水産事業が、平成 28 年7月に実施した「平成 28 年上半期農業景況調査」で、農業現場における雇用状況の動向、とりわけ女性の経営への関与状況について調査したところ、「経営者が女性」「役員として登用」「管理職など幹部として登用」というように女性が経営に関与する経営体は全体の過半数に上ることがわかりました。
また、女性の経営への関与が収益増にも寄与することもわかりました。これは、農業の6次産業化における販売現場等で、消費者ニーズを敏感に掴みとる女性ならではのセンス等が生きている面もあったと考えられます。

<調査結果のポイント>

○ 農業経営における女性の関与割合は増加(資料:9~11 ページ)
過去5年間の農業経営において、女性が経営に関与する割合の変化は、「変動ない」
(74.4%)が多かったものの、「増加している」(17.5%)が「減少している」(8.1%)よりも 9.4 ポイント高くなりました。地域別に見ると「中国・四国」(25.2% )で高い一方で「北海道」(12.2%)で低くなりました。売上規模別では「5億円以上」(33.3%)、「1億円以上5億円未満」(26.3%)、「5千万円以上1億円未満」(18.2%)と売上規模が大きくなるほど割合が高い傾向となりました。
さらに、女性が経営に関与する割合が「増加している」と答えたグループの財務状況に注目すると、個人・法人といった経営形態によらず収益が大きく増加していました(売上高増加率(注):27.0%、経常利益増加率(注):139.2%)。(注)別添資料P2「調査要領」参照

○ 女性が農業経営へ関与したグループでは高い収益の伸び(資料:12~15 ページ)
「経営者が女性」「役員として登用」「管理職など幹部登用」というように女性が経営に関与する経営体の割合は 53.8%と過半数に上りました。
さらに、3年間での売上高と経常利益の増加率について調査したところ、「女性が経営に関与している」グループでは売上高増加率が 23.6%、経常利益増加率が 126.6%となり、「関与していない」グループと比べて、売上高増加率が1.9ポイント、経常利益増加率が71.4ポイント高く、女性の経営への関与は収益増にも寄与すると考えられます。

○ 「6次化」「営業・販売」で女性が活躍し、高い収益を実現(資料:16~19)
農業経営における女性の担当分野は、「生産」の回答が最も多く(67.4%)、続いて「経営管理」(49.7%)、「営業・販売」(25.0%)、「6次化」(17.8%)、「その他」(10.0%)となりました。
中でも、「6次化」「営業・販売」を担当していると回答したグループは、特に経常利益増加率が高く、法人経営体に至っては極めて高い増加率となりました(6次化:431.1%、営業・販売:672.3%)。
業種別では「稲作(都府県)」「果樹」「採卵鶏」は「6次化」「営業・販売」の両方で回答が多いという特徴がありました。「6次化」「営業・販売」といった分野において、女性目線で消費者ニーズを敏感に感じ取り、販売などにうまく活かすことにより、結果として高い収益の伸びに結びついていると考えられます。


【調査概要】
調査時期:平成 28 年7月
調査方法:往復はがきによる郵送アンケート調査
調査対象:スーパーL 資金または農業改良資金ご融資先のうち21,389先
※今回調査では、熊本地震による影響が見込まれる地域にある経営体を調査対象外としています
有効回答数:5,997先(回収率:28.0%)

稲作(北海道):559、稲作(都府県):1,690、畑作:438、露地野菜:482、施設野菜:440、茶:145、果樹:340、施設花き:210、きのこ:80、酪農(北海道):222、酪農(都府県):260、肉用牛:391、養豚:240、採卵鶏:125、ブロイラー:57、その他:318

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